なぜあの人は適応障害なのに元気に見えるの?

ストレスから離れると改善

適応障害はストレスから離れると一見改善しますが、同じストレスに触れると再燃します。

 

人により「過剰適応」や「躁的防衛」で実際と違い「一見」元気に見える事もあります。

 

動画:なぜあの人は適応障害なのに元気に見えるの?

もくじ

 
  1. (1)はじめに:適応障害は元気に見える?
  2. (2)適応障害とその特徴(ストレスから離れると元気に見える事も)
  3. (3)適応障害は復職に苦戦する事あり
  4. (4)仕事中も元気に見える場合
  5. (5)まとめ
  6.  

(1)はじめに:適応障害は元気に見える?

ご質問にお答えします。今回は「なぜあの人は適応障害なのに元気に見えるの?」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

今回お受けしましたご質問は「なぜあの人は適応障害なのに元気に見えるの?」というご質問になります。

お答えとしては「ストレスから離れると調子が戻ります」とお答えします。

(2)適応障害とその特徴(ストレスから離れると元気に見える事も)

<適応障害とは>

適応障害はストレス反応によって起こる各種のうつ症状でます。

脳の不調はうつ病と違って「ない」とされ、ストレスから離れると原則回復するとされます。

そのため、ストレスから離れると場合によっては「元気に見える」場合もあります。

<ストレスから離れると回復する例>

例えば働いている方だと仕事の日は不調が続く一方、休日になると元気になる場合があります。

あと休むか迷っている時は非常につらかったのが休みの連絡をした後元気になることがあります。

あとは苦手な上司が休みの日は元気が戻るという場合もあります。

ストレスから離れると元気に見えることがあります。

これは休職のときも同様になります。

<うつ病の方が休職したとき>

うつ病の場合、まず休職初期しばらくは倦怠感が目立ち、動けずぐったりすることが多いです。

そして、人によっては、不安や罪悪感が目立って休めず、どんどん悪化してしまうこともあります。

そうでなくても、回復するまではなかなか時間がかかります。

<適応障害の方が休職したとき>

まず休職が決まるとストレスが減り、それでだいぶ改善がみられます。

そして、しばしばしっかり休養や活動もしばしばできます。

そして、いわゆる体調など回復するまでは短期間で、元気に見える場合もあります。

(3)適応障害は復職に苦戦する事あり

ここで「適応障害の方が元気に見えて軽いんですか?」というご質問ですが、「必ずしもそうとは限りません」と答えます。

<うつ病の休職のその後>

序盤は不調が続きましたが、徐々に活動が増えた後は比較的スムーズにいきやすいです。

そして、復職する際にいわゆる異動などは必要としないことが多いです。

「時間をかけて準備をしっかりすれば、リスクはだんだん減ってくる」のがうつ病の治療の特徴です。

<適応障害の休職のその後>

早期に安定する一方、、復職が近づくと不調がぶり返す「再燃」が多いです。

これと関連して復帰の際に、環境を変える「異動」などがしばしば必要になります。

うつ病とは違って、必ずしもゆっくり時間をかければ解決するとは限らない面があります。

そして「どうすれば復帰できますか?」と問われれば「異動や転職が無難なことが多い」という答えになります。

<適応障害での復帰の方法>

大きく言えば3つ、「異動や転職」をしての復帰、「業務などを調整」をしての復帰、そして「同じところへの復帰」です。

①異動や転職をしての復帰

これは異動・転職で環境を変え、環境のストレスを減らしての復帰です。

これはうまくいけば、ストレスが大きく減ることで治癒し、その後治療がいらなくなる場合も少なくありません。

一方で、再発を繰り返す場合に関しては、「内側をどうするか」など他のアプローチが必要になります。

②業務など調整での復帰

これは異動まではいかない微調整をする方法です。

これは、会社側と本人側がうまく折り合えれば、効果が期待できます。

一方で、両者がなかなか折り合えず決裂してしまうリスクもあることが弱点です。

③同じところへ復帰する

これは注意点が結構多いです。

この場合復帰した後も「休職前と同様のストレス」がかかります。

特に復帰する前に不調が強く出る場合は、ストレスの大きさが示唆されリスクが上がります。。

対策として「同じストレスがかかっても耐えられる」状態づくりが必要になります。

<同じ所に復帰するときの必要な対策>

同じところへ戻る時の主に必要な対策は「内省や振り返り」、「ストレスマネジメント」の2つです。

①内省や振り返り

復帰時に「以前と似たストレスがかかった時の対処」の方法論を休職中に準備していくことが必要です。

そして「強いストレスがあっても戻る意味は何か」を確立しておくことが大事です。

関連して「仕事を通じてどんなことをやっていきたいか」、「自分の軸は何か」を見つめなおすことも大事です。

②ストレスマネジメント

大きくはストレスを「ためない」「発散する」「耐性をつける」この3つの見直しが重要です。

1)ためない

まずは「対人の距離の確保」、巻き込まれてしまわないことが大事です。

また「真に受け過ぎない」、いろいろ言われたりするストレスを真に受け過ぎず受け流します。

もう一つは「孤立しない」、「孤立」することで荷が場がなくなるため、相談できる相手などいると心強いです。

2)発散する

まずは「ストレスの発散法の改善」、時間や労力が限られている中で、どう効率よく発散するかです。

続いて「休養の効率の改善」、休むのも同じく時間が限られてるため、どう効率よく休養して回復させるかです。

もう一つは「自分への声掛け」、自分で自分を責める状態は非常に厳しく、むしろ自分で自分を盛り上げる声掛けが大事です。

3)耐性をつける

まずは「マインドフルネス」自分の状態をしっかり把握してかつある種受け入れることでストレスの影響を減らします。

そして「軸の明確化」、自分の方向性の「軸」が明確になることで、ストレスへの耐性をつけていきます。

あとは土台としての「生活リズム、体力面などの改善」も大事です。

こういったことに休職中、集中的に取り組んでいくことが適応障害では復帰後を考えた時に重要です。

(4)仕事中も元気に見える場合

あと補足ですが「仕事中も元気に見えましたが」というご質問もありました。

これに関しては「無理して明るく振る舞ってしまう場合もある」という答えです。

<無理して明るく振る舞う場合の例>

無理して明るくふるまう場合、原因は大きくは2つです。

1つ目は、いわゆる「過剰適応」適応し過ぎるやり方をとる場合。

もう一つが「躁的防衛」あえてつらさの「逆」をしてしまう場合です。

①過剰適応

過剰適応では、ある種自分の状態を無視して場に合わせすぎてしまいます。

そうすると「本当のつらい状態」と「人前での一見明るい状態」が大きく乖離してしまいます。

実際は無理をしておりストレスはむしろ増大し悪化リスクが高くなるため、注意が必要です。

②躁的防衛

躁的防衛は、つらい時むしろ逆の表出をすることで自分を守る「防衛機制」の一つです。

こうすると本当はつらいんだけれども、一見むしろ元気過ぎるように見えることがあります。

これも実際にはきつい状態ですので、無理をするのはやはり危険です。

(5)まとめ

今回はご質問「なぜあの人は適応障害なのに元気に見えるの?」について見てきました。

適応障害はストレス反応でのうつ状態です。そのため、ストレスから離れることで元気に見える場合があります。

一方で、特に復職などに関しては難渋しやすい場合もあります。

同じところへ復職する場合は、「内省」と「ストレス対策の改善」に休職中取り組むことが必要です。

人により「過剰適応」や「躁的防衛」から一見元気に見える場合もあり、この場合は無理をしているため注意が必要です。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)