不眠症(睡眠障害)
寝付けない、すぐ目が覚める

音声はオフです。
不眠症(睡眠障害)について
不眠症は、寝付けない、途中で目が覚めるなどの不調が続き、日中のだるさや集中しにくさにもつながる病気です。「眠らないと」と意識するほど緊張し、眠れなくなることもあります。
治療では、生活習慣と睡眠への考え方を整える「生活の治療」を基本に、必要に応じて薬を併用します。薬への不安がある場合も、種類ごとの効果や注意点を確認しながら、取り組み方を相談できます。
こんな症状に注意
不眠では、眠れない時間帯や、眠った後の感じ方に違いがあります。次のような変化が続き、日中の生活にも影響している場合は、相談を検討してください。
1.布団に入っても、なかなか寝付けない

体は疲れているのに、頭がさえて眠れません。明日のことを考えたり、何度も時計を見たりしているうちに、ますます目がさえてしまいます。
「今日は眠れるだろうか」と、夜が来る前から不安になることもあります。
2.夜中に何度も目が覚め、寝直せない

いったん眠れても、夜中に目が覚め、その後なかなか眠れなくなります。短い眠りを繰り返し、朝には十分休んだ感じがしないこともあります。
途中で目覚めること自体は珍しくありませんが、寝直せず困っているか、翌日に影響しているかが大切です。
3.朝早く目が覚め、そのまま起きている

起きる予定より早い時間に目が覚め、まだ眠りたいのに眠れません。朝まで布団の中で過ごし、起きる頃には疲れていることもあります。
年齢や就寝時刻の影響もあるため、早起きそのものではなく、以前との変化や日中の状態を確認します。
4.眠ったはずなのに、寝た気がしない

ある程度の時間は眠っているのに、眠りが浅かった感じが残ります。日中にだるい、集中できない、気力が出ないなどの影響が出る場合もあります。
いびきや強い眠気がある場合は、不眠症以外の睡眠障害が関係していないかも確認します。
不眠症(睡眠障害)を詳しく知る
1.はじめに

不眠は他の不調の原因にもなり、早めの対応が重要です。
なかなか寝付けなかったり、途中で目が覚めてしまう「不眠症」。緊張が引き金になるため、「眠れない」ことを意識しすぎると、さらに緊張し、不眠が続く悪循環に陥ることがあります。
また、不眠が続くと、体とこころの双方に不調が出る原因にもなります。一方で、一晩眠れなかっただけですぐに大きな病気になるということではありません。心配を重ねるより、続いている不眠にどう対応するかを考えます。
治療では、まず生活面を見直し、それでも難しい場合は薬を併用します。薬の依存が心配との声も聞きますが、今は従来と異なる仕組みの薬もあり、状態に合わせて選択できます。
2.不眠症とは―睡眠不足・睡眠障害との違い

夜の眠りだけでなく、日中にどのような影響があるかも確認します。
眠る機会があるのに、十分に眠れない
不眠症では、眠るための時間や環境があるのに、寝付けない、眠りを保てないなどの問題が続きます。それにより、日中のだるさや集中力の低下などが起こります。
仕事や家事が忙しく、そもそも眠る時間を取れていない「睡眠不足」とは区別します。ただし、睡眠時間の不足と不眠が重なる場合もあります。
一時的な不眠と、慢性不眠症
心配事や環境の変化で一時的に眠れなくなることは、多くの方が経験します。きっかけが落ち着くと戻ることもありますが、その後も不眠が続く場合があります。
診断では、週3回以上の不眠が3か月以上続くことなどが、慢性不眠症の目安になります。慢性化すると精神面への影響の他からだへの影響のリスクもあるため、受診での対策が勧められます。
「睡眠障害」は、不眠症より広い言葉
睡眠障害には、不眠症のほか、睡眠時無呼吸症候群、体内時計のずれによる不調、日中の強い眠気を来す病気なども含まれます。
このページは、不眠症を中心にした説明です。「眠りに困っている」という点は共通でも、原因によって必要な検査や治療は変わります。
3.不眠症の症状・分類

寝付き、途中の目覚め、眠った感じの3つから整理します。
ここでは、入眠困難、中途覚醒、熟眠障害の3つに分け、早朝覚醒を中途覚醒に関連する症状として説明します。早朝覚醒を独立させ、4つの症状に分ける説明もあります。一つだけの方も、いくつか重なる方もいます。
①入眠困難―寝付くことができない
布団に入っても、なかなか眠りに入れない状態です。仕事や心配事が頭から離れず、眠ろうとするほど緊張してしまう場合があります。
また「寝ないといけない」と気負ってしまうと、それが緊張につながって逆に寝付きにくくなってしまうことがあります。
②中途覚醒―途中で目が覚めてしまう
眠りの途中で目が覚め、寝直しにくくなる状態です。何度も繰り返す場合や、一度起きた後に長く眠れない場合があります。
中でも、朝の予定より早く目が覚め、そのまま眠れなくなるものを「早朝覚醒」といいます。目覚める時刻だけでなく、何時に寝たか、起きた後の状態も確認します。
③熟眠障害(浅眠)―眠った感じがしない
「眠りが浅い」「寝た気がしない」と感じる状態です。実際の睡眠時間が短い場合だけでなく、一定の時間眠っていても、休めた感じが乏しい場合があります。
本人の感じ方とともに、日中の生活や眠気を確認します。睡眠時無呼吸症候群などで睡眠が途切れていないかも、必要に応じて調べます。
4.不眠症の原因

多くは「緊張」が引き金ですが、その背景は様々です。
眠るときには、心身が休息へ向かいます。しかし、寝る前まで緊張が続いていると、眠りに入りにくくなります。交感神経の働きが強まり、体は疲れているのに頭がさえた状態になることもあります。
不眠を考えるうえで緊張は重要ですが、何がその緊張を起こしているか、ほかの要因がないかも見ていきます。
ストレス・うつ病など、こころの不調
仕事や人間関係の心配、翌日の予定への不安などで、気持ちが休まらなくなります。うつ病や適応障害、不安障害などに、不眠が伴うこともあります。
眠れなくなった頃から、気分の落ち込みや意欲の低下、不安が強まっていないかを確認します。背景の病気がある場合は、不眠と合わせて治療します。
痛み・かゆみなど、体の不調
痛みやじんましんのかゆみ、夜間のトイレなどで眠りが妨げられる場合があります。甲状腺の病気など、体の状態が不眠に関わることもあります。
体の症状が主な原因なら、睡眠薬だけで対処するのではなく、その原因への治療を考えます。飲んでいる薬の影響も確認します。
カフェイン・生活リズム・寝る前の刺激
カフェインやニコチンの影響、生活リズムの乱れ、寝る直前まで続く仕事や刺激の強い情報も、不眠のきっかけになります。昼寝が長く、夜に十分な眠気が出ていない場合もあります。
何を食べたかだけでなく、いつ飲んだか、何時まで活動していたかも振り返ります。
「寝なければ」との考え方のくせ
はじめは仕事のストレスが原因でも、その後は「また眠れないのでは」との不安が不眠を続かせることがあります。寝室に行くと、かえって緊張するようになる場合もあります。
不眠を始めた原因と、今も不眠を続かせている原因は、必ずしも同じではありません。現在の生活や考え方も確認することが大切です。
5.不眠が続くと、どのような影響がある?

翌日の不調に加え、長く続くと心身の負担になります。
①日中の眠気・だるさ・集中しにくさ
日中に眠い、体がだるい、仕事のミスが増えるなどの影響が出ます。不眠が続けば、こうした不調も続き、仕事や家事に時間がかかるようになります。
強い眠気がある場合は、運転や危険な作業を控えてください。「気合いで何とかする」ことを前提にしない対応が必要です。
②「うつ」などの発症・悪化との関係
不眠の持続は強いストレスとなり、こころの不調が始まったり、悪化したりする背景になります。一方で、うつ病などが原因で眠れなくなることもあり、両方が影響し合います。
そのため、うつ病や適応障害の治療でも、合併している不眠に重点的に対応します。
③体調や生活習慣病との関係
不眠や睡眠不足が続くことは、体の負担にもなります。糖尿病、肥満、高血圧などとの関連も指摘されています。
特に慢性化してくると徐々に影響が出て来ることもあるため、対策を取っていくことが大事になります。
6.不眠症と間違えやすい、ほかの睡眠障害

「眠れない」だけでまとめず、特徴に応じて原因を確認します。
いびき・呼吸の停止・強い眠気―睡眠時無呼吸症候群
大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まる様子を指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群を考えます。夜中に何度も目覚める、日中に眠いという訴えになることもあります。
本人が呼吸の停止に気づいていない場合もあります。疑われるときは、睡眠中の呼吸を調べる検査など、専門的な評価を考えます。
夜に脚がむずむずする―むずむず脚症候群
夕方から夜、じっとしていると脚がむずむずして、動かしたくなる場合があります。
動くといったん楽になるため、布団に入っても落ち着いていられず、寝付きに影響します。
好きな時間なら眠れる―体内時計のずれ
深夜から朝方になれば眠れるのに、学校や仕事に合わせた時刻には眠れない場合、睡眠のリズムがずれている可能性があります。夜勤や交代勤務で、睡眠の時刻が一定にできない場合もあります。
眠りの量を増やすことだけでなく、生活と体内時計の関係を考える必要があります。無理に一般的な早寝早起きへ合わせる前に、勤務や生活の条件も検討します。
7.何科を受診する?―不眠症の診察と検査

日中に影響がある、自己対処では改善しない場合は、受診を検討します。
心療内科・精神科で相談する場合
寝付けない、何度も目が覚めるなどの不眠に加え、緊張や不安、落ち込みがある場合は、心療内科・精神科で相談できます。こころの不調の自覚が乏しくても、不眠が強い場合には受診を検討します。
身体の症状が中心の場合は、内科などが相談先になります。睡眠時無呼吸などが疑われる場合は、それに対応する診療科や睡眠専門の医療機関での評価が必要です。
「睡眠外来」なら、どの不調でも同じように診てもらえる?
睡眠外来という名称でも、扱う病気や検査は医療機関によって異なります。不眠の相談が中心なのか、睡眠時無呼吸などの検査を行うのかを確認すると、受診先を選びやすくなります。
当院では、心療内科・精神科の立場から、不眠とその背景を確認して治療を考えます。専門的な睡眠検査が必要な場合は、対応する医療機関での評価を検討します。
診察で伝えるとよいこと・検査の考え方
眠れなくなった時期、寝床に入る時刻と起きる時刻、夜中の目覚め、昼寝、日中の眠気などを伺います。カフェイン・飲酒、服用している薬、仕事や生活の変化も参考になります。
記録できる方は、1〜2週間ほどの簡単な睡眠日誌を持参すると、経過を伝えやすくなります。
8.不眠の治療の2つの方法

まずは「生活の治療」を行い、必要に応じて薬を併用します。
不眠では、生活面を見直して睡眠の改善を図る「生活の治療」を基本にします。ただし、それだけでは改善しない場合もあり、そのときは薬を併用します。薬を使う場合も、生活面への取り組みは並行します。
生活の治療には、習慣を整えることと、「寝ないといけない」という焦りを和らげることの両方があります。慢性化している場合には、認知行動療法的な考え方や行動の見直しも時に重要です。
ここ最近で、依存がないとされる睡眠薬も処方可能になりました。ただし眠れない背景などにより相性はあるため、状況に応じ適切と思われる薬を相談しつつ処方することがあります。
9.治療の方法①生活面での治療

生活習慣、考え方の双方にアプローチします。
①生活習慣の改善―日中に動き、夜はリラックスする
「日中に動いて、夜はリラックスする生活リズム」が、よい睡眠の基本です。仕事などの制約はありますが、できる範囲で、その基本に近づけていきます。
起きる時間をなるべく一定にし、日中は短時間でも日光を浴び、体調に合った活動をします。昼寝が長い、夕方以降まで眠るといった習慣がある場合は、夜の眠りに影響していないかを見直します。昼寝をするなら、早い午後の短い時間にとどめる方法があります。
カフェイン・飲酒と、寝室の環境を見直す
夕方以降のカフェインやたばこは、なるべく避けます。寝酒は寝付きをよく感じても、途中で目覚める原因になるため、睡眠のための対処にはしません。
寝る前は仕事や刺激の強い情報から距離を置き、音、明るさ、温度、物の多さなど、寝室の環境も整えます。全部を一度に変えようとすると、かえって緊張するので、取り組みやすいところから始めます。
早く寝ようとしすぎず、寝床を眠る場所にする
眠れていないからと早い時間に布団へ入っても、眠気がなければ、長く起きたまま過ごすことになります。寝床で仕事や考え事をする時間を減らし、眠くなってから入るようにします。
眠れず焦りが強くなるときは、いったん寝床を離れ、静かに過ごしてから戻る方法があります。寝室と生活の場を分けにくい住環境では、部屋そのものより「寝床で何をするか」を調整します。
②考え方へのアプローチ―「眠れなくても何とかなる」
不眠が気になると、「寝ないといけない」と考え、そのプレッシャーで緊張して、さらに眠れなくなる場合があります。対策は逆転の発想ですが、「眠れた方がよいが、眠れなくても何とかなる」と考える方法があります。
完璧に眠ろうとする力を少し緩めると、結果的に寝やすくなることを期待できます。1〜2回で考え方が変わるとは限りませんが、繰り返し練習します。
「考え事」の時間をずらす
夜に静かになると、翌日のことや将来のことを考える習慣がある方は少なくありません。しかし、考え事で頭が活発に動き、不安や緊張が強くなると、眠りに影響します。
「考えてはいけない」とすると、かえって気になる場合があります。そこで「夕方までに考える」「明日の朝に続きを考える」と時間をずらし、夜に浮かんだことは簡単にメモして、いったん区切る方法を取ります。
10.治療の方法②薬の治療

不眠のタイプと、依存・副作用のリスクを見ながら選びます。
生活の治療だけでは不眠が改善しない場合に、薬を併用します。現在は作用の仕組みが異なる複数の薬があり、寝付き、途中の目覚め、翌日の眠気、ほかの病気や服薬などを踏まえて選びます。
薬を使う場合も、生活の治療を続けることが重要です。特に薬を減らしたい場合には、薬以外の方法でも睡眠を保ちやすくすることが大事になります。
①オレキシン受容体拮抗薬
覚醒を保つ物質「オレキシン」の働きを抑え、眠りを促す薬です。スボレキサントやレンボレキサントなどがあり、寝付きや睡眠の維持を助けます。従来のベンゾジアゼピン系とは作用の仕組みが異なり、依存性のなさを期待する薬です。
効き方には個人差がありますが、相性が合えば、しっかりした効果が期待できます。一方、翌日の眠気や悪夢などが出る場合もあり、合わないときは調整します。
②メラトニン受容体作動薬
睡眠・覚醒のリズムに関わる「メラトニン」の受容体に作用し、眠りに向かう働きを助ける薬です。代表的なものにラメルテオンがあります。
リズムの乱れが影響する入眠の問題などで検討します。強く眠気を出す薬とは使い方が異なり、すぐに眠らせる効果は穏やかに感じられる場合があります。眠気などの副作用や飲み合わせも確認します。
③ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬
これまで広く使われてきた薬で、効果がはっきり感じられる場合があります。作用の続き方などを踏まえ、寝付きや途中の目覚めに合わせて使い分けます。
一方、長期使用による依存、眠気、ふらつきなどに注意が必要です。ここでは、構造上は非ベンゾジアゼピン系に分類されるゾルピデムなども含め、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」として説明します。
超短時間型―ゾルピデムなど
主に寝付きにくい場合に用います。比較的短く作用する薬で寝つきに特に有効な一方、中途覚醒への効果は限定的な場合があります。
寝付きは改善しても途中で目覚める場合は、その症状や生活リズムを確認し、治療を見直します。
短時間型―ブロチゾラムなど
超短時間型より作用が続くタイプで、寝付きにくさに加え、途中の目覚めへの効果も期待して使います。
ただし、どちらにも十分効かない、朝に眠気が残るなど、相性が合わない場合もあります。飲んだ後の眠り方と、翌日の状態を確認します。
中間作用型―ニトラゼパムなど
比較的長く作用するタイプで、途中で目が覚める場合などに検討します。その分、翌日の眠気やだるさに注意します。
寝つきはの効果は限定的のため、このタイプではあまり寝付けない場合には、より短いタイプの睡眠薬を検討します。
④漢方薬
不安や緊張、体の不調に対して漢方薬を使い、その改善を通じて眠りがよくなることを期待する場合があります。症状や体質に応じて検討します。
副作用のリスクは低い一方で一般の睡眠薬より効果は弱いため、効果が乏しい場合は睡眠薬などを検討します。
⑤その他の薬
抗うつ薬、抗精神病薬、抗アレルギー薬などの中には、眠気が出るものがあります。背景の病気や症状、睡眠薬との相性によって、医師がその作用も踏まえて使用する場合があります。
ただし、これらの多くは人によっては日中の倦怠感や眠気などが目立つ場合があるため、相性を見つつ調整していきます。
11.睡眠薬が効かない・やめたいとき

量を変える前に、眠りの状態と薬の使い方を確認します。
効かないと感じたら、何を伝える?
寝付きはよくなったが途中で目が覚めるのか、眠れているが朝のだるさが強いのかで、対応が違います。服用時刻、寝床に入る時刻、翌日の眠気などを伝えてください。
原因が睡眠のリズムや別の睡眠障害にある場合、薬を増やすだけでは改善しないこともあります。自己判断で追加したり、お酒を一緒に飲んだりしないでください。
減薬・中止は、生活の治療と合わせて考える
眠りが安定し、生活上の負担も落ち着いてきたら、薬を減らせるかを検討します。生活の治療を続けながら、主治医と相談して進めます。
特にベンゾジアゼピン系などは、急にやめると反跳性不眠や離脱症状が出る場合があります。主治医と相談しつつ、徐々に減薬を進めていくことになります。
12.不眠症は治る?―治療期間と再発予防

眠りは改善を目指せますが、回復の速さは原因や経過によって異なります。
一時的なストレスが減って改善する方もいれば、長く続いた睡眠への不安や生活の習慣を見直すことが必要な方もいます。背景にうつ病や別の睡眠障害がある場合は、その治療も行います。
回復は、毎晩同じように眠れることだけで判断しません。眠れない夜への不安が減る、日中の活動が戻る、寝床で焦る時間が短くなるなども、改善の一部です。
少しよくなった後に眠れない日があっても、すべて振り出しに戻ったとは限りません。きっかけを振り返り、起床時刻や休養など、取り組んできたことを続けます。不調が続く場合は、我慢して待たずに治療を見直します。
13.仕事や生活への影響が強いとき

眠れるようにする治療と、日中の負担を減らす対応を並行します。
働き方や休養を相談する
眠れないまま長時間働き、緊張が抜けず、また眠れないという循環になる場合があります。残業や夜間の連絡、交代勤務などが負担になっていないかを確認します。
仕事のミスが増える、通勤や作業の安全を保てない場合には、勤務の調整や休養を相談します。休職が必要かは、不眠の程度だけでなく、背景の病気と仕事への影響を踏まえて判断します。
家族は、「早く寝なさい」と急かすより負担を確認する
本人も眠りたいと思っているため、「早く寝ればよい」と言われることで、焦りが強まる場合があります。眠れない理由を決めすぎず、夜の環境や家事の負担など、調整できることを一緒に確認します。
いびきや睡眠中の呼吸、普段と違う行動に気づいた場合は、その情報が診察の手がかりになります。
14.不眠症についてよくある質問

毎日8時間眠れないと、不眠症ですか?
必要な睡眠時間は人によって異なり、年齢によっても変わります。8時間という数字だけで不眠症かどうかは決まりません。
一方、短い睡眠に慣れているつもりでも、日中に強い眠気や不調がある場合は見直しが必要です。眠る機会、本人の休めた感じ、日中の状態を合わせて考えます。
年齢とともに夜中や早朝に目覚めるのは、治療が必要ですか?
年齢とともに眠りが変化し、早く目覚めたり、途中で起きたりすることがあります。ただし、そのすべてが治療の必要な不眠症ではありません。
長い時間寝床に入っていないか、昼寝が影響していないかを確認します。つらさや日中の支障がある場合、いびきや痛みなどがある場合は相談してください。
市販の睡眠改善薬で様子を見てもよいですか?
市販の睡眠改善薬は、医療機関で使う睡眠薬と同じものではありません。一時的な寝付きの悪さに用いる製品がありますが、長く続く不眠の原因を治すものではありません。
そのため、もし使っても不眠が続いたり生活への影響が出る場合は、受診しての対策が選択肢になります。
眠れない夜は、徹夜して次の日に眠ればよいですか?
無理に徹夜して眠りを戻そうとすることは勧めません。翌日の眠気や事故の危険があり、かえって生活リズムが乱れることもあります。
眠れないまま寝床で焦り続ける場合はいったん離れる方法がありますが、徹夜を目標にする方法とは別です。翌日も、運転などの安全に配慮して過ごします。
15.まとめ

不眠は心身に影響するため、早めの対応が大事です。
不眠症では、寝付けない、途中で目が覚める、寝た気がしないなどの不調が続き、日中にも影響が出ます。ストレスや緊張、生活習慣、こころや体の病気など、背景は様々です。
治療の基本は、生活習慣と考え方を整える「生活の治療」です。「眠らなければ」と焦るほど眠れなくなる循環を減らし、必要に応じて認知行動療法や薬の治療を取り入れます。
薬を使う場合も、効果と副作用、依存のリスクを確認しながら選びます。眠れない状態が続く場合は、一人で工夫し尽くそうとせず、相談してください。
16.吉祥寺で不眠症・睡眠の相談をお考えの方へ

こころ診療所吉祥寺駅前は、東京都武蔵野市、吉祥寺駅近くの心療内科・精神科です。寝付けない、夜中に目が覚める、睡眠への不安が強いなど、不眠に関するご相談を受けています。
診察では、睡眠の状態に加え、生活習慣、ストレス、こころや体の不調を確認します。薬の必要性だけでなく、薬以外の対策や、現在使っている睡眠薬についても相談できます。
睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合は、必要な専門的評価につなぐことも含めて考えます。これまでの検査結果やお薬手帳、記録している睡眠のメモがあれば、お持ちください。
不眠症関連の動画
不眠症が起こる背景3つ/不眠症治療の3段階/不眠症の認知行動療法/不眠症は治りますか?
主な参考文献
- 尾崎紀夫・三村將 監修ほか:『標準精神医学 第9版』医学書院、2024年。
- 大熊輝雄 原著:『現代臨床精神医学 改訂第12版』金原出版、2013年。
- 米国精神医学会 原著、髙橋三郎・大野裕 監訳:『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2023年。
- 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:不眠症(睡眠障害)」。
