適応障害は治りますか?

多くは寛解・治癒・完治望める

適応障害は、治療の継続により果たして「治る」のでしょうか?寛解・治癒・完治の3つの側面から見ます。

 

外的ストレスが大きければ環境調整で「寛解」「治癒」「完治」可能ですが、人により再発反復します。

 

その場合は「内的ストレス対策」としての「ストレスマネジメント」確立から、完治の状態を目指します。

 

動画:適応障害は治りますか?

もくじ

 
  1. (1)はじめに:適応障害は治りますか?
  2. (2)適応障害のまとめ
  3. (3)「治る」の3つの言葉、寛解・治癒・完治
  4. (4)適応障害は治るのか?
  5. (5)適応障害の「寛解」について
  6. (6)適応障害の「治癒」について
  7. (7)適応障害の「完治」について
  8. (8)適応障害での2種類のストレス
  9. (9)ストレスの種類と再発のリスク、そして対策
  10. (10)まとめ
  11.  

(1)はじめに:適応障害は治りますか?

ご質問にお答えいたします。今回は「適応障害は治りますか?」というテーマでやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

今回お受けしましたご質問は「適応障害は治りますか?」というご質問になります。

これもどう定義するかというところはあるんですけれども、まずまとめの回答としては「治ることが多い。ただ、ときどき繰り返す場合があるので、注意が必要」ということになります。

(2)適応障害のまとめ

まず、適応障害についてまとめていきたいと思います。

適応障害は別名「心因反応」、ストレスに反応してうつ症状が出る心の不調になります。

うつ病では「脳の不調」ということに対して、適応障害は「ストレス反応」という点が一つ違いになります。

なので治療としては、主なものとしては、ストレスの対策をすることになってきます。

(3)「治る」の3つの言葉、寛解・治癒・完治

ここで治るという定義を今一度見ていきますと、寛解・治癒・完治という言葉があります。

まず「寛解」は薬を使った状態で症状がないということになります。

「治癒」というのは薬がない状態で、一定期間安定が続いているということ。

そして「完治」は「治癒」していて、かつ再燃のリスクも十分少ないということになります。

(4)適応障害は治るのか?

では、適応障害ではどうかと見ていくと、「寛解」と「治癒」に関しては環境を整えるなどして、かなりの可能性で達成可能。

ただし、完治に関しては達成できることが結構多いですが、一方で再発を繰り返すという方もいることがポイントです。

(5)適応障害の「寛解」について

では、少し詳しく見ていきます。まず適応障害の「寛解」に関してです。

主なストレス(仕事など)から離れることで速やかに改善することが適応障害の定義でして、この「環境調整」で速やかに寛解します。

ただ、ストレスから離れて寛解できる状態でも、現実的にストレスから離れにくい場合は、症状が続いてしまう場合があります。

(6)適応障害の「治癒」について

続きまして、適応障害の治癒ということに関してです。

適応障害によって薬は補助的に使うことはありますが、多くの場合は薬がない状態でもストレスが減ることで症状がなくなります。

ただ、人によっては眠れない場合、またはうつ病と近いうつの症状が続くという方に関しては、薬が必要な場合も時にあり得ます。

(7)適応障害の「完治」について

続きまして、適応障害の完治に関してです。

うつ病の場合はどうしても再発のリスクが残りましたが、適応障害では環境のストレスが十分なくなることで、人によっては再燃のリスクも十分に減り、「完治」が見込めます。

ただ、人によってはどうしても再発を繰り返してしまう場合があります。ちょっとここについて詳しく見ていきたいと思います。

(8)適応障害での2種類のストレス

ストレスは大きく言うと2つに分かれます。一つは環境など「外的なストレス」、もう一つがストレスを溜めやすい・考え過ぎてしまう等の「内的なストレス」です。

外的なストレスに関しては、環境調整・ストレスの少ない環境を選ぶ事が大事です。

もう一方で内的なストレス、考え方のくせや我慢してしまうくせに関しては、広い意味でのストレスの対処法を身につけるのが対策です。

(9)ストレスの種類と再発のリスク、そして対策

この中で、外的なストレス、環境的なストレスが大半であれば、環境調整すればいわゆる「完治」の状態、症状も再燃リスクも目立たない状態が可能です。

ただ一方で、「内的なストレス」が主な要因としてあった場合は、たとえ環境を変えても、その中で別のストレスからの再発リスクが続く場合あります。この時は再発リスクが高く、このままでは「完治」とは言いづらいです。

その時の対策は、主には「ストレスの対策(ストレスマネジメント)」の確立です。

合う環境の模索は土台ですが、そのうえでストレスの対策としてはまずストレスを溜めないこと。もう一つがストレスを十分発散すること。3つ目がストレスの耐性を付けること。

このための具体的な取り組みは色々ありますが、これを地道に続けていき、ストレスの対処能力を日々上げていくことが非常に大事です。

(10)まとめ

今回、「適応障害は治りますか?」ということで話をしてきました。

適応障害は平たく言うと「ストレス反応」ですので、環境を整えることで多くの場合、寛解、治癒、完治まで望めます。

ただ、人によっては内側のストレス(ストレスのたまりやすさ等)が強い場合があります。

この場合は、どうしても再発を繰り返すリスクがあるため「完治」までは難しいです。

その時は、幅広いストレスの対策、「ストレスをためない・発散する・耐性をつける」取組みを日々続けていくことが大事です。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)