ラメルテオン(ロゼレム)

メラトニン類似の依存ない睡眠薬

ラメルテオン(ロゼレム)は、脳内物質「メラトニン」類似の、依存目立たない睡眠薬です。

 

安全性高いこと、生活リズムの改善にも効果を見込むことがあり、継続すると効果が強まります。

 

効果には個人差あるため、効果不十分のときは、補助薬の併用など他の対策の並行を検討します。

 

動画:ラメルテオン

もくじ

 
  1. (1)はじめに:メラトニン類似の睡眠薬ラメルテオン(ロゼレム)
  2. (2)ラメルテオン(ロゼレム)とは
  3. (3)ラメルテオン(ロゼレム)の作用機序
  4. (4)不眠の4分類とラメルテオン(ロゼレム)の効果
  5. (5)不眠症治療の3段階とラメルテオン(ロゼレム)
  6. (6)ラメルテオン(ロゼレム)の立ち位置と特徴・効果の2段階
  7. (7)ラメルテオン(ロゼレム)の長所と短所
  8. (8)ラメルテオン(ロゼレム)の使用量・併用禁忌と副作用
  9. (9)ラメルテオン(ロゼレム)を検討する場面
  10. (10)補足:メラトニン製剤(メラトベル)成人は使用不可
  11. (11)ラメルテオン(ロゼレム)の実際の使い方
  12. (12)まとめ
  13.  

(1)はじめに:メラトニン類似の睡眠薬ラメルテオン(ロゼレム)

心療内科精神科の薬。今回はラメルテオン(ロゼレム)についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

この心療内科・精神科の薬の動画では、メンタル分野のさまざまなお薬についてご紹介をしています。

今回は生活リズムを整える・メラトニン類似の睡眠薬「ラメルテオン(ロゼレム)」についてやっていきたいと思います。

(2)ラメルテオン(ロゼレム)とは

まず、このラメルテオン(ロゼレム)についてですけれども、まとめると「安全性が高く、リズムを整える睡眠薬」ということになります。

少し詳しく見ていきますと、睡眠覚醒リズムを整えるホルモン「メラトニン」と似た物質です、

そのため安全性は高く「続けることでより効果が安定する」面があり、生活リズムの乱れや発達障害と相性がいいところがあります。

ただし、効果には非常に個人差が大きいところがあります。

(3)ラメルテオン(ロゼレム)の作用機序

このラメルテオン(ロゼレム)の作用機序ですけれども、これは「メラトニン受容体作動薬」です。

脳内の物質「メラトニン」とほぼ同様に、メラトニンを受け取る「メラトニン受容体」を刺激して、生活リズムや睡眠の改善の効果を出します。

<補足:メラトニンとは>

ここで補足として「メラトニンとは」ということですが、これは体の生活のリズムを整える「脳内ホルモン」になります。

夜に増えて、日中に減ることでリズムができていくというものになります。

なので、不眠がある時に夜にメラトニン、もしくはそれと似たものを増やすことで、リズムを整えて睡眠の改善を図ります。

(4)不眠の4分類とラメルテオン(ロゼレム)の効果

不眠の4つの分類を見ていきますと、「入眠困難」寝付きが悪いという方、あとは「中途覚醒」途中で覚めるという方、「早朝覚醒」早朝・朝早く目が覚めるという方、「熟眠障害」眠りが浅いという方がいらっしゃいます。

この中でラメルテオン(ロゼレム)の効果ですが、保険の適応は「入眠困難」の改善ですが、実際にはこの寝付き(入眠)の効果はかなり弱めです。

一方で、中途覚醒や熟眠障害(浅眠)に対しての効果は見込むところがあります。

そして、生活リズムの乱れの改善というところも同時に見込むところがあります。

(5)不眠症治療の3段階とラメルテオン(ロゼレム)

次に、不眠症の治療の3段階というところを見ていきますけれども、まず第1段階では、薬以外のいわゆる睡眠衛生のところをやっていくというところがあります。

それだけで難しい場合に、2段階目に依存のない睡眠薬を使っていく。

それでも難しい場合に、一般の睡眠薬、いわゆるベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使っていく。こういう順番になります。

このラメルテオン(ロゼレム)は2段階目というところになってきます。

(6)ラメルテオン(ロゼレム)の立ち位置と特徴・効果の2段階

この中で、睡眠薬の中でのラメルテオン(ロゼレム)の立ち位置は、「ある種一番安全に使えるけれども、効果に個人差がある薬」になります。

<ラメルテオンの特徴>

まず安全性に関しては非常に高い、使える睡眠薬の中で一番高いと言えるかもしれません。

一方で、効果に関しては個人差が大きくて、かつ全般的にはあまり強くありません。

かつ本格的に効果が出るまでは、初日ではなくて2から4週ほどかかると言われます。

<ラメルテオンの効果の2段階>

まず1段階目の「その場の効果」があります。飲んだ後に効く効果として入眠を誘う効果、中途覚醒を抑える効果がありますが弱めです。

2段階目は「続ける事での効果」、2から4週続けることで、脳のバランスが整いリズムが改善する。それで自然な眠りが改善する効果を見込みます。

(7)ラメルテオン(ロゼレム)の長所と短所

<ラメルテオン(ロゼレム)の長所>

まず1つ目としては非常に安全でかつ依存性がないことです。非常に安全に使うことができます。

2つ目は、自然な眠りとその中での質の改善を見込みます。強めの睡眠薬のような「無理やり寝かされる」感覚はありません。

3つ目としては生活リズムの乱れ、特に発達障害に伴う生活リズムの乱れとの相性が非常にいいことがあります。

<ラメルテオン(ロゼレム)の短所>

まず1つ目としては効果に個人差があって、特に寝付き(入眠)には弱いところがあります。

2つ目としては、日中に眠気が残ることが多いです。朝起きても眠気が残っているという方がいらっしゃいます。

3つ目としては、しっかり効果が出るまでは、先ほどのように2から4週間、時間がかかるところがあります。

(8)ラメルテオン(ロゼレム)の使用量・併用禁忌と副作用

<ラメルテオン(ロゼレム)の使用量>

保険では原則1錠8mgですが、どうも1錠(8mg)だとと日中眠気の起こる方は結構います。

その場合は量を減らし0.5錠、もしくはもっと少量・粉末で使うことがあり得ます。

また、量以外にも眠る少し前・飲む時間を少し早めることで対応することもありえます。

<ラメルテオン(ロゼレム)の併用禁忌>

注意点として「併用禁忌」があり、抗うつ薬の中でフルボキサミン(ルボックス・デプロメール)という抗うつ薬です。

これは相互作用で薬の濃度が非常に高くなってしまい危険があるので、一緒に使ってはいけません。

<ラメルテオン(ロゼレム)の副作用>

全体的にはあまり目立つものはありません。

あるとすると、先ほどあった日中の眠気。あと人によっては頭痛が出る場合があります。

(9)ラメルテオン(ロゼレム)を検討する場面

まず1つ目としては生活リズムの乱れが目立つ時です。

2つ目としては、安全性を重視する時、非常に安全に使える薬ということがあります。

そして、3つ目としては効果が出るまで待てるという時です。本格的な効果は2から4週かかります。症状が重い場合は他の症状が悪化してしまうリスクがあるので、そのリスクが目立たず余裕を持って使える場合がいいかと思われます。

(10)補足:メラトニン製剤(メラトベル)成人は使用不可

補足としてメラトニン製剤・メラトベルという薬があります。

これはホルモン物質メラトニンがほぼそのままの粉末になってきます。

これは適応が「小児の神経発達症(いわゆる発達障害)に伴う入眠困難」だけになりますので、今のところは成人は使えません。

(11)ラメルテオン(ロゼレム)の実際の使い方

まず「0.5錠から1錠寝る前」で始めていきます。

で、朝眠気が残る場合は減薬するか、飲む時間を調整する、もしくは薬を変えることを検討していきます。

そして、効果が不十分かつ「待てる」状態であれば、2から4週、本格的な効果が出るまで待つことになります。

そして、生活リズムの改善などの「薬以外の方法」を一緒に行うのが、特にこの薬では大事になってきます。

それを一緒に行い「待っても」効果があまりなければ変薬を検討していきます。

そして有効で安定が続く場合は生活面等の対策を並行しつつ、適宜中止することを検討していきます。

(12)まとめ

今回は「ラメルテオン(ロゼレム)」について見てきました。

この「ラメルテオン(ロゼレム)」はメラトニン類似の、生活リズムと睡眠を安全に改善する睡眠薬になります。

効果に個人差がありまして、朝残る方もいます。あと効くまでしばらく時間がかかるため、量を微調整しつつ、じっくり効果を見ていく薬です。

安全性を重視するとき、生活リズムの乱れが目立つ場合、あと発達障害を合併している時には、この薬が選択肢になってきます。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)