向精神薬(こころのくすり)

様々なタイプのメンタルの薬

向精神薬はメンタル分野の薬の総称です。抗うつ薬・睡眠薬など様々な種類があります。

 

抗うつ薬のように病気治療に必要なものと、睡眠薬のように症状を改善するものがあります。

 

向精神薬の薬物療法と認知行動療法等の心理療法は対立せず、時に併用していきます。

 

動画:向精神薬

もくじ

 
  1. (1)はじめに:向精神薬(こころのくすり)
  2. (2)総論:向精神薬を使う「薬物療法」の基本的な考え
  3. (3)こころのくすり(向精神薬)8種類
  4. (4)各論①抗うつ薬
  5. (5)各論②睡眠薬
  6. (6)各論③漢方薬
  7. (7)各論④抗不安薬
  8. (8)各論⑤抗精神病薬
  9. (9)各論⑥気分安定薬
  10. (10)各論⑦ADHD治療薬
  11. (11)各論⑧抗認知症薬
  12. (12)まとめ
  13.  

(1)はじめに:向精神薬(こころのくすり)

ここでは、こころの薬全般についてまとめていきます。

心療内科・精神科ではさまざまなお薬が出ますが、種類としてはこれから挙げる8種類です。

今回はこころの薬「向精神薬」、全般的にまとめていきたいと思います。

(2)総論:向精神薬を使う「薬物療法」の基本的な考え

まず、薬の治療の基本的な考えなんですけれども、お薬によって心の不調、症状、うつ病など病気、その改善を図るというのが薬物療法です。

薬の種類によって違いがありますので、その方の症状や程度、あとは副作用なども含めまして、ご相談しながら必要最小限の薬を使っていきます。

薬に関しては2つの効き方があります。一つは病気そのものに効く、もう一つが症状に効くということです。

前者に関しては、例えばうつ病の方に対しての抗うつ薬、もしくは躁鬱病の方に関しての気分安定薬というのが代表的です。

もう一つ症状に関して効くということについては、不眠に対しての睡眠薬であったり、不安全般の抗不安薬であったり、あと漢方薬もその種類に入るかと思います。

そして、この薬の治療を、薬物療法と他の治療、これは対立ではなくむしろ共存することがあるかと思います。

例えばパニック障害(パニック症)において、抗うつ薬でまずベースの不安を減らしながら、脱感作法という心理的治療を合わせて行います。

(3)こころのくすり(向精神薬)8種類

では、実際の薬に関してこれからまとめていきたいと思います。

よく使うものとしては4種類。抗うつ薬、睡眠薬、漢方薬、抗不安薬。

状況によって使うものとしては4つ。抗精神病薬、気分安定薬、ADHD治療薬、抗認知症薬。

合わせて8種類になります。

(4)各論①抗うつ薬

まず、1つ目として抗うつ薬があります。

これは、うつ病や不安障害などで使う薬です。

脳のセロトニンという物質を、減ってしまったセロトニンという物質を増やすことによって、うつ・不安障害の治療を行っていく薬になります。

何種類かありますけれども、主なものとしては、SSRIというタイプの薬が一般的に使います。

そのほか、SNRI、NaSSAなど、別の種類の薬もあります。

<抗うつ薬の効果の出方と副作用等の特徴>

共通する特徴としては、薬を飲んで2-3週して時間差で効いてくる薬になります。

一方で、体は慣れるまで初期にお腹の不調など副作用が出ることがあります。

なので初期は副作用だけ出ることもあるんですけれども、慣らしていきながら、腰を据えて使っていきたい薬です。

そして改善後数カ月は使ってその後で離脱症状を出さない為に、徐々に減らします。

(5)各論②睡眠薬

続きまして、2つ目として睡眠薬です。

これはまさに睡眠をとりやすくする薬ですけれども、最近ですと依存があまりない薬も選択肢になってきています。

そして、不眠症・うつ病などの不眠双方に使います。

<依存がないタイプの睡眠薬>

種類は、依存ないものはまずはオレキシン受容体拮抗薬、具体名はスボレキサント・レンボレキサントがあります。

もう一つメラトニン受容体阻害薬、具体的にはラメルテオンという薬があります。この2つは依存がないものになります。

スボレキサントは長め、レンボレキサントが短めでラメルテオンは個人差があります。依存がなくて安全に使えるんですけど、効果は少し弱めです。

<ベンゾジアゼピン系睡眠薬>

そして、依存が少しあるものとしてはベンゾジアゼピン系睡眠薬。これは効果は強い、ただし依存の問題に注意が必要です。

このベンゾジアゼピン系の薬について、少し詳しく見ていくと効く時間に差があります。

短いものから長いものまであります。超短時間・短時間・中間型などがあります。

超短時間型でゾルピデム、短時間でブロチゾラム、中間型でニトラゼパムになります。

これは不眠のタイプによって使い分けることがあります。

短いものは入眠困難に使います。長いものは中途覚醒に対して使っていきます。で、中間は両方に対して使います。

<睡眠薬を使う基本方針>

この睡眠薬を使う基本的な方針としては、まずは薬以外の対策を取っていく。

それでも厳しい場合にできれば、依存がないタイプの睡眠薬を使っていく。

しかし、例えば効果を急ぐ場合、急ぐ必要がある場合、もしくは依存がないタイプの薬が効果が乏しい場合に関しては、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を検討していきます。

ただ、その場合も他の選択肢はないか。他の補助的な薬。例えばトラゾドンという抗うつ薬は眠る作用はありますけど、他のものを補助的に使えないかということはあわせて検討していくということになります。

(6)各論③漢方薬

3つ目の薬として漢方薬があります。

漢方薬は色々なタイプのものがありますけれども、その中で不安や緊張に対して効果が見込めるとされるものが幾つかあります。

これらは副作用が少ないので、症状が軽い場合や副作用が出やすい場合、あと副作用の心配がある場合に検討されていきます。

代表的な例としては、半夏厚朴湯、抑肝散、加味帰脾湯などがあります。

半夏厚朴湯はのどのつまりなどに効果があったり、抑肝散はイライラに効果があったり、加味帰脾湯は意欲を出すために効果があるとも言われますけど、個人差はありますので、ご相談しながら使っていくものになるかと思います。

(7)各論④抗不安薬

4つ目として、抗不安薬主にベンゾジアゼピン系の抗不安薬になります。

これはまさに不安を和らげる薬。

その中で、基本的に飲んで15分ぐらい効いてくる即効性があるんですけれども、あくまで症状に効く薬ですので、薬の効果が切れてくると効果も切れてきます。

一番注意が依存のリスクあり、注意が必要です。

<持続時間の違いでの分類>

この薬も効く長さが違いがあります。超短時間・短時間・長時間型があります。

例としては、超短時間がエチゾラム、短時間がブロマゼパム、長時間がロフラゼプ酸エチルなどがあります。

例えば頓服は少し効果の短いものを使いますし、1日中効果を出したい場合は長時間のものを使います。

<抗不安薬の使用方針>

使う方針としては、なるべく本当に必要な時に絞ること。かつ定期的によりも、頓服を優先するということはあります。

で、なるべく短期間の使用にとどめたいので、可能なら、例えば抗うつ薬であったり、不安を取る別の種類の薬で置き換えるなどして、この抗不安薬自体はなるべく短めにします。

しかし、一方で、定期的に使う場合は短い薬よりはなるべく効果は長い薬を優先します。

(8)各論⑤抗精神病薬

5番目の薬としては、抗精神病薬があります。

これは主に統合失調症に対して使う薬です。あとそう状態、そううつ病の躁状態に対しても使うことがあります。

ドーパミンという興奮などの物質を抑えて、興奮を抑えることで、精神面の安定を図るという薬になります。

例としてはリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、レボメプロマジンなどがあります。

これらの副作用としては種類にもよりますけれども、眠気、倦怠感、だるさ・薬剤性パーキンソン症候群があります。

(9)各論⑥気分安定薬

6番目として気分安定薬があります。これは主に躁うつ病の方が使う薬になります。

そうとうつ気分の波を少しでも抑えるために使う薬。躁うつ病診断があった方は原則続けて使うということになってきます。

代表的な薬としては、リチウム・バルプロ酸・ラモトリギンなどがあります。

薬の副作用としては、眠気には注意が必要です。

あと、気分安定薬特有の注意点としては薬の濃さが多くなり過ぎると「中毒症状」が出るため、「血中濃度」を検査で調べることが勧められます。

もう一つのラモトリギンに関しては、薬疹と言ってアレルギー的な湿疹が出る場合があります。この場合は、薬を中止してください。

リチウム・バルプロ酸に関しては妊娠した時の影響が比較的強い薬になりますので、妊娠を検討される場合は先生と相談していただけたらと思います。

(10)各論⑦ADHD治療薬

7番目がADHD治療薬です。これはADHDの特性、不注意・衝動性に対して改善をする薬になります。

改善するためには、代表的な薬に関しては続けて使うことが必要になります。

具体例としては、主にアトモキセチン、グアンファシン、この2つが例になります。

もう一つメチルフェニデートという薬があるんですけれども、これはちょっと依存のリスクがある。慎重に検討しなきゃいけない薬ですので、原則はアトモキセチン・グアンファシンを優先すると思われます。

副作用としては、アトモキセチンの方はお腹の副作用、めまいなどがあります。グアンファシンの方は、眠気・だるさが注意が必要です。

双方、効くまでに2-4週間ほど、ちょっと時間がかかりますので、すぐ効くわけではない、続けることで徐々に効果が出るということを踏まえていただけたらと思います。

そして、これはあくまで傾向を和らげる薬で0にするわけではないですので、薬を使うと共に生活面の工夫や集中を戻す練習だったり、薬以外の方法もあわせて行っていただけますと幸いです。

(11)各論⑧抗認知症薬

8つ目として抗認知症薬があります。これはアルツハイマー認知症の進行、進むのを遅らせる薬です。

特に中核症状といって、物忘れそのものの進行・進んでしまうことを遅らせる薬になります。

続ける必要がある薬で、ただこれは治るわけではなくて、あくまで進行・進むのを遅らせる薬ということに注意が必要です。

代表的な薬としては、ドネペジル・ガランタミン・メマンチンなどがあります。

副作用としては、眠気やめまいが出る場合があります。あと、相性が悪いとイライラが出る場合があるので、その場合は主治医の先生と相談をしてみてください。

(12)まとめ

ここまでこころの薬についてまとめてきました。代表的に8つの薬があります。

抗うつ薬、睡眠薬、漢方薬、抗不安薬、そして抗精神病薬、気分安定薬、ADHD治療薬、抗認知症薬。

これらは、症状などを見て必要に応じて使っていくことになります。なるべく種類を少なく使っていくことになります。

症状や状況後、副作用のでやすさなどによってどの薬をどれぐらい使うといいかというのは本当に個人差があって変わってきます。

なので、具体的にどうしていくかに関しては、診察を受けた上で、主治医の先生と相談して決めていっていただけたらと思います。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)