HSPと適応障害は違いますか?
一見違うが時に合併あり
HSPは「生来の敏感さ」、適応障害は「後天的な」ストレス反応、一見別物です。
しかしHSPの「ストレスへの敏感さ」背景に時に適応障害を合併します。
もくじ
(1)ご質問「HSPと適応障害は違いますか?」
ご質問にお答えします。今回は「HSPと適応障害は違いますか?」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
今回お受けしましたご質問は「HSPと適応障害は違いますか?」というご質問です。
答えとしては「基本的には違うけれども、つながることもある」というふうにお答えします。
(2)HSPと適応障害、違いと関連
<HSPとは>
HSPは”Highly Sensitive Person”の略で、「高度に敏感な人」です。
生まれながらの敏感さがあって、いろいろなことが気になるというところ。
精神科的な言葉ではないんですが、精神科用語では生来の「不安障害」(不安神経症)が一番近いと思われます。
<適応障害とは>
適応障害はストレス反応に伴う各種のうつ症状です。
脳の不調はないとされまして、ストレスから離れると改善する点がうつ病との違いです。
その人にとって、ストレスがある種「許容量を超えたとき」に、適応障害が出てきます。
<HSPと適応障害は違う>
①用語の起源の違い
このHSPは、あくまで「心理学的な用語」の一方、適応障害は「精神医学の言葉」です。
②原因の違い
HSPは「生まれながらの」敏感さですが、適応障害はあくまで「後天的な」ストレス反応です。
<しかしつながることもある>
一見すると、この2つは全く違うというところ。しかし、時につながることもあります。
「どんな時につながるのですか?」というご質問があります。
答えとしては「HSPを背景として適応障害になることがある」というところです。
<適応障害とストレス>
浴槽のたとえを見てみるとわかりやすいと思います。
浴槽があって水が入って出ることがあります。
入るものが多くて出るものは少ないと徐々にたまり「あふれると発症する」イメージです。
ここで「HSPがあると」、「入ってくる量が圧倒的に多くなってしまう」。
結果、あふれやすくなってしまうところがあります。
そういうところからも、HSPでは適応障害のリスクがありあす。
そしてHSPでは特にストレス対策が大事です。
(3)HSPで大事なストレスマネジメント
ここにおいてのストレス対策「ストレスマネジメント」を大まかに振り返っていきます。
対策は、先程の浴槽の例えを見てわかるような3つになります。
まずはストレスを「ためない」、そしてストレス「発散する」、3つ目は容器を大きくする「耐性をつける」。
①ためない
対策は「気にしすぎず、受け流す(真に受けない)」、「考え過ぎない」、「環境選び」の3つです。
1)気にしすぎず受け流す
どうしてもHSP傾向ありますと無意識にやっていると気になってしまいますので、意識的に対策する必要があります。
「気にする」を行動分析して、効果と悪影響を見ていきます。おそらく気にしない方がいいはずです。
であれば、そういう「気にしそうな時」に一歩引いて「意識的に」受け流す練習をしていきます。
2)考えすぎない
これもHSPの場合無意識ですとやはり「考えて」しまいます。
意識的に「考えすぎ」特に「ぐるぐる思考」に関して「行動分析」しmさう。
「この効果は何で影響・悪影響は何か」を考えると、やはり考えない方がいいと思います。
とすれば「考えそうな時(はまりそうな時)」に一歩引き、「別のことをする」練習をします。
3)環境選び
まずHSP有無関係なく、環境から人は色々な影響を日々を受けているため、環境選びは凄く大事です。
そして、更にHSPの傾向があれば、受け取るものが他の人より大きくなります。
なので「あっている環境」受ける影響を選ぶことが、より大事になってきます。
②発散する
代表的な発散方法は「ストレスの発散」「休養の確保」「自分への声かけ」の3つです。
1)ストレスの発散
ストレスは溜まったままにすると良くないため、早めに発散して溜め込まないのが原則です。
趣味や没頭できる方法も含め、発散できる方法をしっかり持っておくことが大事です。
一方で仕事などあると長時間の発散が難しいため、別に「短時間で軽く発散できること」もあるといいです。
2)休養の確保
HSPはどうしても「疲れやすい」というのが性質上あります。
なので休養の確保は、普通の人よりも大事になってきます。
生活リズムを土台として、睡眠をしっかり取って、睡眠で回復するのがまず基本です。
そのほか、短時間でも緊張を解くことによって気疲れを減らす休養確保の時間も大事です。
3)自分への声かけ
HSPの傾向があると、「言葉」などに関してより影響を受けやすい面があります。
できれば他の人から良い声かけがあるといいですが、「他者からの声かけ」の質は「運の要素」が正直強いです。
だとすれば、自分でそれは何とかする方向。
「自分で自分をプラスにする」、励ます・リラックスさせる等の声掛けを自分にしていくことが大事です。
③耐性を付ける
代表的な方法は、「マインドフルネス」「生活リズムの確保」、「軸の明確化」の3つです。
1)マインドフルネス
これは考えや体の状態も含めた「今の自分の状態」に意識を向けて、そこに集中する方法です。
それによって、自分の感情や状態などを把握し、ストレス反応に対応しやすくなります。
あとは「嫌な感情」も含めて状態を「受け入れる」事で、逆にもがき過ぎず影響が減ることを期待します。
2)生活リズムの確保
体調・体の調子は、実は精神状態安定の柱、ストレスに負けないための柱でもあります。
そして「生活リズム」は体調の一番土台になってきます。
HSPがありますと考えすぎでリズムが崩れやすいため、それをうまく防いでいくことが大事です。
3)軸の明確化
HSPがあると、よくも悪くも相手に振り回されて余力がなくなってしまうことが多いです。
対策は「軸を明確化する」、過去とか何を大事にしてきたか等振り返りを通じ、自分の「軸」を明確にしていきます。
それによって外に振り回されにくくなり、結果「余力」ができ、ストレスが来ても対応しやすくなります。
(4)まとめ
今回はご質問「HSPと適応障害は違いますか?」について見てきました。
HSPは「生来の敏感さ」、適応障害は「ストレス反応」、用法の由来も含めまして、この2つは本来別物です。
一方、HSPがあると、「ストレスの敏感さ」からストレスがあふれ「適応障害になる」リスクがあるため注意が必要です。
特にHSP傾向ある場合は「ストレスをためない」「発散する」「耐性をつける」、このストレスマネジメントの徹底が大事です。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)