パニック発作

パニック障害以外の可能性もある

「パニック発作」は、パニック障害で繰り返し起こる「急激かつ強い心身の不調の発作」として有名です。

 

ただし、パニック発作は、疲労時など、一度だけ・一過性に出現し、その後改善することもあります。

 

また、他の不安障害や適応障害・うつ病など、「パニック障害以外の原因」でパニック発作が出る事もあります。

 

動画:パニック発作

もくじ

 
  1. (1)はじめに:パニック発作
  2. (2)パニック発作とは
  3. (3)「パニック発作」と「パニック症」
  4. (4)他の原因でのパニック発作
  5. (5)他の原因での「パニック状態」
  6. (6)まとめ
  7.  

(1)はじめに:パニック発作

心療内科・精神科の症状。今回は「パニック発作」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

急な不安や緊張が強まり、動悸や吐き気など、体にもさまざまな症状が出る。これが「パニック障害」の症状として有名な「パニック発作」になります。

一方、このパニック発作はパニック障害以外でも出ることがあります。

そして、より広く「パニック状態」というふうに捉えますと、よりさまざまなメンタル不調から出ることがあります。

今回は、この「パニック発作」について見ていきたいと思います。

(2)パニック発作とは

このパニック発作とは急な自律神経の発作、別名「自律神経発作」とも言います。

<背景:自律神経とは>

この自律神経は末梢神経の一つで、緊張を表す「交感神経」、リラックスを表す「副交感神経」の2つが走っています。

そして、さまざまな内臓をこの自律神経が走り、内臓の状態を制御していく役割があります。

そして、「自律」の名の通り「自動的に」「無意識に」色々作用するものです。(意識的には動かしにくい)

<2つの自律神経とパニック発作>

この自律神経2つありまして、「交感神経」と「副交感神経」があります。

まず、「交感神経」これは緊張や活動を司ります。

もう一つの「副交感神経」はその逆でして、リラックス・休養を司ります。

そして、この「パニック発作」は急な交感神経の作用、緊張の方の神経の作用です。

<パニック発作の症状>

大きくは2つ、「精神症状」と「体の症状」が出ます。

精神症状に関しては、緊張に伴って強い不安や緊張、そして恐怖が出ます。

「命にかかわるんじゃないか」というような恐怖が出ます。

体の症状としては動悸・吐き気、めまいなど、様々なところに症状が出てきます。

<「パニック発作」と「自律神経失調症」の関係>

「自律神経失調症」は主に慢性的な交感神経の緊張による症状です。

一方で、パニック発作は急性の急な交感神経の緊張になります。

なのである種「パニック発作」は「急性の自律神経失調症」という面があります。

<パニック発作の特徴と影響>

パニック発作は生命の危機と似たような「強烈な緊張を伴う体験」になります。

なので、その後に2つの代表的な影響が出ることがあり得ます。

①予期不安

このパニック発作は強い情動を伴う体験で、強く印象が残る悪い印象が残ることが多いです。

なので、「また起こってしまうんじゃないか」という予想しての不安が続くことがあります。

②回避

このパニック発作は強い情動や悪い印象を伴う体験ですので、「もう起こってほしくない」という風に強く思います。

そのために、リスクのあるところを避ける「回避」が、時に出現します。

(3)「パニック発作」と「パニック症」

この「パニック発作」はイコール「パニック症」ではありません。

<一過性のパニック発作がある>

ストレスや疲れが強い時のような「余力がない時」に、(パニック障害の有無にかかわらず)単発でこの「パニック発作」が出ることがあります。

その中に一回でおわる「一過性」の場合も少なからずあります。

<パニック症は「発作や影響が慢性化したもの」>

パニック性の症状の基準の要点を見ると、これは「発作が起こる」だけではありません。

1つ目としてはパニック発作を「反復」繰り返すというところ。

もう一つは影響、「予期不安」であったり、「回避」というところが(一般には1か月以上)持続する。

なので「パニック症」は「パニック発作が慢性化したもの」と言えるかと思われます。

(4)他の原因でのパニック発作

パニック症以外の原因でもパニック発作は出る事があります。

①他の不安症

他の不安症でも、パニック発作は出ることがあります。

1)社会不安障害

人前など強い緊張が出る場面で、予想はできるけれども強い不安が出て、その中で発作が出ることもあります。

2)限局性恐怖症

高所恐怖症での高所など、強い恐怖を感じる場面で、中にはパニック発作も出ることがあります。

3)分離不安障害

家族など近しい相手と離れる時の強い不安・緊張ですが、ここでもパニック発作が起こることがあります。

②適応障害

これは強いストレス反応でパニック発作が出る状態です。

「苦手な相手や場面」というところに関連してパニック発作が出ることがあります。

そして、これを繰り返すと、その相手や場面に対して予期不安が出ることもあり得ます。

基本的な対応としては「適応障害」の対応になるため、距離を取る「環境調整」が現実的な対策です。

③うつ病

うつ病とパニック症はメカニズムの共通点が多く、発作が出るだけの場合と「パニック障害」を合併する場合の双方があります。

適応障害同様、ストレス反応によって発作が出るということもあります。

また、ストレスと直接関係なくうつ病に伴って経過の中で合併する場合もあります。

うつ病とパニック障害は非常に合併・移行しやすいため注意が必要です。

(5)他の原因での「パニック状態」

パニック発作とは厳密には違いますが、「強い緊張」などの面では似た「パニック状態」、混乱した状態になることは、他のメンタル疾患であり得ます。

例を3つほど見ていきます。

①ASD(自閉症スペクトラム)とパニック状態

ASDにおいて、時に混乱を伴うパニック状態になることがあります。

1つ目の背景としては「こだわり」、こだわりからずれた時に、普段と違うことが出た時にパニック状態が生じることがあります。

2つ目としては、過去の嫌なことが「侵入思考」急にある種フラッシュバック的に出てきた時に出る事があります。

②ADHDとパニック状態

ADHDでも時に困難を伴うパニック状態が出ることがあります。

1つ目としては、「衝動性」に由来するもので、強いストレスがかかった時に、それを更に敏感に感じることでパニック状態になることがあります。

2つ目は「不注意・多動」に伴うもので、色々なことを頭の中で考え過ぎ「オーバーワーク」になり、パニック状態になってしまうことがあります。

③統合失調症とパニック状態

特に統合失調症の急性期の状態においてパニック状態になることがあります。

これは「興奮」や「言動の混乱」という形で出ることもありますし、人によっては「昏迷」と言って逆に固まってしまうような状態になることがあります。

この混乱が強いと、自分も相手の人も共に危険があることがありますので、こういったパニック状態を伴う場合は、速やかな対応が必要になってきます。

(6)まとめ

今回は、心療内科・精神科の症状「パニック発作」について見てきました。

パニック発作は急な交感神経の発作であり、心身に強い影響を伴います。そして、時に予期不安や回避という影響が続くことがあります。

一過性のパニック発作の場合もあり、必ずしもパニック発作とパニック障害イコールではありません。一方、発作が繰り返され、予期不安や回避が続く時、ある種「慢性化」したのが「パニック障害」にになります。

そして、「パニック発作」はパニック障害以外でも、例えば他の不安症であったり、うつ病・適応障害などが原因で出ることがあります。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)