食欲がない

うつ病等で起こることも

「食欲がない」場合、まずは胃腸など体の原因の可能性がないか、除外が必要です。

 

一方で、うつ病・適応障害等の精神疾患で食欲低下が起こることもあります。

 

対策はまず原因を突き止め対処する事。そのうえで体調管理や現実的な食事摂取を模索します。

 

動画:食欲がない

もくじ

 
  1. (1)はじめに:食欲がない
  2. (2)「食欲がない」体の原因
  3. (3)「食欲がない」精神的な原因
  4. (4)「食欲がない」への対策
  5. (5)まとめ
  6.  

(1)はじめに:食欲がない

心療内科・精神科の症状。今回は「食欲がない」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

「食欲がない」ことが続くとき、まずは何か「体の不調」がないか除外することが大事です。

一方で、精神的な不調から食欲がなくなることがありまして、時に体重も減るということがあり、ここにも注意が必要です。

今回は「食欲がない」について見ていきたいと思います。

(2)「食欲がない」体の原因

体の様々な原因で食欲がなくなることがあります。「

<体の原因の例>

まずは胃腸や消化器疾患。

もう一つはそのほかの内臓の不調。

3つ目にはが疲労や睡眠不足です。

①胃腸・消化器疾患

例としてはまず胃潰瘍・十二指腸潰瘍。

また、いわゆる「感染性胃腸炎」が出て、一時的に食欲がないこともあります。

意外と目立たないのが「肝炎や膵炎」、目立たない中で「食欲がなくなる」事で時に見つかります。

<参考:心身症>

心身症は、心のストレスを背景として、体の病気が発生する状態です。

例として、「心身症での胃潰瘍」を見ていきます。

これはストレスが続くと胃酸の分泌が多く出てくるようになり、その結果などから、体の病気「胃潰瘍」になります。

ほかの胃潰瘍の原因とも合併することがあり、重なる場合に特に注意が必要です。

②そのほかの内臓不調

まずは「糖尿病」、特異的な症状がない中で、「食欲がない」ことが時に発見の契機になります。

また、腎臓病や慢性心不全等でも同様に、「食欲がなくなる」で見つかる場合があります。

また、「甲状腺機能低下症」も、意欲低下などの他「食欲がなくなる」ことが時に目立ちます。

③疲労や睡眠不足

全般的な体調不良から食欲が低下することがあります。

具体的には、疲労が強まることで食欲が減る場合があります。

また睡眠不足や不眠が続いて食欲が落ちてくることもあります。

(3)「食欲がない」精神的な原因

メンタル不調でも、食欲がなくなることがあります。この原因を幾つか見ていきます。

①うつ病

ここでは、「食欲低下」がうつ病の症状の一つになります。

この場合ですと、休日でも「食欲がない」状態が続きます。

その結果、しばしば体重も減り、その変化からうつ病に気づかれる場合もあります。

②適応障害

この場合は、ストレスがかかったときに食欲の低下が生じます。例えば、仕事があるときだけ、食欲が非常に減る等があります。

この場合は、休日などストレスから離れることによって食欲も戻ることが多いです。

その結果、体重までは減らないことが多いのが、先の「うつ病」との違いになります。

③摂食障害

いわゆる「拒食」食べない状態から、大幅に体重も減り、健康にも影響が出ます。

このときに一方で、逆の「過食」をしばしば合併します。

結果「食べない」と「食べ過ぎる」の極端な変動がしばしば生じます。

この摂食障害は、一過性のことも時にありますが、続く場合は早めの対策が必要なので、そのときは早目に受診等の検討が望まれます。

④アルコール依存症

アルコール依存症の方は、食欲も減る方が多いです。

次第にアルコール優先の生活になり、食への興味が減ってしまいます。

なのでアルコール依存がある方で、体重が減り手足が細くなる方が多いです。

また胃腸や胆嚢・膵臓・肝臓といった消化器の障害もアルコール依存症でよく発生し、これも食欲が減ることに影響してきます。

そして、ビタミンなど栄養不足がよく合併し、それでさらに食欲が低下する悪循環には注意が必要です。

(4)「食欲がない」への対策

基本的には、「原因を突き止めて対策を取る」ことです。

<続くなら受診を検討>

体の不調が主体なら「内科」受診を、ストレス・うつ症状等目立つ時は「心療内科・精神科」受診を検討します。

この中でどちらかを受けて、その後もう一方に移ることもあります。

<体調・ストレス対策>

これは土台として大事なところです。

ストレスの発散、疲労の対策、生活リズムの改善。

よく言われることですが、土台を整えることで食欲が戻る場合も確かにあります。

<現実的な食べる工夫>

食欲が慢性的に減る場合がどうしてもあり、その場合は現実的な工夫が必要です。

まずは食事をなるべく小分けにして食べやすくする工夫があります。

そして、カロリー摂取を優先し。食べやすいものを取るのが基本になります。

その中で、固形が取りにくければ、液体タイプなども検討の余地があります。

(5)まとめ

今回は、心療内科・精神科の症状「食欲がない」について見てきました。

食欲がない場合、まずは体の原因には注意が必要です。

その際、ストレスが関連する「心身症」に注意が必要です。

一方、メンタル不調で食欲が低下することもあります。

うつ病・適応障害は有名ですが、他に摂食障害やアルコール依存症にも注意が必要です。

対策の基本は、原因を受診などで突き止めて、その対策を取ること。

そこに一般的な体調面や食事摂取の工夫等を適宜組み合わせていきます。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)