双極性障害(躁うつ病)
落ち込みと高揚をくり返す、こころの不調

音声はオフです。
双極性障害(躁うつ病)について
双極性障害は、落ち込みが強い「うつ状態」と、気分や活動性が高まる「躁状態・軽躁状態」を特徴とする病気です。気分とともに、睡眠、行動量、お金の使い方、人との関わり方も変化します。
治療の基本は、気分の波を抑える薬を続けながら、その時期に合った生活の対策を取ることです。急性期は休養を重視し、安定期は活動量や生活リズムを調整して、再燃を防ぎます。
こんな症状に注意
手がかりになるのは、いつもの自分と比べた、気分・睡眠・行動の変化です。次のような時期があったかを振り返ることが、診察でも役立ちます。
1.落ち込みが続き、普段のことができなくなる

気分が沈み、仕事や家事に取りかかる力が出なくなります。自信がなくなり、小さな失敗でも自分を強く責めるようになります。
以前は次々に動けた時期があったのに、今は何も進まない。その差に、本人が戸惑うこともあります。
2.睡眠が短くても平気で、次々に活動する

いつもより短い睡眠で目が覚め、疲れを感じずに活動し続けます。夜遅くまで作業をしても、翌朝からまた新しいことを始めようとします。
睡眠時間が減っているのに、本人は「今が一番調子がよい」と感じることがあります。
3.話す量・買い物・予定が急に増える

普段よりよくしゃべり、次々にアイデアを出して、予定を詰め込みます。高額な買い物や大きな計画を、その場の勢いで進めることもあります。
周囲から「少し飛ばしすぎでは」と言われても、自分では順調に感じています。
4.イライラが強まり、人とぶつかる

気持ちが高ぶり、相手の話を待てずに言い返す、助言に強く反発するなどの変化が出ます。言葉が高圧的になり、家族や職場との関係に影響する場合もあります。
躁状態では、上機嫌よりもイライラや怒りが目立つことがあります。
双極性障害(躁うつ病)を詳しく知る
1.はじめに

落ち込みと高揚が現れ、生活にも影響するこころの不調です。
双極性障害は、以前から「躁うつ病」と呼ばれてきた病気です。うつ状態では動けなくなり、躁状態では動きすぎるなど、時期によって正反対に見える変化が出ます。
どちらの状態も、仕事や家庭、人間関係に大きく影響することがあります。治療では、その時期の症状を和らげるとともに、次の波を防ぐことが重要です。
うつ病やADHDなどと似て見える場面もあるため、これまでの経過を整理して診断します。そのうえで、薬の治療と、状態に合う生活の対策を組み合わせていきます。
2.双極性障害とは―Ⅰ型・Ⅱ型と、躁うつ病・MDIの意味

躁状態の現れ方によって、Ⅰ型とⅡ型に分けて考えます。
双極性障害Ⅰ型:はっきりした躁状態がある
気分の高揚や活動の増加が強く、仕事や人間関係に大きな影響が出る「躁状態」を経験するタイプです。無謀な計画を進めたり、休むことが難しくなったりして、入院が必要になる場合もあります。
Ⅰ型は躁状態の経験が診断の中心で、うつ状態を伴う方も多くいます。
双極性障害Ⅱ型:軽躁状態とうつ状態がある
Ⅰ型の躁状態より程度の軽い「軽躁状態」と、うつ状態を経験するタイプです。軽躁の時期は、本人には「よく動ける、調子のよい時期」と感じられ、落ち込みの方を主な困りごととして受診することがあります。
Ⅱ型ではうつ状態が長引き、生活に大きく影響する方もいます。治療では、軽躁とうつの両方を見ていきます。
躁うつ病・双極症・MDIはどういう意味?
「躁うつ病」は双極性障害の以前からの呼び名で、「双極症」という名称も使われます。精神科で躁うつ病を指して使われる「MDI」は、Manic Depressive Illnessの略です。
診察では、呼び名と合わせて、どのような気分の波があり、どの治療を続けるかを確認します。
3.双極性障害の症状―うつ・躁・軽躁・混合状態

落ち込みと高揚に加え、睡眠や行動にも特徴的な変化が出ます。
うつ状態:意欲が落ち、自分を責める
意欲が落ち、身支度や仕事など、普段できていたことが進まなくなります。集中力や記憶力も落ち、簡単な判断にも時間がかかります。
落ち込みとともに自信を失い、「自分が迷惑をかけている」と罪悪感が強くなる場合があります。食欲が落ちて体重が減る、眠れない、反対に長く眠るなど、体や睡眠にも変化が出ます。
躁状態:高揚し、活動や衝動性が強まる
「何でもできる」と感じ、よくしゃべり、次々に計画を立てます。睡眠が短くても平気になり、仕事、買い物、交友関係などを大きく広げていきます。
お金を使いすぎたり、現実には実行が難しい計画を進めたりすることがあります。気が大きくなる一方、止められると強く怒る、高圧的になるなど、周囲との摩擦が増える場合もあります。
軽躁状態:「本来の調子が戻った」と感じやすい
軽躁状態では、活動や会話が増え、自信も戻るため、本人は回復したと受け止めることがあります。うつ状態が長かった方ほど、「これが本来の自分だ」と感じやすくなります。
見ておきたいのは、普段と比べた睡眠、予定、発言、出費の変化です。身近な人が感じた「いつもと違う」という様子も、診察の参考になります。
混合状態:落ち込みと高ぶりが重なる
気分は沈んでいるのに頭の中はせわしなく、焦りやイライラが強いなど、うつと躁の症状が重なることがあります。つらい気持ちのまま衝動的に動いてしまう場合もあります。
こうしたときは、落ち込みの強さに加え、焦燥感、睡眠、衝動性も主治医に伝え、早めに治療を調整します。
4.双極性障害と似た病気

見分ける手がかりは、これまでの経過と、症状が強くなる時期です。
①うつ病:過去の躁・軽躁の時期を振り返る
うつ状態の症状は、うつ病と双極性障害でよく似ています。双極性障害の診断では、落ち込んだ時期に加え、睡眠が減っても活動できた時期や、普段より高揚していた時期を確認します。
軽躁が目立ちにくい方では、治療を続ける中で躁・軽躁が現れ、診断や治療方針を変更する場合があります。調子のよかった時期も、具体的に伝えることが役立ちます。
②ADHD:子どもの頃からの特徴と、時期による変化を見る
ADHDでは、不注意・多動・衝動性を背景に、気分の変動や行動の勢いが目立つことがあります。よくしゃべる、衝動買いをするなど、躁症状と似て見える部分があります。
子どもの頃から続いている特徴と、ある時期にまとまって強くなる変化を分けて確認します。ADHDと双極性障害が重なる場合には、それぞれへの対応を考えます。
③PMS・甲状腺の病気など
月経前症候群(PMS)では、月経周期に沿って落ち込みやイライラが出ます。気分と月経の時期を一緒に記録すると、関連を確認しやすくなります。
甲状腺の異常など、身体の病気によって、気分や活動性が変わる場合もあります。動悸や体重の変化なども確認し、必要に応じて採血や内科での評価を行います。
5.双極性障害の原因・きっかけ

体質や脳の働きに、睡眠・ストレスなどの影響が重なって発症すると考えられています。
双極性障害の発症には、複数の遺伝的な要因や脳の働きが関係します。家族の病歴も診察で伺いますが、原因は一つに絞られるものではありません。
生活では、睡眠不足、忙しさ、人間関係の負担などが、気分の波を引き起こすきっかけになります。昇進や旅行など、うれしい出来事でも、活動や睡眠のリズムが大きく変わることがあります。
自分の波がどのような状況で始まるかを知ることは、再燃予防につながります。薬の治療とともに、休養と生活の調整を続けます。
6.双極性障害の診断と、受診の目安

今の状態と、これまでの気分・睡眠・行動の変化を合わせて診断します。
診察で確認すること
落ち込む時期や高揚する時期が、いつ始まり、どのくらい続いたかを伺います。睡眠時間、話す量、活動量、出費、人間関係への影響も大切な情報です。
家族が気づいた変化や、過去の治療・服薬歴も参考になります。手帳やスマートフォンの記録など、経過を思い出せるものがあれば役立ちます。
検査・セルフチェックの役割
診断の中心は、症状と経過を整理する診察です。質問票は特徴を振り返る補助として用い、採血などは甲状腺の病気や体の状態を確認するために行います。
受診時には、「気分が上がった」だけでなく、「3時間しか寝ずに連日動いていた」「普段より多く買い物をした」など、具体的な変化があると伝わりやすいです。
早めに受診したい状態
落ち込みで仕事や家事が難しい、睡眠が急に減って活動が増えた、出費や対人トラブルが増えている場合は、精神科・心療内科で相談してください。診断に必要な経過は、受診継続の中で徐々に整理していきます。
7.双極性障害の治療の基本

気分の波を抑える薬を土台に、状態に合った生活の対策を組み合わせます。
治療では、まず躁状態やうつ状態を改善し、その後も再燃を予防します。リチウムなどの気分安定薬を中心に、必要な薬を選び、状態に応じて組み合わせを調整します。
生活面では、休養、活動量、生活リズム、対人関係の負担を見直します。急性期は休むことを重視し、安定期は適度な活動を続けながら波の大きさを抑えます。
調子が戻ると「もう薬は必要ないのでは」と迷うこともあります。治療への気持ちや副作用を診察で相談し、続けやすい方法を考えていくことも、治療の一部です。
8.双極性障害の薬―気分安定薬・抗精神病薬など

薬は、躁とうつのどちらが強いか、再燃予防に何が必要かを見て選びます。
気分安定薬:波を抑え、再燃を防ぐ
リチウム、バルプロ酸などを使い、気分の波を抑えます。ラモトリギンも、気分の波の再発・再燃を防ぐための選択肢です。それぞれに役割や注意点があり、これまでの経過と相性を踏まえて選びます。
気分が安定した後も、再燃予防のために治療を続けます。眠気や体重の変化など、日常生活で気になることは、診察で具体的に伝えてください。
抗精神病薬:躁状態やうつ状態の治療にも使う
抗精神病薬は、双極性障害の治療にも使います。躁状態の高揚や興奮を抑えるもの、双極性障害のうつ状態に用いるもの、再燃予防に用いるものがあり、薬ごとに役割が異なります。
気分安定薬との組み合わせや、これまでの効き方、眠気・体重への影響などを見て調整します。
抗うつ薬:必要性を見極め、慎重に追加する
うつ状態に対して抗うつ薬を検討する場合には、気分安定薬などを土台に、必要性を慎重に判断します。抗うつ薬によって躁状態に転じる「躁転」や、気分の波が不安定になることがあるためです。
服用後に睡眠が減る、話す量や活動が急に増えるなどの変化があれば、早めに主治医へ伝えてください。
検査と、副作用への対応
リチウムでは一般的に、血中濃度、腎機能、甲状腺機能などを定期的に確認します。発熱、下痢、大量の発汗などで脱水になると、薬の濃度が上がることがあるため、体調を崩したときの対応も確認しておきます。
服用中に強い震え・ふらつき・嘔吐などが出た場合や、ラモトリギンの服用中に発疹・発熱などが出た場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。
9.気分状態と対応する治療方針―急性期・安定期

急性期は薬と休養、安定期は再燃予防と生活の調整に重点を置きます。
①急性期の躁状態:刺激を減らし、休養する
躁状態では、活動を重ねるほど刺激が増え、さらに気持ちが高ぶる悪循環が起こります。早めに薬を調整し、仕事、外出、買い物、人とのやりとりを減らして、休養を確保します。
本人は元気に感じていても、睡眠や行動に大きな変化が出ている場合は治療が必要です。自宅で休むことが難しい、生活上の損失が広がっている場合には、入院で治療することもあります。
②急性期のうつ状態:まず頭を休ませる
落ち込みが強く、普段の生活が難しい時期は、休養に専念します。仕事や家事の負担を減らし、考え事や大きな決断からも距離を置いて、頭を休ませます。
気分安定薬を続けながら、うつ状態に合う薬を検討します。自傷の危険が高い、食事や身の回りのことが保てないなどの場合には、入院も含めて治療を考えます。
③安定期:治療を続け、行動量を調整する
大きな躁・うつの波が落ち着いたら、再燃予防を重視します。気分安定薬を続け、生活リズムと対人関係の負担を整えます。
軽いうつ状態が続く場合は、無理のない範囲で活動を保ちます。軽躁の方向に傾く場合は、予定や刺激を減らして休養を増やします。状態の変化を見ながら、薬と生活の両方を調整していきます。
10.安定期の過ごし方―「気分の逆」を意識する

軽いうつでは活動を保ち、軽躁では休む方向に調整します。
軽いうつ状態では、小さな活動を続ける
大きな波は落ち着いても、気分や意欲が低めの状態が続くことがあります。その時期は、起きる時間を決め、散歩や家事、短時間の作業などを少しずつ続けて、生活が縮みすぎるのを防ぎます。
その日の意欲だけに合わせるより、体調に合った小さな予定を持つ方法があります。活動後の疲れや睡眠も確認し、急性期の強いうつ状態では、第9章の休養を優先します。
軽躁の方向に傾くときは、早めにブレーキをかける
「まだできる」「もっと進めたい」と感じるときほど、予定を増やしすぎないことが大切です。夜更かしや買い物、大きな契約などを控え、休む時間を先に確保します。
睡眠が減り始めた、連絡や発言が増えたなどの変化を目安に、主治医へ相談します。勢いがつききる前に調整する方が、生活への影響を抑えやすくなります。
「高揚している自分」より、続けられる安定を目標にする
臨床では、大きな波が落ち着いた後も、軽いうつ状態が続く方をよくみます。また、躁・軽躁のときの勢いを自分の基準にしていると、安定した状態が物足りなく感じられることがあります。
治療で大切にするのは、「高揚」よりも「安全」で、続けられる生活です。残っているうつ症状の改善も図りながら、睡眠を保ち、出費や対人面のトラブルを抑えて過ごせる状態を、自分の基準にしていきます。
11.再燃予防―生活リズム・対人関係・早めのサイン

薬の継続に加え、自分の波が大きくなる条件を減らします。
生活リズムをなるべく一定にする
起床・就寝・食事の時間を、できる範囲でそろえます。忙しい日や休日も、睡眠を大きく崩さないことを意識します。
予定が増える時期は、活動と同時に休養も確保します。飲酒やカフェインの量が増えている場合は、睡眠や体調との関係も確認します。
対人関係の負担を整理する
家族や職場との衝突、役割の変化、無理な引き受けなどが負担になっている場合は、関わり方を見直します。相談する相手を決める、返事をする前に時間を置くなど、実行しやすい方法から始めます。
治療では、病気の特徴を学ぶ心理教育や、対人関係・生活リズムを扱う心理的な支援を組み合わせることもあります。
自分の「始まりのサイン」を共有する
躁・軽躁の始まりには、睡眠が短くなる、買い物や連絡が増えるなどの変化が出ます。うつの始まりには、起きにくい、作業が進まない、人との連絡を避けるなどの変化がみられます。
気分、睡眠、活動を簡単に記録し、主治医や家族と共有します。「この変化が出たら連絡する」と先に決めておくと、早い調整につながります。
12.仕事・休職・復職をどう考える?

調子のよい日にできる量より、安定して続けられる量を基準にします。
働きながらの調整と、休職
状態が落ち着いている時期は、勤務時間や業務量を調整しながら仕事を続けます。夜勤や長時間労働で睡眠が崩れる場合には、働き方の見直しが重要です。
急性期は治療と休養を優先し、必要に応じて休職を検討します。躁状態での大きな契約や転職、うつ状態での退職など、生活を大きく変える判断は、気分が落ち着いてから相談して進めます。
復職は、生活の安定と負担への対応を確認する
睡眠や日中の活動が安定し、一定の活動を続けても大きく崩れないかを確認します。復職前には、勤務時間、担当業務、困ったときの相談先を整理します。
復帰後も、調子がよいからと一度に仕事を増やさず、段階的に戻します。主治医や職場、必要に応じて産業医と相談し、安定して働ける条件を整えます。
13.家族や周囲の方の接し方

気分の変化を責めるより、具体的な様子を共有し、治療につなげます。
うつ状態では、休める環境を支える
本人のつらさを聞き、家事や連絡などの負担を調整します。強い落ち込みの時期は休養を支え、安定期の軽いうつでは、主治医の方針に合わせて小さな活動を手伝います。
「早く元に戻って」と急かすより、いま困っていることと、手伝えることを確認します。
躁・軽躁のときは、変化を短く具体的に伝える
「最近、睡眠が短い」「買い物が増えている」など、見えている変化を落ち着いて伝えます。議論が続くと刺激が増えるため、話す内容を絞り、受診や休養につなげます。
落ち着いている時期に、出費が増えたときの相談方法や、家族から医療機関へ連絡する目安を、本人と話し合っておくと役立ちます。
支える側も、一人で抱え込まない
家族も、気分の変化への対応や生活上の後始末で疲れることがあります。医療機関や相談先を活用し、家族自身が休める時間も確保してください。
受診の働きかけに困る場合は、その事情を医療機関へ相談します。
14.妊娠・出産を考えるとき

妊娠前から相談し、病状の安定と赤ちゃんへの影響の両方を考えて薬を選びます。
双極性障害で使う薬には、妊娠中の使用に特に注意が必要なものがあります。妊娠を希望する段階で主治医へ伝え、産婦人科とも相談しながら、薬の種類や治療計画を検討します。
特にバルプロ酸は、胎児の先天異常や発達への影響が問題となるため、妊娠を考える際に優先して見直す薬です。リチウムなども、病状と妊娠中のリスク、必要な検査を踏まえて判断します。
妊娠が分かった場合は、早めに主治医へ連絡してください。急な自己中断で気分が不安定になることを避け、医療者と相談して調整します。
出産後は睡眠が分断されやすく、再燃に注意する時期です。妊娠中から、夜間の育児を分担する方法や、家族の支援、服薬と授乳の方針を相談しておきます。
15.双極性障害についてよくある質問

気分が一日の中で変わる場合は、どう考えますか?
診察では、その日の変化と、数日から数週間にわたる状態の変化を分けて確認します。気分に加え、睡眠の必要量、活動、話す速さ、衝動性が一緒に変わっているかを見ます。
一日の中の揺れは、同じ病相の中で起こる変動や、混合状態、出来事への反応など、複数の見方で整理します。「朝はこうで、夜はこうなる」と具体的に伝えることが役立ちます。
双極性障害は治りますか?
治療によって気分の波を抑え、安定した生活を目指せます。症状が改善した状態を保つために、再燃予防の治療を続けます。
経過には個人差があり、薬や生活の調整にも時間がかかる場合があります。睡眠、仕事、家族との生活など、自分が続けたい生活を主治医と共有し、治療の目標を具体的にします。
安定しているのに、薬を続けるのはなぜですか?
安定期の薬には、次の躁・うつの波を防ぐ役割があります。調子が戻っても、この予防の治療を続けることが重要です。
「いつまで飲むのか」「副作用が気になる」といった迷いも、診察で扱う大切な内容です。これまでの再燃、薬の効果、生活への影響を振り返りながら、続け方を相談します。
16.まとめ

診断を丁寧に行い、薬と生活面の治療を続けることが大切です。
双極性障害では、うつ状態と躁・軽躁状態によって、気分、睡眠、行動が大きく変わります。診察では、過去の調子のよい時期も含めて経過を確認し、治療方針を決めます。
治療の土台は、気分安定薬などによる波の改善と再燃予防です。急性期は休養を重視し、安定期は活動量・生活リズム・対人関係を整えます。
症状が落ち着いた後も、治療への気持ちを整理しながら通院と服薬を続け、安全に続けられる生活を目指します。
17.吉祥寺で双極性障害の相談をお考えの方へ

こころ診療所吉祥寺駅前は、吉祥寺駅近くの心療内科・精神科です。落ち込みを繰り返す、眠らずに活動する時期がある、気分の波で仕事や人間関係に影響が出ているなどのご相談を受けています。
受診の際は、落ち込んだ時期と高揚した時期、それぞれの睡眠や行動の変化を、分かる範囲でお伝えください。これまでの治療歴、お薬手帳、家族が気づいた変化も、診断と治療の参考になります。
双極性障害(躁うつ病):動画での説明
- 躁うつ病(双極性障害)は、落ち込みの「うつ状態」と高揚の「そう状態」が反復します。 - うつ病、PMS、ADHDなど「似た症状の病気」もあり、慎重に診断します。 - 気分状態に合わせつつ、気分安定薬などのくすりの治療と、生活面の指導を並行します。 - 「薬の継続」が、再燃の予防のために非常に重要です。
主な参考文献
- 尾崎紀夫・三村將 監修ほか:『標準精神医学 第9版』医学書院、2024年。
- 大熊輝雄 原著:『現代臨床精神医学 改訂第12版』金原出版、2013年。
- 米国精神医学会 原著、髙橋三郎・大野裕 監訳:『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2023年。
- 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:双極性障害(躁うつ病)」。
