気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ
双極性障害やADHDなど
気分の浮き沈みが目立つと、人間関係など不安定になるリスクがあります。
双極性障害やADHDなど、様々な精神疾患で出る事があります。
もくじ
- (1)はじめに
- (2)気分の浮き沈みとその影響
- (3)気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ
- ①双極性障害(躁うつ病)
- ②ADHD
- ③境界性パーソナリティ障害
- ④PMS・PMDD
- ⑤非定型うつ病
- (4)まとめ
(1)はじめに
精神疾患セルフチェック。今回は「気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ」を見ていきたいと思います。よろしくお願いします。
「気分の浮き沈みが激しい」といえば、多くの人は双極性障害(躁うつ病)を連想すると思います。
しかし、他にも気分の浮き沈みが激しくなる精神症状はいくつかあります。
今回は「気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ」を見ていきます。
(2)気分の浮き沈みとその影響
「対人面など」に影響が出やすいです。
<気分の浮き沈みが激しい>
これは短期間のうちに気分が大きく上下することです。
双極性障害のほかにも、いくつか原因があります。
そして、対人面(人間関係など)に影響が大きいため注意が必要です。
<気分の浮き沈みが激しい背景>
まずは「ストレスによる変化」強いストレスで悪化しストレスが減ると改善する方もいます。
また「身体的な要因」中には甲状腺のホルモンの不調から「気分の浮き沈み」が出る方もいます。
そして、もう一つが精神疾患になります。
<気分の浮き沈みが激しい影響>
まずは「対人関係への影響」が強く出ることがあります。対人関係が一定しなくなりがちです。
あとは「仕事や学業への影響」調子がいい時は良くても調子が悪くなるとつまずく場合が多いです。
そして「自己評価や精神面への影響」失敗から自己否定および精神面の悪化に至ることがあります。
<気分の浮き沈みへの対策>
まずは「ストレスや疲労への対策」体調と余力を整える事によって、変動をなるべく防ぎます。
もう一つが「気分の逆をする」、これは特に双極性障害で有効ですが、高揚時はむしろ休み、うつの時は逆に動く対策をします。
そしてもとに精神疾患があれば、その治療をしっかりしていきます。
(3)気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ
「精神疾患から気分が変動する」こともあります。
①双極性障害(躁うつ病)
「短期間で変動することも」あります。
<双極性障害>
双極性障害は、「うつ」落ち込みとその逆の「躁」を周期的に繰り返す脳の不調です。
基本的には、周期は数カ月など長いことが多いんですが短期間で変動することも時にあります。
<気分の浮き沈みが激しい場面>
まずは「ストレスや疲れに反応して」波が強くなる場合があります。
そして「混合状態」躁とうつの両方の要素が混じっている場合が時としてあります。
もう一つは「ラピッドサイクラー」気分変動の周期がより早くなる場合があります。
<治療と対策>
まず双極性障害は脳の不調のため、受診と治療が基本的には必要です。
その中で、生活面では「気分の逆をする」。躁の時はあえて休み、うつの時はあえて動くようにします。
そして「生活リズムを一定にする」生活リズムと気分の波は連動しやすいため、生活リズムを一定して気分変動を防ぎます。
②ADHD
「衝動性から気分が動く」状態です。
<ADHD>
ADHDは不注意・多動・衝動性が特徴の発達障害です。
衝動性などを背景に、気分が短期間で変動しやすいのが特徴です。
対人面や生活への影響が続く場合があります。
<気分の浮き沈みが激しい場面>
まずは「ストレスや出来事に敏感に反応」して衝動的に気分の波が出ることがあります。
そして「無理に集中して疲れること」で波が出る方がいます。
また「体調不良や不眠」で波が出やすいことがあります。
<治療と対策>
まずは「ADHD治療薬」が有効な場合もあるため、診断後の場合は一度使うのも選択肢です。
その中で衝動を観察して「一歩引き」巻き込まれない練習を反復することが大事です。
そして「体調や生活リズムの管理」も重要です。
③境界性パーソナリティ障害
「ストレスに敏感で気分が変動する」障害です。
<境界性パーソナリティ障害>
境界性パーソナリティ障害は、特に感情調節が困難なパーソナリティ障害です。
ストレスに敏感に反応し、結果気分が変動します。
対人関係に関して、特に反応しやすいです。
<気分の浮き沈みが激しい場面>
まずは「全般的なストレスに敏感に反応して」の浮き沈み。
そして人によっては「自己否定が強まった時」に波が出やすい場合があります。
その中で「他者に拒絶されたり、見捨てられた時」に強く波が出ることも多いです。
<治療と対策>
境界性パーソナリティ障害には治療薬はなく、主には感情調節の様々な技術の習得が対策です。
まず、「不安定になった時の応急処置的な対策・対処方法の確立」をすることが大事です。
その上で、徐々にでもある種の「自分軸」を確立し、外からの影響を受けにくくしていきます。
④PMS・PMDD
「ホルモン変化での気分の変動」です。
<PMS・PMDD>
月経前数日間の心身の周期的な不調、これがPMSです。
その中で、イライラなど精神症状に特化したものがPMDDです。
特に精神面に特化したPMDDでは、周期的な気分変動が目立ちます。
<気分の浮き沈みが激しい場面>
「月経前の数日」に変動が出やすいです。
そして、「ストレスが重なること」でより強く変動が出ます。
あと「痛みや体調不良」が気分の浮き沈みに影響する場合があります。
<治療と対策>
まず生活面としては「不調の時期」周期的に予測できますので、その時期の負担・ストレスを減らします。
それでも厳しい場合に婦人科でピルの使用を検討します。
気分面に関しては、抗うつ薬SSRIなどの使用を検討します。
⑤非定型うつ病
「気分が変動しやすいうつ病の1種」です。
<非定型うつ病>
非定型うつ病は、うつ病のタイプの一つで、非典型的な特徴がいくつかあるものです。
一番には「出来事に反応しての気分変動が多く出やすい」ことが特徴です。
そして、過食や過眠など、他の特徴も指摘されています。
<気分の浮き沈みが激しい場面>
まずは「肯定的でうまくいった出来事」があると気分が高揚する変化が出ることあります。
逆に「否定的な出来事」、特に対人的な否定的な出来事で大きく落ち込むことあります。
そして「変化や変わった出来事」のあとに変動が出ることが多いです。
<治療と対策>
基本は「うつ病に準じた治療」休養・薬物療法・精神療法などをします。
その中で「ストレスマネジメント」ストレスへの対策で変動を減らします。
そして、なるべく「一定の生活リズム」を保ち気分の浮き沈みを減らすことを試みます。
(4)まとめ
今回は精神疾患セルフチェック「気分の浮き沈みが激しい精神疾患5つ」を見てきました。
「気分の浮き沈みが激しい」背景には精神疾患があることは多く、代表例は次の5つです。
- ①双極性障害(躁うつ病)
- ②ADHD
- ③境界性パーソナリティ障害
- ④PMS・PMDD
- ⑤非定型うつ病」になります。
対人面や自己否定にも気分の浮き沈みは直結するため、もし続く場合は受診も含めて早めの対応を検討します。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)