女性ADHD男性との違い5つ

女性は成人まで見つかりにくい

ADHDは、女性では幼少期は見つかりにくく成人発見が多いです。

 

背景には不注意型が多くトラブル少ないなどの男女差があります。

 

動画:女性ADHD男性との違い5つ

もくじ

 
  1. (1)はじめに
  2. (2)女性のADHDは気づかれにくい
  3. (3)女性ADHDの男性との違い5つ
  4. ①不注意型が多い
  5. ②衝動性の出方が違う
  6. ③学生時代までは適応しやすい
  7. ④ホルモンの影響を受けやすい
  8. ⑤二次障害が出やすい
  9. (4)まとめ
  10.  

(1)はじめに

女性の発達障害。今回は「女性ADHDの男性との違い5つ」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

発達障害の一つADHD(注意欠如多動症)、幼少期は女性は少ない一方、成人後に診断される人が多いという話があります。

女性のADHDの男性との違いは何でしょうか。今回は「女性ADHDの男性との違い5つ」について見ていきたいと思います。

(2)女性のADHDは気づかれにくい

「特に学生までは気づかれにくい」というところです。

<ADHDとは>

ADHDは「不注意」「多動」「衝動」、この3つが目立つ生まれながらの発達障害です。

幼少期は男女比4対1とされますが、成人後はほぼ1対1、男女同じぐらいに近づいてきます。

そのため、女性では成人後の診断が相対的に多いと推測されます。

<幼少期のADHDの症状>

女性のADHDが幼少期少ない背景は、「症状が目立ちにくい」ためとされます。

幼少期のADHDの症状で基本的に目立つのは圧倒的に「多動・衝動」になります。

多動・衝動は目立ちやすく、かつトラブルも多くなります。

一方で、もう一つの「不注意」はあまり目立ちにくい面があります。

<成人のADHD(不注意が目立つ)>

女性のADHDが成人後に目立つ背景は、「社会に出ると不注意の影響が増える」ことです。

「多動・衝動」は成人後改善する一方で、「不注意」は成人後も続きやすい面があります。

そして、成人後は様々な「約束ごと」が増え、一方で家族や知人のサポートが減る面があります。

そのため、女性のADHDは不注意を背景に、大人になって目立ちやすい面があります。

一方で、「大人で見つかるということは、診断までがだいぶ遅れている」という面でもあります。

<ADHDの診断が遅れるデメリット>

まずは、「幼少期の療育支援の機会が失われてしまう」ことがあります。

そして「必要時の薬物療法をする機会が失われる」面もあります。

これらを背景に「二次障害合併のリスクが高くなる」事に一番注意が必要です。

なので女性のADHDでは、早期発見と早期治療が大事になってきます。

そして早期発見のためには、「症状の男女差」をしっかり知ることが大事になってきます。

(3)女性ADHDの男性との違い5つ

「女性の方が症状は目立ちにくい一方、実際の影響は同じく強い」面があります。

①不注意型が多い

「多動・衝動はしばしば目立たない」ことが特徴です。

<ADHDの3つのタイプ>

まずは「不注意優勢型」不注意が多い方。

または「多動性衝動性優勢型」多動・衝動が目立つ方。

あとは「混合型」両方目立つ方がいらっしゃいます。

そして、幼少期に関しては「多動・衝動」が目立ちます。

<多動・衝動性と不注意を比べると>

多動・衝動性は非常に目立ちやすい一方、不注意はなかなか目立ちにくいところがあります。

多動・衝動はトラブルが多い面がありますが、不注意だけだとトラブルはそこまで多くありません。

多動と衝動は「周りがカバーするのは難しい」一方、不注意は「周りがカバーしやすい」面があります。

<不注意は幼少期では気づかれにくい>

不注意での「うわの空」の状態はあっても、明らかな問題行動は目立たないところがあります。

そして受け身であっても、喧嘩などのトラブルはあまり目立たない面があります。

そして、「忘れ物」や「片付け困難」はご家族などがしばしばカバーすることがあります。

<社会に出ると目立ちやすい>

どうしても社会に出ると、自発的な様々な事の管理が必要になり、結果不注意の影響が強まってきます。

そして、その不注意の特性をカバーする人があまりいなくなります。

そして、仕事以外にも、炭塵生活など家の生活への影響も強まってくることがあります。

②衝動性の出方が違う

女性ADHDでは衝動性は「直接的な形では出にくい」です。

<男性のADHDでの典型例は女性では出にくい>

男性ADHDの衝動性では「急に怒る」「暴力」「衝動行為」などありますが、これらの症状は女性では目立ちにくいです。

言い換えると「より間接的な形で出て」きます。

<女性での衝動性の例>

例としては「買い物依存」「クレームをし過ぎる」「その場限りの人間関係」の3つがあります。

1)買い物依存

はじめはストレスの発散として「衝動性」も背景に、高額の買い物をしやすいことがあります。

それで「買い物後楽になった」場合、次第にそこに依存し習慣になることがあります。

そして、これは「買い物依存」と認識される一方、背景のADHDの衝動には気づかれにくい面があります。

2)クレーム

納得いかないことがあると、衝動的になってクレームをするというところ。

これは暴力などと違い一見正当に見えますが、やはり度を越えてしまいますとトラブルになることがあります。

これは暴力のような明らかなトラブルではなく、なかなか背景のADHDが気付かれにくいことがあります。

3)その場限りでの人間関係

衝動的に新しい人間関係を作る一方、なかなかそれが長続きしない。

そしてどんどん移ろってしまうことが繰り返されることがあります。

注意が必要なのは、その中で特に「不適切な人間関係」でトラブルに巻き込まれる危険性です。

③学生時代までは適応しやすい

「女性のASD以上に気付かれにくい」ところがあります。

<幼少期から小学生まで>

小学までは、男性のADHDの方のような多動や衝動のトラブルはあまり見当たりません。

そして集中困難に関しては「おとなしい」というところにとどまることが多いです。

そして忘れ物などに関しては、宿題なども含めご家族などがサポートして目立たないことがしばしばあります。

<10代や学生時代>

ASDの場合と違い、ADHD単独の場合同年代の集団で「雑談なども適応が可能」です。

時に「衝動」由来でいろいろ問題が起こりえるのですが、ASDの孤立ほど「露骨」でなく、「障害」と見えにくいです。

そして、この時期も不注意の影響はありますが、ご家族や知人・友人がサポートすることがあります。

<社会に出ると>

一方で社会に出ると、「不注意」と「社会ルール」のミスマッチが目立つようになり、それで不適応になることがあります。

そして、衝動に関しても「若さゆえ」では許されないことが増えてきます。

また、友人やご家族の「不注意へのサポート」は、少なくとも減ってくるところがあります。

こういうことがあって、「大人になって気づかれやすい」ことがあります。

④ホルモンの影響を受けやすい

「PMS的な気分変動が重なってしまう」ことがみられます。

<PMS(月経前症候群)>

PMSは、女性ホルモンの変動に伴う周期的な気分変動です。

落ち込みのほか、イライラや衝動性で出ることもあります。

これは出方であったり、重症度はかなり多様ですが、「軽め」も含めるとかなり多くの人が持っています。

<もとにADHDがあってPMSを合併すると>

その場合は、特に衝動・イライラ・気分変動が周期的に強く出ます。

その場合、PMSの存在が明確になる一方で、背景のADHDに関しては見逃されやすいところがあります。

<ADHD+PMS合併時の対策>

合併時は、症状がより目立つ方を先に治療することになると思われます。

治療で片方が改善したときに、もう一方はどれぐらい残るかを見ていきます。

それで強く残る場合、もう一方の治療も一緒に行うことになると思われます。

⑤二次障害が出やすい

「未治療での過剰適応持続の影響」での二次障害です。

<発達障害(ADHD含む)の二次障害の例>

まずは「うつ病」や「社会不安障害」が出ることがあります。

あとは「慢性的なうつ状態(気分変調症)」が、自己肯定感の低下を背景に出ることがあります。

あと「摂食障害」食事の問題や、「パーソナリティ障害」を合併することがあります。

<本当に適応しているか?>

先ほど、10代までは「適応している」という話ですが、本当に適応しているでしょうか?

目立ったトラブル等の「不適応はない」という意味では適応とはいえます。

しかし一方で、例えば「過剰適応」と言って無理に適応して実際はストレスが強い状態のこともあります。

あとは大きくは目立たない「軽い不適応」が続いている場合もあります。

<過剰適応>

過剰適応は場の雰囲気にある種「無理して合わせる」ことによって適応を図り不適応を防ぐことです。

確かに不適応はまぬがれますが、本来の自分と違う言動を続けるため、「自分の軸」を見失いやすくなります。

また無理して合わせる中強いストレスが続き、二次障害のリスクが高まってしまうことがあります。

<軽めの不適応の持続>

いわゆる「事例化しない程度の軽い不適応」、何かうまくいかないというのが続くことがあります。

これが続くと他者や家族などから否定的なことを言われることがしばしば続くことになります。

そうすると自己肯定感が下がり、二次障害のリスクが高まります。

<二次障害の対策>

一番大事なのは「早期発見・早期対策」です。

それを背景に、人によっては「ADHDの治療薬」で自然な適応を目指していけることもあります。

そして「うつ」など影響が強い二次障害には、「抗うつ薬」など薬の治療も選択肢になってきます。

(4)まとめ

今回は女性の発達障害「女性ADHDの男性との違い5つ」についてまとめてきました。

女性のADHDは男性とは以下の5つの違いがあり、成人になるまで気付かれにくいところがあります。

  • ●不注意型が多い
  • ●衝動性の出方が男性とは違う
  • ●学生時代までは適応しやすい
  • ●ホルモンの影響を受けやすい
  • ●二次障害が出やすい

この中で、二次障害などを防ぐことが特に大事です。

そのためには、なるべく早く発見して早く対策をすることが望まれます。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)