心療内科・精神科よく使う薬13
しばしば使うメンタルの薬
心療内科・精神科の薬物療法では様々な薬を使いますが、よく使う薬の種類は限られてきます。
各種類の薬で代表的な薬、計13種類について紹介しています。
他の薬や似た薬を使う場合もあるため、その場合は主治医とご相談ください。
もくじ
- (1)はじめに:心療内科・精神科よく使う薬13
- (2)抗うつ薬(2つ)
- (3)睡眠薬(2つ)
- (4)抗不安薬(2つ)
- (5)抗精神病薬(3つ)
- (6)気分安定薬(2つ)
- (7)ADHD治療薬(1つ)
- (8)認知症治療薬(1つ)
- (9)まとめ
(1)はじめに:心療内科・精神科よく使う薬13
心療内科・精神科の薬。今回はよく使う薬13でやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
心療内科・精神科では、うつ病や不安障害などさまざまな心や脳の不調というのを扱っていきます。
そして、この分野の薬は、実際はいろいろたくさんあったりします。
ただ、一方でよく使う薬は何ですかというふうに聞かれると、結構種類は絞られていきます。
今回は「よく使う薬13」ということで、代表的によく使う薬を13種類、少しシンプルな形で見ていきたいと思います。
(2)抗うつ薬(2つ)
まずは抗うつ薬、うつ病などで使う薬、効くまで1から4週かかるものになります。
①セルトラリン(ジェイゾロフト)
これは代表的な抗うつ薬SSRIの1つになりまして、特に不安に強く効きまして、うつ病のほかパニック障害などに使うことがあります。
時間差で効き目を見つつ、徐々に増やして徐々に減らしていくという薬になります。
②デュロキセチン(サインバルタ)
これは代表的な抗うつ薬、もう一つ代表的なSNRIというものの一つになります。
こちらは特に意欲(やる気)などに対して効果を見込みまして、場合によっては腰痛など痛みに対して使うこともあります。
これを使う時は時間差で効き目は見分けつつ、徐々に増やして徐々に減らすというのは共通しています。
(3)睡眠薬(2つ)
続いて睡眠薬ですけれども、眠りを助ける薬、うつ病などの予防や治療にも使うことがあります。
③レンボレキサント(デエビゴ)
これは依存がないタイプの睡眠薬になります。オレキシン受容体拮抗薬です。
特に眠り・入眠に効果がありまして、量の微調整がしやすいのが強みになります。
ただ、効果に個人差がありまして、あまり相性が良くない場合は別の薬を考えていきます。
④ブロチゾラム(レンドルミン)
これは、代表的な短時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬になります。
これは入眠困難(寝つき)中途覚醒(途中で目が覚める)両方に効果を認めるものになります。
効果は強いんですけれども、依存のリスクには注意が必要なものになります。
(4)抗不安薬(2つ)
続いて抗不安薬。これは即効性のある不安の薬、依存には注意が必要なものになります。
⑤ロラゼパム(ワイパックス)
これは代表的な、効果は短めのベンゾジアゼピン系の抗不安薬になります。
だいたい15分から30分で効果が出まして、6時間ほど効果が続くので定期的に使うことがあるほか、不調な時に頓服として使うことが多いです。
これは、やはり依存に注意が必要なので、必要な時に使うのは絞りつつ、安定してきたら量や頻度を減らすということを検討していきます。
⑥ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
これは代表的な効果が長いタイプのベンゾジアゼピン系抗不安薬になります。
寝る前に使って眠気などもありつつも、1日中効果が続くというものになります。
先ほどのロラゼパムより依存は少なめなんですけれども、この日中の眠気には少し注意が必要になります。
(5)抗精神病薬(3つ)
続いて抗精神病薬、これは統合失調症などでも使います安定を図る薬になります。
⑦アリピプラゾール(エビリファイ)
これは十分な量を使って、統合失調症やそう状態の改善を図る薬。
一方で少ない量を主に抗うつ薬と一緒に使うことによって、うつ病・うつ状態の改善を図る、最近はこの使い方のほうが多くなっています。
副作用が少ないとされる薬ですけれども、効果やどの量が適切か・適量には相性があるので、これは相談しながら使っていってください。
⑧リスペリドン(リスパダール)
これは、統合失調症に使う効果の強い抗精神病薬になります。
一方、小児の自閉症スペクトラムASDにも使うことがあるのと液剤があり、これを調子悪い時だけ頓服で使うこともあります。
これは副作用の出方にはちょっと個人差がありますので、効果と副作用を見て主治医と相談していただけたらと思います。
⑨オランザピン(ジプレキサ)
これは、気分の波を抑える作用が強くて、パーキンソン症状が出にくいタイプの抗精神病薬になります。
なので統合失調症にも使えますし、気分の波が強い躁うつ病にも使うことがあります。
副作用としては、体重や血糖増加に注意が必要でして、糖尿病の方には使うことはできません。
(6)気分安定薬(2つ)
続いては気分安定薬、躁うつ双方を抑えます躁うつ病の薬になります。
⑩炭酸リチウム(リーマス)
これは躁・うつ・維持療法どれにも有効とされる代表的な気分安定薬になります。
一方、うつに対しての効果は若干弱いとされまして、この時には抗精神病薬を併用・一緒に使うことがあります。
血中濃度をはかることが大事な薬、副作用はいろいろあるので、そこには注意しながら使う必要があります。
あと、妊娠した時のリスクも考えながら使う必要があります。
⑪バルプロ酸(デパケン)
これは特にイライラなど躁状態に対して効果の強い気分安定薬になります。
躁うつ病のほか、てんかんや偏頭痛にも使われることがあります。
これも血中濃度を測ることが必要で、肝臓・肝障害や妊娠した時のリスクに注意が必要になります。
(7)ADHD治療薬(1つ)
続いてがADHD治療薬、ADHDの特性を和らげる薬になります。
⑫アトモキセチン(ストラテラ)
これは、安全性が相対的に高い代表的なADHD治療薬になります。
効果が出るまで1から2か月、ちょっと時間が掛かって、徐々に効果が出るのを見込む薬です。
そして、あくまで特性の改善、0にするわけではないので、薬と同時に生活の工夫や福祉制度の活用等の並行が大事です。
(8)認知症治療薬(1つ)
続いてが認知症治療薬、認知症の進行を遅らせる薬。
⑬ドネペジル(アリセプト)
これは認知症の進行を遅らせる代表的な認知症治療薬です。
あくまで進行を止めるんじゃなくて遅らせるということなので、遅らせつつも介護制度を使うなど、他の対策を一緒にやっていくことが大事です。
人によってイライラが出ることがあるので、その時はご相談をいただけたらというふうに思います。
(9)まとめ
今回は心療内科・精神科の薬「よく使う薬13」ということで見てきました。
抗うつ薬としてはセルトラリン(ジェイゾロフト)デュロキセチン(サインバルタ)。
睡眠薬としてはレンボレキサント(デエビゴ)ブロチゾラム(レンドルミン)。
抗不安薬としてはロラゼパム(ワイパックス)ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)。
抗精神病薬としてはアリピプラゾール(エビリファイ)、リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)。
気分安定薬としては炭酸リチウム(リーマス)、バルプロ酸(デパケン)。
ADHD治療薬としてアトモキセチン(ストラテラ)。
認知症治療薬としてドネペジル(アリセプト)。
この13個を挙げてきました。
実際には、症状や状況などでここにはない薬を使うこともあります。
この詳細に関しては、主治医の先生と相談しながら、使う薬を検討していただけたらと思います。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)