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うつ病

うつ病の症状、休養・薬物療法・精神療法、休職について解説する動画のポスター

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うつ病について

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下などが2週間以上続く、こころの病気です。眠れない、からだがだるい、頭が働かないなど、からだや生活の変化が目立つこともあります。

治療は、休養・薬物療法・精神療法が3本柱です。初期は頭を休ませることを重視し、その後、状態を見ながら少しずつ活動を戻していきます。

仕事をしている方は、症状や生活・職場の事情に合わせ、休職や仕事の負担の調整を考えます。いつもと違う不調が続くときは、早めに気づき、治療につなげることが大切です。

こんな症状に注意

うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、からだの不調や、仕事・生活の変化が目立つことがあります。ただし、似た症状が出るほかの病気もあるため、これらの症状だけでうつ病と判断するものではありません。

① 気分が落ち込む

気分の落ち込み、意欲の低下、表情や言葉の変化を説明する動画のポスター

気分が沈み、わけもなく悲しくなったり、以前楽しめていた趣味を楽しめなくなったりします。何もする気が起きず、先のことを悲観的に考えてしまうこともあります。

自分では何とか過ごしているつもりでも、周囲から「表情が暗くなった」「後ろ向きな言葉が増えた」と気づかれる場合があります。気分だけでなく、普段の表情や言葉の変化も手がかりになります。

② 体調がずっと悪い

不眠、食欲の低下、だるさなど、うつ病に伴うからだの不調を説明する動画のポスター

眠れない、食欲がない、からだが重い、すぐ疲れるなど、からだの不調が続きます。頭痛や吐き気、めまい、動悸などが目立つ人もいます。

気分の落ち込みよりも、体調の悪さを強く感じる場合があります。ただし、甲状腺など、からだの病気でも似た症状が出ることがあるため、診察ではその可能性も確認します。

③ 頭が回らない

集中や判断が難しくなり、仕事でミスが増える変化を説明する動画のポスター

頭が働かず、集中しにくくなります。話の内容が入りにくい、判断に迷う、電話の受け答えが難しくなるなど、普段できていたことに負担を感じるようになります。

仕事ではミスが増え、以前のような効率で進められなくなることがあります。本人だけでなく、周囲が仕事ぶりの変化から気づく場合もあります。

④ 会社に行くのがつらい

出勤のつらさや欠勤、家事など、仕事と生活の変化を説明する動画のポスター

会社に行きたくなくなったり、出勤しようとすると体調が悪くなったりします。仕事が手につかない、遅刻や当日の欠勤が増えるなど、これまでとは違う変化が表れることがあります。

仕事だけでなく、家事や片付けができず、休日もぐったりして過ごす場合があります。こうした生活全体の変化も、受診を考える手がかりになります。

うつ病を詳しく知る

うつ病の症状や治療について、ここから詳しく説明します。休養の仕方や休職・復職、家族や職場の関わり方についても、目次から気になる項目へ進めます。

1.うつ病とは

こころとからだ、生活に表れるうつ病。こころの変化。からだの不調。生活・仕事への影響。早めに気づき、治療につなげる。
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落ち込みだけでなく、からだや生活にも変化が出る

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、集中しにくさなどが続くこころの病気です。人によっては、眠れない、からだが重くてだるいなど、こころの症状よりもからだの不調が目立つことがあります。

こうした症状が続くと、仕事が手につかない、片付けや家事ができないなど、日々の生活にも影響が出てきます。自分で変化に気づくこともあれば、周囲から「いつもと違う」と気づかれることもあります。

早めに気づいて治療につなげる

うつ病は以前より知られるようになり、治療を受ける方も増えています。治療法は比較的確立されており、治療を始めて続けることで、多くの場合は改善が見込めます。早めに治療を受け、仕事や社会生活の場へ戻っていく方も多くいらっしゃいます。

ただし、症状は目に見えにくく、不調に気づくのが遅れることがあります。症状が重くなってから治療を始めると、改善に時間がかかり、長期間の休養が必要になる場合もあります。早めに気づき、早めに治療につなげることが大切です。

2.うつ病のおもな症状

こころの症状と、からだの症状。落ち込み・意欲の低下。不眠・食欲の低下。だるさ・疲れやすさ。からだの不調が強く出る人もいます。
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うつ病では、気分の落ち込みなどの「こころの症状」と、不眠やだるさなどの「からだの症状」が現れます。人によっては、こころの症状よりも、からだの不調が強く出ることがあります。

こころの症状

代表的なのは、気分の落ち込みや「やる気が出ない」という意欲の低下です。一方で、不安や緊張が強く出る人もいます。

  • 気分が落ち込む
  • わけもなく悲しくなる
  • 「夢も希望もない」と考えるようになる
  • 頭が働かず、集中できない
  • 判断力や、話を理解する力が落ちる
  • 以前楽しめていた趣味が楽しめない
  • 何もする気がしない
  • 不安で落ち着かない。

からだの症状

うつ病があると、二次的に自律神経のバランスが崩れることがあります。そのため、「自律神経失調症」に似た、さまざまなからだの症状が出る場合があります。

  • 寝つけない、眠りが浅い(不眠・浅眠)
  • 食欲が出ない、食事をおいしく感じない
  • からだが重く、だるい
  • すぐに疲れてしまう
  • 頭痛や吐き気が続く
  • めまいや耳鳴りがする
  • 動悸が止まらない。

3.うつ病での生活・行動の変化

いつもと違う生活・行動の変化。仕事が進まない。家事ができない。ミス・欠勤が増える。自分だけでなく、周囲が気づくことも。
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うつ病では、こころやからだの症状が続くことで、生活や行動にも影響が出てきます。自分で変化に気づくこともあれば、周囲から様子の違いに気づかれることもあります。

自分で気づく変化

仕事がうまく進まない、出勤前に不調が出る、家のことができなくなるなど、生活全般に支障が出ることがあります。仕事中だけでなく、休日の過ごし方や家事にも変化が表れます。

  • 仕事が手につかない
  • 会社に行きたくなくなる
  • 仕事に行こうとすると、からだの不調が出る
  • 休日はずっとぐったりしている
  • 電話の受け答えが苦手になる
  • 片付けや家事ができなくなる。

周囲が気づく変化

周囲から、普段の行動やふるまいの変化に気づかれることがあります。表情や人との関わり方だけでなく、以前にはなかった仕事のミスや遅刻、当日の欠勤が目立つようになる場合もあります。

  • イライラしやすくなる
  • 表情が乏しく、暗くなる
  • 後ろ向きな発言が目立つようになる
  • 人を避けるようになる
  • 遅刻や当日の欠勤が増える
  • ミスが増え、仕事の効率が落ちる。

4.うつ病の原因と背景

うつ病の原因と背景。脳の働き。ストレスの蓄積。薬と生活面の対策。原因は、まだ完全には解明されていません。
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うつ病の原因は、まだ完全には解明されていません。脳の働きの面では、脳内物質の「セロトニン」の不足が大きく影響するとされ、心理面では「ストレスの蓄積」が発症の引き金になるとされています。

セロトニンの不足などを背景に、脳の働きがうまくいかなくなることで、さまざまなうつ症状が現れます。この考え方に基づき、治療では薬でセロトニン不足の解消を図り、生活面ではストレスへの対策を行います。

5.うつ病と似た症状が出る病気

似た症状でも、背景はさまざま。適応障害。双極性障害。からだの病気。発達障害の二次障害。診察で、ほかの原因も確認します。
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うつ病と似た症状が出る病気はいくつかあります。診察では、うつ病かどうかとあわせて、こうした病気の可能性も確認します。

適応障害

適応障害は、ストレスへの反応として「うつ状態」が生じる病気です。典型的には、仕事をしている方が休日に入ると調子がよくなるなど、ストレスから離れたときにすぐ改善します。うつ病では、ストレスから離れても症状が続く点が違いです。

ただし、うつ病と見分けにくい場合もあります。治療の方向性は、大きくは変わりません。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害は、うつ病と同じような「うつ状態」と、元気すぎることが特徴の「躁状態」が交互に起こるこころの病気です。躁状態があることがうつ病との違いですが、その程度が軽い場合などは、見分けにくいこともあります。

うつ病とは、有効な治療薬などが異なります。そのため、双極性障害が疑われる場合は、慎重に見極めていきます。

甲状腺など、からだの原因

ホルモンを分泌する臓器である「甲状腺」の機能低下など、からだの原因でうつ病と似た症状が出ることがあります。症状だけでは見分けにくいことも多い一方、血液検査で甲状腺ホルモンなどを測定することで、除外することができます。

発達障害の二次障害

背景に発達障害があり、ストレスによって二次的に「うつ状態」が続くことがあります。子どものころから「やりづらさ」が続いている場合などは、この可能性を検討します。

6.うつ病の受診の目安と、診察で確認すること

受診を考えるサイン。生活・仕事への支障。周囲が気づく変化。診察で背景を確認。
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こころやからだの不調、普段とは違う生活の変化に気づいたときは、早めにご相談ください。自分で気づいた変化だけでなく、周囲から「いつもと違う」と言われたことも、受診を考えるきっかけになります。

生活や仕事への支障が続くとき

仕事が手につかない、家事ができない、休日もぐったりして過ごすなど、これまでの生活が難しくなっているときは、受診を考える目安になります。気分の落ち込みだけでなく、仕事や日常生活にどのような影響が出ているかにも目を向けてみてください。

落ち込みをあまり感じなくても、からだの不調が目立つ場合があります。その場合も、症状の経過や生活への影響、からだの病気の可能性などを確認しながら、診断を考えていきます。

周囲から受診を勧められたとき

周囲から受診を勧められても、自分では「大丈夫」と感じることがあります。実際に大きな問題がない場合もありますが、無理をしているうちに判断力が本来の状態ではなくなり、自分の不調を捉えにくくなっている可能性もあります。

自分では何とか過ごしているつもりでも、周囲には「ミスが増えた」「様子が違う」「目がうつろになった」といった変化が見えている場合があります。受診を通じて、今の状態を確かめることも一つの方法です。

診察で確認すること

診察では、症状の経過、仕事やストレスとの関係、生活への影響などを確認します。こころの症状だけでなく、からだの不調が目立つ場合も、こうした情報を合わせて状態を見ていきます。

また、適応障害や双極性障害、甲状腺などのからだの病気、発達障害の二次障害など、うつ病と似た症状が出るほかの原因も確認します。必要に応じて血液検査などを行い、症状の背景を見極めます。

7.うつ病の治療の3本柱

治療は、3つの柱を組み合わせて。休養。薬物療法。精神療法。一人ひとりの状況に合わせて調整します。
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うつ病の治療は、「休養」「薬物療法」「精神療法」が3本柱です。どれか一つだけを行うというより、これらを組み合わせて治療を進めます。

どこに重点を置くかは、その方が置かれている環境や、薬との相性、性格傾向などによって異なります。一人ひとりの状況を踏まえ、どの治療を重視するかを調整していきます。

8.休養――「頭を休ませる」ために

休養の中心は「頭を休ませる」こと。休養に専念。考え事の悪循環を断つ。再び休養へ。働きながらでも、休める時間を確保。
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「頭を休ませる」休養

うつ病の治療では、しっかり休むこと、特に「頭を休ませる」ことを重視します。休職して治療する場合は、なるべく何もせず、休養に専念することが重要です。

考え事で休めないとき

休んでいても、つい職場のことなどを考えてしまう場合があります。考えすぎると、十分な休養になりません。

その場合は、趣味など別のことに集中して、考え事の悪循環をいったん断ちます。そのうえで、再び休養に戻るようにします。

働きながら確保する休養

仕事などを続けながら治療する場合は、現実には休養に専念することが難しくなります。その中でも、仕事で無理をせず、休めるときにしっかり休むことを重視します。できる範囲で休養の時間を確保し、改善を図っていきます。

【うつ病の休養を詳しく見る】

9.薬物療法――抗うつ薬を中心とした治療

薬の効果と相性を確認しながら。抗うつ薬が中心。効果・副作用を確認。必要に応じて併用。自分に合う薬を、主治医と探していく。
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うつ病の薬物療法では、うつ症状を改善する「抗うつ薬」を中心に使います。必要に応じて、睡眠薬などほかの薬を組み合わせて治療を進めます。

抗うつ薬の選び方と相性

抗うつ薬は、気分の落ち込みを改善するための薬です。成人では、一般的にSSRIやSNRIを最初に使いますが、効果や副作用には相性があり、いくつかの薬の中から、その方に合うものを探していきます。

効果が出るまでには1〜3週間ほどかかるため、続けて使うことが重要です。

抗うつ薬と、その効果を補う薬

セロトニンを増やす薬(SSRI/SNRI)

うつ病の原因とされる「セロトニンの減少」を改善し、うつ症状の改善を図る薬です。

効果が出るまでには2〜4週間かかる一方、飲み始めには吐き気やめまいなどの副作用が出ることがあります。副作用は一般に数日以内に改善しますが、初期は副作用だけが目立つ場合もあります。服用を続ける中で、多くの場合、副作用が目立たなくなり、効果が出てきます。

症状による使い分けとして、不安が強い方にはSSRIを、意欲の低下が強い方にはSNRIを使うことが多くあります。

不眠にも効く抗うつ薬(NaSSA)

眠くなる作用が強いため、不眠が強いうつ病の方に使うことがあります。一方、人によっては日中の眠気や食欲の増加が副作用として目立ち、服用を続けることが難しい場合があります。

スルピリド――効果の穏やかな抗うつ薬

以前は胃薬としても使われていた抗うつ薬です。飲み始めの副作用が少なく、続けやすいため、特に男性で副作用が出やすい方に使うことがあります。

女性の場合、量が増えると、生理が遅れる副作用が出ることがあります。

アリピプラゾール――抗うつ薬の効果を補う薬

抗うつ薬と一緒に使うことで、その効果を強めるとされる薬です。抗うつ薬だけでは効果が乏しい場合に、併用すると改善することがあります。

副作用として、人によっては眠りが浅くなることがあります。

不眠・不安などに対して使う薬

不眠や不安が強く、十分に休めない場合には、こうした症状を改善するための補助的な薬を使うことがあります。また、副作用が出やすい方には、漢方薬を使う場合もあります。

睡眠薬

眠りを助ける薬です。効果が続く時間によって、寝つきをよくする薬や、途中で目が覚めにくくなる薬があり、不眠のタイプに合わせて使います。

また、アレルギーの薬や安定剤などを、睡眠薬の代わりに使う場合もあります。

抗不安薬

日中の不安が強く、なかなか休養できない場合に使うことがあります。依存の問題に注意が必要なため、使うかどうかを慎重に判断します。

漢方薬

主に、不安や緊張を和らげる漢方薬を使うことがあります。効果は一般的に弱めですが、副作用の心配が少ないため、副作用が出やすい方や、副作用への不安が強い方に使うことがあります。

【うつ病の薬物療法を詳しく見る】

10.精神療法――外来で行う確認と助言

外来で、状態を確認して助言する。症状・生活の確認。ストレス・考え方の振り返り。対人関係・職場の調整。改善と、復職後の再燃予防を目指す。
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当院では、外来の診察を通じて、症状や生活の状態を確認し、必要に応じて助言を行う「精神療法」を提供します。精神状態の改善と、復職後の再燃予防を目指して進めます。

当院の外来では、じっくりとお話を聞くカウンセリングよりも、状態を分析し、改善に向けた助言などを行うことが中心になります。以下のような確認や働きかけを、必要に応じて少しずつ行います。

症状・副作用の確認

落ち込みや不安などの精神症状と、薬の副作用が、どのように現れ、変化しているかをお聞きします。症状が強い場合には、不安を和らげるリラックス法の実践など、必要に応じた助言を行います。

生活・活動の確認

睡眠や生活リズム、日中の活動の状況をお聞きします。復職を目指す中では、時期に応じて、活動を増やすこと(行動活性化)や生活リズムの改善について助言します。

ストレスと対処の振り返り

どのような場面で、どのくらいストレスを感じるか、また、そのときにどう対処しているかを振り返ります。対処法が少ないなど、復職後に心配な点がある場合は、ストレスへの対処法を探すための助言を行います。

考え方のくせの振り返り

「完全でないといけない」といった考え方のくせが、休養やストレス対策にとって逆効果になる場合があります。その点を見極め、必要に応じて別の考え方を探すなど、考え方の柔軟性を高めるための助言を行います。

対人関係のくせの振り返り

我慢しすぎてストレスがたまる、言いすぎてトラブルになるなど、対人関係のくせがないかを振り返ります。そのうえで、必要に応じて、程よい自己主張(アサーション)の仕方などを助言します。

職場への「こころの葛藤」の振り返りと対策

状態が改善しても、職場への葛藤が強く、仕事を考えると症状がぶり返すことがあります。葛藤の種類や強さを見極めたうえで、必要に応じて、慣らす・割り切る・異動を考えるといった対応について助言します。

【うつ病の精神療法を詳しく見る】

11.うつ病の治療経過――急性期・回復期・再燃予防期

状態に合わせて、段階的に回復を支える。急性期:休養を重視。回復期:少しずつ活動。再燃予防期:サインに注意。急に負荷を増やさず、自分のペースで。
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うつ病の治療経過は、おおむね「急性期」「回復期」「再燃予防期」の3段階に分かれます。急性期は休養を重視し、回復期には徐々に活動を増やして慣らし、その後は生活や仕事の負荷がかかる中で、再燃を防ぐことを目指します。

急性期

落ち込みや不安などの精神症状が強い時期です。ストレスによってすぐに悪化するため、何よりも休養を重視します。

抗うつ薬を使いながら、不眠や不安で十分に休養できない場合は、睡眠薬などを併用します。しっかり休養できると精神症状が徐々に改善し、個人差はありますが、1〜数か月で回復期へ移っていきます。

回復期

精神症状は収まっている一方、意欲や活動量がまだ戻っていない時期です。急に負荷を増やすと悪化するため、状態を見ながら少しずつ負荷を増やし、慣らしていきます。

こうして本来の活動量を取り戻し、日常生活が以前のように送れるようになると、再燃予防期へ移ります。急性期と同様に、期間には個人差がありますが、1〜数か月が目安です。

再燃予防期

日常生活には支障がなくなっても、ストレスによって症状がぶり返しやすい状態は、しばらく残ります。この時期も、可能な範囲で段階的に負荷を増やし、慣らしていきます。

不眠など、症状のぶり返しのサインがないかにも気を配ります。サインがあれば、早めに休養するなどして、再燃を防ぎます。

12.休職するか、働きながら治療するか

休職か、働きながらの治療か。休職して休養。症状が比較的軽い。かつ、業務負担を減らせる。働きながらの場合も、休養は必要です。
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うつ病の治療では、休職してしっかり休養することが望まれる一方、生活や職場の事情から難しい場合もあります。働きながら治療する場合も、できる範囲で休養を確保することが大切です。

休職を勧める理由と、生活・職場の事情

急性期は、何よりも休養が大切な時期です。仕事のストレスによって症状が悪化するリスクが高いため、治療の面からは、多くの場合、おおむね3か月を目安とした休職を勧めます。

ただし、生活面や職場の状況など、治療以外にも判断に関わる事情があります。こうした事情も踏まえて、休職するか、働きながら治療するかを検討します。

働きながら治療するための条件

症状が比較的軽く、かつ、業務の負担をある程度減らせる場合などには、リスクを説明したうえで、まずは働きながら治療を進めることがあります。

その場合でも、治療に休養が必要なことは変わりません。仕事の後や休日など、休めるときにしっかり休養することが必要です。

症状が長引く、悪化するとき

働きながら治療を始めても、症状が長く続いたり、悪化が続いたりする場合があります。その場合は、休職へ切り替えることがあります。

働きながらの場合の治療経過

働きながら治療する場合は、できるだけ負荷を減らした状態で、急性期と回復期を乗り切ります。復帰準備期に当たる時期になったら、再燃を防ぎながら、業務の負担を徐々に戻していきます。

13.休職中の過ごし方と、復職までの流れ

休養から復職へ、段階的に準備。休養。段階的なリハビリ。復職の準備・調整。復職後の再燃予防。必要な期間には、大きな個人差があります。
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休職期間の目安と個人差

うつ病で休職する場合、必要な期間は3か月が目安ですが、個人差が大きくあります。前期は休養に専念し、中期にリハビリを行い、後期には仕事に近い負荷に慣らしながら、復職に向けた調整や心理面の整理を進めます。

前期:休養に専念する

うつ病の経過では、急性期にほぼ対応します。薬による治療を並行しながら、何よりも休養に専念する時期です。

休み始めには、強いだるさや過眠が出ることがありますが、休養を続けることで、こうした症状も含めて回復してきます。期間は1か月が目安ですが、個人差が大きいため、主治医と相談しながら休養します。

中期:段階的にリハビリを進める

うつ病の経過では、回復期にほぼ対応します。急性期の症状は改善していても、活動しにくい状態が残っているため、少しずつ活動を増やしていきます。はじめは身体を動かすことから始め、次第に動けるようになってから、「頭を使う」活動も増やしていきます。

本来の7割ほどの活動ができるようになることが、次の復帰準備期へ進む目安です。期間は1か月ほどを想定しますが、個人差が大きいため、その方の状態とペースに合わせて進めます。

後期:復職に向けた準備と調整

「復帰準備期」とも呼ばれ、うつ病の経過では、再燃予防期の前半にほぼ対応します。中期までに整えた土台をもとに、仕事を想定した負荷に慣らしながら、復職に向けた具体的な調整や、こころの葛藤の整理を進めます。

必要な期間は、フルタイムでの復職が必要か、短時間勤務が可能かといった、復職の条件によっても異なります。葛藤が少ないなど、スムーズに進めば1か月が目安です。ただし、仕事への葛藤が強い場合などは、さらに時間をかけたり、異動や転職などの環境調整を検討したりする必要があります。

復職後:再燃予防を続ける

仕事に復帰した後は、再燃予防期の後半にほぼ対応します。徐々に仕事の負荷を増やしながら、再燃を防ぐための対策を続けます。

再燃予防の観点から、抗うつ薬は復職後半年は同じ量で続けることがよいとされています。その後、経過などを見ながら、減薬について慎重に相談します。

14.ご家族の関わり方

ご家族は、温かく見守る支えに。休める環境を整える。相談されたら聞く。圧力・働きかけすぎを避ける。ご本人が休養に専念できるように。
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うつ病の治療中、ご家族の関わりの基本は、温かく見守り、ゆっくり休める環境を整えることです。特別なことをしようとするよりも、まずはご本人が休養に専念できるように支えます。

ゆっくり休める環境で見守る

うつ病の治療には休養が重要です。自宅がゆっくり休める環境になっていれば、治療も非常に進みやすくなります。落ち着いて休めない状況があれば、ご本人が休養できるように環境を整えてください。

また、ご本人から相談されたときは、話をしっかり聞くことを大切にしてください。

圧力をかける言葉を避ける

うつ病の方に圧力をかけると、症状が悪化したり、なかなかよくならなくなったりするおそれがあります。「なんで休んでばかりなの」など、否定的な感情を込めた声かけは、避けるようにしてください。

心配から、あれこれ働きかけすぎない

ご本人以上に、ご家族が心配になることもあります。その不安から、「あれもしないと、これもしないと」と、いろいろ動きすぎてしまう場合があります。

こうした働きかけは、治療への効果があまり見込めないだけでなく、ご家族の不安がご本人に伝わり、逆効果になりかねません。不安を受け入れつつも、「いずれはよくなる」と根っこのところで信じ、どっしりと構えて見守ることを大切にしてください。

15.職場の方の関わり方

職場の支援は、休養と復職のために。温かく見守る。必要最小限の連絡。復職条件を事前に共有。休養を妨げず、復職に向けて調整する。
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職場の方の関わりも、基本は「見守り」です。ただし、復職前には、復職の条件や復職後の枠組みについて、ご本人と相談し、共有することが大切です。

特に初期は、連絡を必要なことに絞る

休職して治療する場合は、仕事から離れ、休養に専念することが基本です。職場からの連絡が頻繁になると、そのたびに仕事を思い出し、十分に休めなくなってしまいます。

そのため、特に初期は、職場からの関わりをなるべく少なくし、連絡は必要なことに絞ってください。

復職前に条件や枠組みを共有する

一方、復職前には、必要な相談がうまく進まず、復職が長引く場合があります。会社によって復職の条件はさまざまで、それによって「どこまでリハビリを進めればよいか」も変わります。

そのため、復職予定の数週間前には、会社での復職の条件や「復職までにやっておいてほしいこと」、異動が可能かどうかを含めた復職後の職場について、ご本人と相談し、共有してください。条件や枠組みが分かれば、治療側でもご本人と相談し、それを目標に助言を行うことができます。

否定的な感情を含んだ対応を避ける

状態が改善していても、復職前は会社や仕事への不安を抱えています。そこで否定的な感情を込めた声かけを受けると、不安や葛藤が強まり、復職がうまく進みにくくなります。

うつ病への考え方や受け止め方は、人によって異なると思います。その場合も、否定的な感情を表に出した声かけや対応は、避けるようにしてください。

16.うつ病についてよくあるご質問

うつ病について、よくある疑問。症状・診断。薬と治療。休職・再燃予防。気になることは、診察で相談を。
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症状・診断・再発について

Q1.からだの症状はありますが、落ち込みはありません。うつ病ではないのでしょうか?

落ち込みが目立たなくても、うつ病の場合があります。典型的には落ち込みなどのこころの症状が出ますが、人によっては、からだの症状、いわゆる自律神経症状が目立つことがあります。「仮面うつ病」と呼ばれることもあります。

典型的ではない分、診断が難しい場合もあります。症状の経過、仕事との関係、生活への影響を確認し、からだの病気の可能性も調べながら診断を考えます。治療の方向性は、こころの症状が主体のうつ病と同じです。

Q2.どのような人がうつ病になりやすいですか?

はっきりと確定しているわけではありませんが、「まじめで、自分を追い詰める人」に起こりやすいという説があります。その背景には、ストレスをためやすいことがあると考えられます。

ストレスへの対処法を見直したり、考え方を工夫したりして、ストレスをためにくい状態をつくることは、予防の助けになると期待されます。ただし、それだけですべてを防げるわけではありません。

Q3.周囲から受診を勧められましたが、自分では大丈夫だと思います。

実際に大きな問題がない場合もあります。一方で、無理をしているうちに判断力が本来の状態ではなくなり、自分の不調を捉えにくくなっている可能性もあります。

自分では何とか過ごしていても、周囲にはミスや様子の変化が見えている場合があります。受診して話をする中でわかることも多いため、今の状態を確かめるために相談することも一つの方法です。

Q4.からだの病気とうつ病には関係がありますか?

しばしばあります。代表的なのは甲状腺の不調で、意欲の低下や倦怠感など、うつ病と似た症状が出ます。

また、リウマチなどの慢性疾患では、うつ病を合併する割合が高いことが指摘されています。病気自体や薬の影響のほか、慢性疾患に伴うストレスが引き金になる場合もあります。

Q5.うつ病は再発しやすいですか?

再発の割合にはさまざまな数字がありますが、うつ病を経験した方は、経験していない方よりも、その後うつ病になる可能性が高いと考えられています。

その背景には、ストレスのたまりやすさ、ストレスへの反応しやすさ、脳のセロトニンの減りやすさなど、さまざまな説があり、人によって異なると考えられます。

再発の可能性があることを踏まえ、予防のためのストレス対処に重点を置きます。再発を繰り返す場合は、症状が改善しても抗うつ薬を続け、再燃を防ぐことを目指す場合もあります。

治療・休職・休養について

Q6.うつ病の治療に、薬は必ず必要ですか?

必ず必要というわけではありません。当院では、副作用で服用できないなど、やむを得ない場合を除き、改善や再燃予防のために、原則として抗うつ薬の使用をお勧めしています。

薬を使わず、休養などで改善する場合もあります。ただし、薬を用いた場合と比べて、改善までに時間がかかりすぎることと、ストレスがかかった際の再燃リスクが懸念されます。

Q7.休職を勧められましたが、生活のために働き続けたいです。どのようなリスクがありますか?

主なリスクは、症状が悪化することと、症状が長引くことです。休職を勧められたのは、治療のために仕事のストレスを減らし、休養に専念する必要があるという判断によるものと考えられます。

一つ目は、悪化のリスクです。ストレスが続くと、薬を使っていても、その効果よりストレスの影響が上回り、症状が悪化するおそれがあります。悪化すると、健康上の危険や治療の長期化につながる場合があります。

二つ目は、症状が長引くリスクです。薬の効果などで悪化を防げても、改善には至らず、不調が月単位で続くことは少なくありません。結果的には、一時期しっかり休んだ方が、早く回復する場合もあります。

休職中の収入については、「傷病手当金制度」を利用できる場合があります。この点も含めて、休職を検討してください。

Q8.休職して抗うつ薬を使い、2週間ほどで調子がよくなりました。薬をやめてもよいですか?

原則として、この段階で抗うつ薬をやめることはお勧めしません。抗うつ薬には、続けることで効果が出ることに加え、再燃を予防する役割があります。短期間でやめると、症状がぶり返すリスクが懸念されます。

ただし、症状の大半がストレスへの反応によるもので、適応障害と考えられる場合には、中止が選択肢になることもあります。その場合も、まずは主治医に相談してください。

Q9.休職中は、どのように過ごすとよいですか?

休養 → 身体面のリハビリ → 復職に向けた調整の3段階で進めます。うつ病では、休養とリハビリに時間がかかることが多くあります。

特にリハビリでは、意欲や活動量の改善にかなり時間がかかる場合があります。その場合は、焦らず少しずつ進めるとともに、薬の調整を主治医と相談することも一つの方法です。

Q10.医師からしっかり休むように言われましたが、どう休めばよいかわかりません。

骨折したときにその場所を安静にするように、うつ病の治療では、特に初期に「頭を休ませる」休養を重視します。理想的には、何もせずに休むことです。頭が休まることで、徐々に改善していきます。

ただし、考え事が続いて休めない場合もあります。休養で特に避けたいのは、考え事が続き、頭が休まらない状態です。なるべく受け流して休養に戻り、それが難しければ、趣味など別のことに集中して、考え事をいったん中断します。それでも不安から考え事が止まりにくい場合は、薬の調整を行うこともあります。

不安が強い場合など、さまざまな方法を試しても休養が難しいことがあります。その場合、外来での改善が見込みにくいことがあるため、休養する場所を自宅から病院に変える「休養入院」が必要になることもあります。

17.吉祥寺でうつ病の相談をお考えの方へ

こころ診療所吉祥寺駅前でのご相談。心療内科・精神科。状況に合わせた治療。初診はネット予約。吉祥寺駅井の頭口前。
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こころ診療所吉祥寺駅前は、吉祥寺駅井の頭口前にある心療内科・精神科です。ご自身でこころやからだの不調に気づいたときや、周囲から「いつもと違う」と言われたときは、早めにご相談ください。

治療では、休養・薬物療法・精神療法を組み合わせ、一人ひとりの状況に合わせて進めます。仕事をしている方は、休職が必要か、仕事の負担を減らしながら治療を続けられるかについても、症状や生活・職場の事情を踏まえて考えていきます。

初診のご予約は、ネット予約からお申し込みいただけます。

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うつ病について、約16分の動画で説明しています。本文とあわせて、動画でも確認したい方はこちらをご覧ください。

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この記事の著者

春日雄一郎
精神科医・精神保健指定医
医療法人社団Heart Station理事長。
YouTubeチャンネル「こころ診療所チャンネル」運営。

主な参考文献

  1. 尾崎紀夫・三村將 監修ほか:『標準精神医学 第9版』医学書院、2024年。
  2. 大熊輝雄 原著:『現代臨床精神医学 改訂第12版』金原出版、2013年。
  3. 米国精神医学会 原著、髙橋三郎・大野裕 監訳:『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2023年。
  4. 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:うつ病」。
  5. 国立精神・神経医療研究センター「認知行動療法マップ:うつ病」。