イライラする

交感神経優位な緊張状態

「イライラする」状態は、ストレスに圧倒される事を背景に、交感神経優位な緊張状態で起こります。

 

強いストレスや不眠・体調不良等の他に、うつ病・ADHDなどの精神疾患が背景の事があります。

 

対策は「ストレスを減らし」「余力を戻す」こと。土台はストレス・体調・リラックスの対策です。

 

動画:イライラする

もくじ

 
  1. (1)はじめに:イライラする
  2. (2)「イライラする」とは?
  3. (3)「イライラする」原因
  4. (4)「イライラする」背景の精神疾患
  5. (5)「イライラする」への対策
  6. (6)まとめ
  7.  

(1)はじめに:イライラする

心療内科・精神科の症状。今回は「イライラする」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

ストレスがたまる時や忙しい時「イライラする」という人は少なくありません。

一方で、それが続く時、背景に心身の不調が隠れていることも少なくありません。

今回は「イライラする」について見ていきたいと思います。

(2)「イライラする」とは?

「イライラするとはどんな状態ですか」というご質問があります。

答えとしては、「刺激に敏感で怒りやすい状態」とお答えします。

<「イライラする」とは>

これは「刺激に非常に敏感な状態」といえます。

あとは「怒りやすく、ある種不機嫌な状態」とも言えるかと思います。

そして、「緊張が強くなっている状態」とも言うことができます。

これは自律神経的には「交感神経」緊張の方の神経が非常に優位になっている状態。

緊張が強くなってリラックスがあまりできなくなっている状態です。

<イライラで出る症状の例>

まず相手に対しては怒る・攻撃する形で出ることがあります。

自分には、「自分を責める」強くなると「自分を殴る」場合もあります。

その他、大声や泣く・叫ぶ等が、イライラが強まると出る場合があります。

(3)「イライラする」原因

「イライラする原因は何ですか」というご質問があります

答えは一言で言うと、「ストレスの強さに圧倒されること」になります。

自覚するストレスがある種「許容量を超える」とイライラする、と言い換えられます。

<大まかなイライラの要因2つ>

まず1つ目は「ストレスが強い」。これは外的なものになります。

もう一つが「余力がない」内側の要因になります。

精神疾患などは「余力がない」ところに入ると思われます。

①ストレスが強い

このストレス発生源は様々ですが、大まかには「外的」ストレスと「内的」ストレスに分かれます。

<外的なストレスの例>

まずは「忙しさや責任」そうしたプレッシャーで余裕がなくなることがあります。

続いては、「対人面のストレス」上司・同僚・部下など、様々な人間関係でのストレス。

あとは「気が抜けない環境」リラックスできず、緊張が長時間続き、イライラしやすくなります。

<内的なストレスの例>

まずは「やりがいを欠く場合」そうすると非常にストレスがかかってきます。

あとは「考え方のくせ」、自分を責める等で自分で自分にストレスをかける事になります。

あとは「理想と現実のギャップ」。葛藤により内側からストレスが出てきます。

②余力がない

ストレスを受け止める余力がなくなるとイライラしやすくなってきます。

余力がなくなる背景は、まずは「体調面」、2つ目が「体の病気や不調」、3つ目が「精神疾患」です。

<体調面の要因>

まずは「睡眠不足」眠れない日が続くと余力がなくなってしまいます。

次は「疲労」疲れが溜まると、次第にリラックスやストレスを受け止める余裕が失われます。

続いてシンプルな「空腹」、空腹時は交感神経が優位になり逆にイライラしやすくなります。

<体の病気や不調>

まずは「PMS」生理周期的な女性ホルモンの動きでイライラが出ることがあります。

そして「甲状腺の不調」甲状腺ホルモンの過剰・不足の双方でイライラが出ることがあります。

そして、肝臓等「内臓の不調」状態が悪いと、ストレスへの余力も失われます。

(4)「イライラする」背景の精神疾患

各種精神疾患があるとストレスへの余力が不足し、イライラにつながることがあります。

①うつ病

うつ病は、各種のうつ症状が目立つ脳の不調です。

この「うつ病」になると、ストレスの余力が失われてしまいます。

そのためストレス時の「イライラ」が目立つ方も中にはいます。

②適応障害

適応障害は、各種うつ症状が目立つ「ストレス反応」です。

その中で、ストレスへの反応がより強まっていることが特徴的です。

そのため落ち込み以外にストレスへの「イライラ」という形で出る事もあります。

③躁うつ病

躁うつ病は落ち込み「うつ」とその逆の「躁」を周期的に繰り返す脳の不調です。

躁状態では多弁・多動が目立ちますが、「緊張」交感神経の活動が非常に優位な状態です。

そのためストレスに非常に敏感になり、イライラが強く出る事も多いです。

④不安障害

不安障害は、不安や緊張が強くなっている状態です。

結果、交感神経(緊張の神経)が優位になり、リラックスが難しい状態です。

そのため、余力がなくなり、ストレスへの反応でイライラが目立つことが多くなります。

⑤ADHD

ADHDは、不注意・多動・衝動性が目立つ生まれながらの発達障害です。

この中で「衝動・多動」は、ある種ストレスへの強い敏感さを意味します。

そのためストレス時に強く反応し「イライラ」で出ることも少なからずあります。

⑥境界性パーソナリティ障害

これは感情のコントロール「感情調節」の困難が特徴的なパーソナリティ障害です。

非常にストレスに対しての敏感さが目立つのが特徴です。

ストレス時に強く・衝動的に反応が出て、重度の場合はトラブルのリスクがあります。

(5)「イライラする」への対策

基本的な対策は先程のイライラの原因の逆です。

緊張があれば緊張を減らしリラックスに持っていく。

もう一つは「ストレスに圧倒されない」ことです。

<大まかな方向性>

1つ目としては「なるべくストレスを減らす」こと。

もう一つが「余力を取り戻していく」ことです。

①ストレスを減らす

主な対策は「環境の調整」と「ストレスマネジメント」です。

<環境の調整>

環境を変える等で、環境からのストレスを減らしていきます。

大きくは異動・転職や、家であれば離婚などもありうるところです。

ただし、より細かい話、職場等との微調整・相談だけでも有効なことも多いです。

<ストレスマネジメント>

ストレスに対処する技術を徐々にでも身につけていきます。

色々な方法がありますが、まず取り組みやすいのはは「ストレスを発散する幅を持つ」こと。

短い時間でも発散できる色々な方法を持っておくことが大事です。

あとは「考え方のくせの修正」、「自分軸の明確化」などが候補になります。

②余力を取り戻す

この為の主な対策は、まずは「原因の治療をしっかりする」、2つ目が「体調管理」、3つ目が「リラックスする」です。

<原因の治療>

甲状腺の不調などの「体の原因」の時には、この「原因の治療」が一番の対策です。

精神疾患でも、うつ病への抗うつ薬など、効果が期待できる場合は多いです。

ただし、パーソナリティ障害の敏感さなど、すぐの対策が難しい場合もあります。

<体調管理>

体調が戻れば減る「イライラ」も少なくありません。

特にこの中でも、「睡眠の確保」がシンプルですが非常に大事です。

似たもので「生活リズムの改善」もしばしば有効です。

<リラックス>

「緊張からイライラ出やすい」逆のリラックスを通じイライラ軽減を図ります。

方法はストレッチや呼吸法など身近なことで問題ありません。

大事なのは様々な方法を試し、自分に合う方法を見つけていくことです。

その中で最近は、自分の状態を観察する「マインドフルネス」も選択肢です。

(6)まとめ

今回は心療内科・精神科の症状「イライラする」について見てきました。

「イライラ」は交感神経が優位になり緊張が強くなったことを背景に、「敏感さ」「怒りやすさ」が出ている状態です。

原因は様々ですが、大きくは「ストレスに圧倒される」か「ストレスへの余力がなくなる」かになります。

対策は「ストレスを減らしつつ余力を戻していく」こと。体調を戻したりリラックスを図ることは、その中でもシンプルですが大事な要素です。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)