ASDの話し方の特徴5つ

ASD特性が話し方にも出る

ASD(自閉症スペクトラム)は「社会性の障害」「こだわり」が特徴の発達障害です。

 

この2つの特徴が、話し方にも明確に出現し、交流に影響します。

 

動画:ASDの話し方の特徴5つ

もくじ

 
  1. (1)はじめに
  2. (2)ASDの特性は話し方にも出る
  3. (3)ASDの話し方の特徴5つ
  4. ①抑揚が乏しい
  5. ②相手や場に合わせにくい
  6. ③細かいことにこだわる
  7. ④一方的に話す
  8. ⑤言葉の選び方が独特
  9. (4)もし周りの人がこの特徴が強い時
  10. (5)もし自分に特性が強い時
  11. (6)まとめ
  12.  

(1)はじめに

ASDセルフチェック。今回は「ASDの話し方の特徴5つ」について見ていきたいと思います。よろしくお願います。

「社会性の障害」と「こだわり」、この2つが目立つ「ASD(自閉症スペクトラム)」。

このASDでは、話し方にも特性が反映された様々な特徴が出ます。

今回は「ASDの話し方の特徴5つ」を見ていきます。

(2)ASDの特性は話し方にも出る

ASDの特性は話し方でも目立ってきます。

<ASD(自閉症スペクトラム)とは>

これは「社会性の障害」「こだわり」の2つが目立つ生まれながらの発達障害です。

幼少期に発見されることが多いですが、大人になってから不適応で見つかる場合もあります。

この特性は、話し方にも出やすいところがあります。

<ASDの2つの特性>

①社会性の障害

社会性の障害では、相手の感情など認知が難しく、場に合わない言動をすることがあります。

②こだわりの障害

「こだわり」は一つのことにこだわりすぎて切り替えることが難しい面があります。

<2つの特性の話し方への影響>

①社会性の障害の影響

「場に合わない言動」や、「一方的に話してしまう」ことが出ることがあります。

②こだわりの障害の影響

細かいことにこだわって話しすぎ、全体像が見えない場合があります。

(3)ASDの話し方の特徴5つ

「社会性」と「こだわり」が話し方にも出ます。

①抑揚が乏しい

話すことでの「声の表情が乏しい」です。

<抑揚が乏しい>

まず言葉の速さやトーンがなかなか変わらず一定なことが多いです。

背景は「社会性の障害」が言われることがあります。

並行して、感情や思ったことを声に乗せることが難しい面があります。

<この特徴の影響>

まずは感情が乗りにくいなどで「誤解される原因になる」ことがあります。

続いて「相互的なやりとりの困難」、感情的な非言語的なやりとりが困難です。

また、「機械的」などと揶揄されたり、馬鹿にされたりすることがあります。

<関連する特徴>

まずは「音の高さや声質が独特」な場合があります。

また「話し方のリズムや強弱が独特」なこともあります。

そして、「あえて逆」をした結果「不自然に誇張した」状態になることがあります。

②相手や場に合わせにくい

「非言語的なやり取りの困難」です。

<相手や場に合わせにくい>

ASDでは相手の感情を読めず、「無配慮な発言」などが出ることがあります。

そして、場の雰囲気を読むことができず、「空気を読めない発言」が出ることがあります

。これは「非言語的な情報」の読み取りの困難が背景とされます。

<この特徴の影響>

まずは「人間関係への影響」、相手の感情を読めず、無配慮な発言などから影響が出ます。

また「仕事の立場への影響」、「空気を読まない発言」の反復でその組織での居場所を失うことがあります。

そして「対人トラブルのリスク」、「相手を傷つける発言」などが出た時にトラブルのリスクがあります。

<関連する特徴>

まずは話し方が初対面の人にも「タメ語」を使う等「無礼」に見えやすい所。

あとは逆に「丁寧過ぎる場合」くだけた関係でも、丁寧語が続く場合もあります。

人によっては、「文脈を無視した正論」を繰り返してしまうことがあります。

③細かいことにこだわる

「細かいことにこだわって全体が見えにくい」です。

<細かいところをこだわる>

話の「細かい部分」にこだわり、結果話が長くなってしまうことがあります。

そして、相手の細かいミスを「文脈を無視して」指摘してしまうことがあります。

そして、逆に「全体像や要点が見えてこない」ことがあります。

<この特徴の影響>

まずは話の内容がくどく、かつ要点が見えにくいです。

それによって相手が疲弊・苛立ちを感じることがあります。

そして、細かいミスの指摘など「こだわりの押し付け」からトラブルになるリスクがあります。

<関連する特徴>

まずはこだわりから「持論を押しつける」場合があります。

そして「議論等の修正が困難」調整・議論というよりは、もう「持論を曲げない」ことが目立ちます。

そして、逆に興味がないところが雑になる場合もあります。

④一方的に話す

これは「相互的な交流に困難がある」ことが背景です。

<一方的に話す>

「興味があることに関しては細かく話し続ける」ところ。

そして「相手の反応での修正なく話し続ける」ところがあります。

時に「相手の発言をさえぎって話し過ぎてしまう」場合も出てきます。

<この特徴の影響>

まず対話が一方的な交流になり、相互的なやり取りが困難になります。

そして、相手にある種「聞き手」の立場を強要し、疲弊や苛立ちを招いてしまうことがあります。

そして「建設的な交渉・議論」が困難になり、対立に至りやすいです。

<関連する特徴>

まずは「相手の話を聞かない」ということがあります。

続いて「空気を読まない言動」にも繋がることがあります。

後は「雑談をすることが苦手」雑談でのコミュニケーションの確立が苦手な場合があります。

⑤言葉の選び方が独特

「独特な言葉が独特な印象を作る」ことがあります。

<言葉の選び方が独特>

これはある種の「文語的な言葉」、書き言葉のような独特な言葉を使うことが多いと言われます。

そして、自分の興味のある分野の言葉を他の分野でかつ独特な言葉の順番などで使うことがあります。

これは「社会性の障害」と「こだわり」の双方の影響が言われます。

<この特徴の影響>

まずは「対人交流がうまくいきにくい」言葉の選び方・理解の仕方の違いから、交流がうまくいかないことがあります。

その結果、なかなか対人的な関係が作りにくく、孤立しやすくなります。

また時に「変」「変わっている」などと見なされ、組織や集団の中で低く評価される等があります。

<関連する特徴>

まずは「言葉を文字通りに受け取ってしまう」というところ。

「たとえ」などがわからず「文字通り」受け取ってトラブルなどが出ることがあります。

また、人によっては「独特な表情や外見」が言われることがあります。

そして、関連として、「独特な生活習慣がある」場合があります。

(4)もし周りの人がこの特徴が強い時

まずは「特性と話し方の関係を理解すること」が大事です。

主な「周りの方の対応の方向性」は、「特性と話し方の関連の理解」「相手の特性を尊重する」「必要時の介入」の3つです。

①特性と話し方の関連の理解

違和感や不快感などを感じた時に、その背景に何があるかをしっかり考えることが大事です。

「話し方の特徴と特性の関連」をうまく繋げて理解することが大事です。

そして「感覚的な違和感」を、これはこういう特性があるからだと「理論的に捉え直す」ことが大事です。

②相手の特性を尊重

「相手の独特さ」を「差別の理由にはしない」ことが大事です。

逆に本来の「いい面」も同時に見ていくことで、この「独特さの影響」をやわらげていきます。

そして「実害が目立たない範囲」においては、「相手の個性を尊重」します。

③必要時の介入

一方で、「実害が目立ってしまうこと」も確かにあります。

その場合は、「相手を尊重しつつも、必要な介入はする」ことになります。

ここでは「変えてほしい点」を「簡潔に分かりやすく明確に」伝えます。

ここで「人格否定や否定的感情」を入れず、リスペクトを土台に「ここだけは変えてほしい」風に伝えることが大事です。

(5)もし自分に特性が強い時

「まずは気付き、その上で修正する」ことが大事です。

主な「自分での取り組みの方向性」は、「特徴に気付く」「あえて逆をする」「中間を取る」の3段階です。

①特徴に気付く

以前の経験や周りからの指摘を振り返り、「自分の特徴・特性に気付く」ことが大事です。

そして、「それに関連した他の特性」にも合わせて気付いていきます。

自分の音声や映像を撮って客観的に観察するのもやり方の一つです。

②あえて逆をする

特徴に気が付いたら、意識的にその「あえて逆をする」ことが大事です。

少し変えるくらいだとあまり変わらないので、あえて「逆に」振ってしまうのが方法です。

例えばこれまで「一方的に話す」なら、もう「聞き手に回ることに専念する」ことが一つのやり方です。

あとコミュニケーションが得意な人のやり方を徹底的に「モデリング」真似することに専念する方法もあります。

③中間を取る

もし「あえて逆」でやり過ぎてしまったら、その後修正して「中間を取る」ことが大事です。

例えば合わせ過ぎ・真似しすぎ出つらくなってきたら、再度自分の特性も大事にしていきます。

逆に再度特徴が強く目立つ場合は、再度「あえて逆をする」ことになります。

(6)まとめ

今回はASDセルフチェック「ASDの話し方の特徴5つ」を見てきました。

ASDの「社会性の障害」「こだわりの特性」は、会話の中でも目立つことがあります。代表例は以下の5つがあります。

①抑揚が乏しい

②相手や場に合わせにくい

③細かいことにこだわる

④一方的に話す

⑤言葉の選び方が独特

周りの人はまず「特性と話し方の関連」を知ることが大事です。もし自分にある場合は「あえて逆」を一回しつつ調整していきます。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)