タンドスピロン(セディール)
依存がないタイプの抗不安薬
タンドスピロン(セディール)は依存がないタイプのの抗不安薬です。
服用直後の効果と、2週ほど以上続けての効果、2段階の抗不安効果を期待します。
ベンゾジアゼピン系より効果は弱いですが、依存なく安全に続けやすい面があります。
もくじ
- (1)はじめに:依存のない抗不安薬タンドスピロン(セディール)
- (2)タンドスピロン(セディール)と不安障害
- (3)不安障害に使う各種の薬とタンドスピロン
- (4)タンドスピロンのメカニズムと2段階の効果
- (5)タンドスピロンの立ち位置と長所・短所・副作用・検討の場面
- (6)補足:抗うつ薬SSRIとの併用について
- (7)タンドスピロンの実際の使い方
- (8)まとめ
(1)はじめに:依存のない抗不安薬タンドスピロン(セディール)
心療内科精神科の薬。今回は「タンドスピロン(セディール)」について見ていきたいと思います。よろしくお願いします。
この心療内科、精神科の薬の動画では、メンタルヘルス分野のさまざまなお薬についてご紹介をしています。
今回は依存がないタイプの不安を改善する薬「タンドスピロン(セディール)」について見ていきたいと思います。
(2)タンドスピロン(セディール)と不安障害
<タンドスピロン(セディール)とは>このタンドスピロン(セディール)は、依存性があまりないタイプの不安を改善する薬になります。
安全性に関しては、非常に期待できる一方で、十分な効果には時間がかかって、かつ効果は弱めというところがあります。
そのため比較的症状が軽いとき、あとは副作用が気になる10代の方や高齢者の方に使うことがある薬になります。
<不安障害とは>不安障害とは、不安が慢性的に強くなるタイプのメンタル不調になります。
全般性不安障害・パニック障害など細かく分類をされます。
うつ病と一部メカニズムは共通していまして、合併することが多いものとされます。
(3)不安障害に使う各種の薬とタンドスピロン
主な不安障害の薬ですけれども、見ていくと、抗うつ薬・SSRIなどの抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬、そしてタンドスピロンがあります。
<抗うつ薬>これは主に不足したセロトニンを再取り込み阻害といい、結果セロトニンを増やすことでうつの改善を図るものになります。
これは同時に、不安の改善も図るところがあります。
効くまで2から4週かかりまして、減らすとき「離脱症状」に注意が必要な薬になります。
<抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)これは即効性があるタイプの不安をとる薬になります。
効果は強いんだけれども、あくまで対症療法でありまして、薬がなくなると効果がなくなるというものになります。
依存の問題があるので、適応に関しては慎重に選ぶ必要があるものになります。
<漢方薬>不安や緊張を和らげるタイプの漢方薬があります。
副作用はほぼ気にせず、安全に使えるのはいいんですけれども、効果は遅くてかつかなり弱いということがあります。
<その中でのタンドスピロン>これはセロトニン作用をやや増やすことで不安の改善を図る薬になります。
安全に使うことができて、一定の効果を見込むんだけれども、即効性はちょっと弱いところがあると。
そして続けて効果が出るんだけども、これもあまり強くないというのが特徴になります。
<タンドスピロンと他の薬の比較>比較をすると、短期的なところでみると、タンドスピロン、漢方薬よりは強い効果はあるんだけども、抗不安薬のような即効性の強さはないというところ。
逆に長期的に見るとタンドスピロン、漢方薬よりはやはり強いんだけども、抗うつ薬ほどの効果はないということになります。
まとめると漢方よりは強いけど、他の薬よりは弱い。こういう立ち位置になります。
(4)タンドスピロンのメカニズムと2段階の効果
<タンドスピロンのメカニズム>このタンドスピロンですけれども、「セロトニン1A部分アゴニスト」という言い方をします。
言い換えると弱めのセロトニンという感じですので、セロトニンの作用をやや強めることによって不安を取るということになります。
<2段階の効果>大きく効果は2段階になりまして、まず飲み始めすぐの効果です。その場での弱い「不安を取る効果」ですが、あまり強くはないです。
もう一歩の効果は数日から2週間継続後、徐々に不安を取る効果が強くなります。ただ、これも抗うつ薬ほどではありません。
(5)タンドスピロンの立ち位置と長所・短所・副作用・検討の場面
タンドスピロンの立ち位置としては、安全に使える効果の弱めの薬ということになります。
<タンドスピロンの長所>タンドスピロンの長所を見ていくと、いわゆるベンゾジアゼピン系のような依存がないというところ。
そして抗うつ薬のような初期の副作用や離脱症状がないというところ。
その一方で、漢方薬よりは強い効果を見込むというところがあります。
<タンドスピロンの短所>逆にタンドスピロンの短所としては、ベンゾジアゼピン系のような即効性は見込みづらいと。
それで続けた場合も、抗うつ薬ほどの強い効果は見込みづらいというところ。
そして漢方薬と比べると眠気など一部副作用はあるというところがあります。
<タンドスピロンの副作用>タンドスピロンの副作用を見ていきますと、全般的にはあまり大きなものはないです。
その中で、人によっては眠気が出ることがあったり、頭痛やめまいが出ることがあったり、吐き気が出るということは人によってはあります。
<タンドスピロンを検討する場面>タンドスピロンを検討する場面ですけれども、まず比較的症状が軽い場合、抗うつ薬までは必要はないだろう場合が検討されます。
また、副作用が気になるという時、特に10代の方や高齢者の方ということがあります。
後は依存がない薬で不安の改善を図っていきたい時というところになってくるかと思います。
(6)補足:抗うつ薬SSRIとの併用について
補足として抗うつ薬SSRIとの併用ということを考えていきます。
SSSRIとはやや違うところで効くんですが、共に両方ともセロトニン作用を増やすというところが共通しています。
なので、一緒に使うと抗うつ薬の作用が強まることは理論上言われて、いわゆる増強療法として一緒に使うことは理論上はあり得ると、教科書に載っていることはあります。
ただ、これをしますと、副作用も一緒に増えるリスクがありますので、一緒に使うかどうかに関しては、これはもう慎重に主治医の先生と相談していただく必要があるかと思います。
(7)タンドスピロンの実際の使い方
タンドスピロンの実際の使い方を見ていきます。
はじめ1日10から30ミリ、1日2から3回で始めていきます。
そして副作用を見き、あまり効果がなければ最大1日60ミリまで増やし、もし副作用が出た場合は減薬などを検討していきます。
そして、最大量を使ってもあまり効果は見込めない場合は、抗うつ薬に変えるなど、他の薬への変薬・変えることなどを検討していきます。
(8)まとめ
今回は、タンドスピロン(セディール)について見てきました。
このタンドスピロン(セディール)は依存がないタイプの不安改善の薬になります。
直後の効果と2週後ほどの効果、2段階の効果を見込む薬になります。
即効性に関しては、ベンゾジアゼピンほどは強くなくて、長期の効果は抗うつ薬よりは弱いものになります。
ただし、安全性は高いところがありまして、高齢者や10代の方など、依存や副作用が気になる時には選択肢になる薬になります。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)