疲れやすいときに確認したい4つのポイント
まず、原因と対策を考えるうえで大切な点を、短い動画と文章で紹介します。どこから取り組むかは、疲れの強さや、一緒に出ている症状に合わせて考えます。
① 体の原因を確かめる

少し動くだけで疲れる、以前より疲れやすくなったときは、体の不調を確認します。貧血、甲状腺の病気、糖尿病などが背景にあることがあります。息切れや体重の変化なども、必要な時は診察で伝えます。
② 睡眠と、休んだ後の回復を見直す

睡眠不足や不眠が続くと、疲れを翌日に持ち越しやすくなります。寝てもすっきりしないときは、夜中に目が覚めていないか、いびきがないかなど、眠りの状態も必要時に確認します。
③ うつ病や不安など、こころの不調も確認する

うつ病では、気力の低下とともに強い疲れが出ることがあります。不安や緊張が続くと、体をあまり動かしていなくても消耗します。気分や睡眠、人と会った後の疲れ方も振り返ります。
④ 原因に対処しながら、疲れをためない生活へ調整する

病気への治療と並行して、仕事や家事の負担、休み方を調整します。疲れをためすぎないことが出発点です。運動や活動を増やす場合も、その後の体調を見ながら無理のない量を探します。
詳しい解説の目次
1.疲れやすい・だるいとき、まず見るポイント

「疲れやすい」「だるい」「眠い」を、具体的に伝える
疲れやすさは、普段の活動でどのくらい消耗するかを見ると、状態を伝えやすくなります。 いつもの通勤だけでぐったりする、少し家事をすると横になりたくなる、会話やパソコン作業を続けられない、といった変化です。
体が重く、何をするにもおっくうな感じは「だるさ・倦怠感」、寝落ちしそうな感じは「眠気」と表現されます。これらは重なることもあります。診察では、自分の感覚に近い言葉で、困る場面を伝えてください。
以前との違いと、休んだ後の様子を見る
忙しい日が続いた後に疲れる場合もあれば、仕事量が変わっていないのに疲れやすくなる場合もあります。いつから変わったか、その頃に仕事や睡眠、体調の変化がなかったかを振り返ります。
一晩眠ると楽になるのか、休日も疲れが残るのか、少し動いた翌日にかえって悪化するのかも大切な情報です。疲れの強さだけでなく、続き方や回復の仕方を確かめます。
2.疲れやすくなる体の病気や原因

貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病の3つは、採血で素早く分かるものです。まずは、こうした体の原因を確認します。
貧血――息切れや動悸が重なることもある
貧血では、体に酸素を運ぶ働きが低下し、疲れやすさやだるさが出ます。 階段で息が切れる、動悸がする、顔色が悪いといった変化が重なる場合もあります。
血液検査で貧血の状態を確かめ、鉄不足などの原因を調べます。月経の出血が多い、胃腸からの出血がある、食事が十分に取れていないなど、背景によって必要な対応が変わります。貧血を改善することと、その原因に対処することの両方が大切です。
甲状腺の病気――疲れ以外の体調変化も確認する
甲状腺機能低下症では、体の働きが低下し、疲れやだるさ、気力の低下が目立つことがあります。寒がりになった、便秘が増えた、体重が増えた、考えがまとまりにくいなどの変化も手がかりです。
気分の落ち込みが重なる場合もあるため、心身の症状をまとめて確認します。反対に、甲状腺の働きが強くなりすぎた場合にも、動悸や発汗、体重減少とともに疲れやすくなることがあります。必要に応じて、血液検査で甲状腺の働きを調べます。
糖尿病――のどの渇きや尿の回数にも目を向ける
糖尿病では、血糖の状態によって疲れやだるさを感じることがあります。のどが渇く、尿の回数が増える、体重が減るといった症状があれば、あわせて伝えてください。
一方、自覚症状が乏しいまま経過することもあります。以前の健診で血糖が高いといわれた場合などは、その結果を持参すると、現在の状態を確認する助けになります。
食事、持病、服薬の影響も振り返る
食事量の不足、長く続く痛み、心臓や腎臓などの病気も、疲れに関係することがあります。疲れが強くなった時期に、食欲や体重、持病の状態が変わっていないかを確認します。
薬による眠気やだるさが、疲れやすさとして感じられる場合もあります。処方薬だけでなく、市販の風邪薬やアレルギーの薬なども含めて、飲んでいるものを医師や薬剤師に伝えます。服薬後の変化は相談し、薬を減らしたり中止したりする判断は一緒に行います。
3.うつ病・不安障害・不眠症による疲れやすさ

4.寝ても疲れが取れない・休んでもだるいとき

いびきや睡眠中の呼吸を確認する
寝床にいる時間が長くても、睡眠が繰り返し妨げられている場合があります。 大きないびき、睡眠中に息が止まる、朝の頭痛、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群などを確認します。
本人が夜間の呼吸の変化に気づいていないこともあります。家族などから指摘されたことがあれば受診時に伝え、必要に応じて睡眠中の呼吸を調べる検査につなげます。
横になっていても、考えごとが続いていないか
休んでいる間も仕事の連絡を確認したり、失敗を繰り返し思い出したりしていると、気持ちが休まらないことがあります。体を動かしていない時間と、緊張がほどける時間は、分けて振り返ると分かりやすくなります。
休養の予定を立てるときは、横になる時間だけでなく、連絡や作業から離れられるかも考えます。心配事を一人で抱えているなら、相談相手と負担を整理することも休みやすさにつながります。
活動後に大きく悪化する場合は、運動を増やすより先に、診察で状態を確認します。 無理をすると悪化する活動の量や、回復までの時間を記録し、休養と活動の配分を相談してください。
5.疲れやすいときは何科へ? 受診の目安と検査

原因が分からない場合は、内科やかかりつけ医へ
疲れやすさが続き、原因が分からない場合は、まず内科やかかりつけ医で相談します。とくに、息切れ、動悸、発熱、体重の変化、強いのどの渇きなどがあれば、一緒に伝えてください。
診察では、経過や体の状態を確認し、必要な検査を選びます。疲れが数週間続く場合に加え、短い期間でも日常生活に支障がある、急に悪くなったときは早めに相談します。
落ち込み・不安・不眠が重なる場合は、心療内科・精神科にも相談する
気分の落ち込み、楽しめなさ、強い不安、眠れなさがあり、仕事や家事が難しくなっている場合は、心療内科・精神科で相談します。体の検査をすべて終えるまで、こころの相談を待つ必要はありません。
精神科へ相談する場合も、健診結果や持病、服薬、最近の体調変化を共有します。必要に応じて内科などと連携し、心身の両面から治療を考えます。
検査では何を調べるのか
貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病の3つは、採血で素早く分かるものです。血液検査で貧血、甲状腺機能、血糖などを確認します。
貧血があれば、その原因の把握も大切です。体調や症状に合わせて、鉄の状態、肝臓や腎臓の働きなども調べます。いびきや呼吸の問題があれば、睡眠の検査を検討します。
検査結果に合わせて、原因や治療方針を確認します。睡眠や服薬の状況、気分や不安の変化も、診察で一緒に伝えてください。
診察では、普段できていたことを伝える
「いつから」「何をすると疲れるか」「休むとどの程度戻るか」を、短くメモしておくと役立ちます。「通勤だけで消耗する」「夕食の準備ができなくなった」など、生活の変化が具体的だと状態を伝えやすくなります。
睡眠時間や食欲、体重、気分の変化も、分かる範囲で伝えてください。過去の健診結果や、飲んでいる薬の一覧があれば、あわせて持参します。
急いで対応したい症状
疲れに加えて発熱や体重減少が続く、食事や水分が十分に取れない、尿が極端に少ない場合は、早めに医療機関へ連絡してください。強い落ち込みや「死にたい」という思いがあるときも、速やかな相談が必要です。
6.疲れやすさを改善する3つの対策

原因の治療と、日々の疲労対策を並行する
対策の基本は、原因への治療と、生活の中で疲れをためない工夫です。 貧血や甲状腺の病気があればその治療を、うつ病や不安障害、不眠症があれば、それぞれの状態に合う治療を行います。
残業が長すぎる、家事や介護の負担が一人に集中しているなど、明らかな負担がある場合は、その調整も必要です。休んでもすぐ同じ負担が戻るなら、休み方と負担の両方を見直します。
疲労を「浴槽の水」に例えて考える
疲れのたまり方は、浴槽に出入りする水に例えると整理しやすくなります。入る水は仕事や緊張などの負担、出ていく水は休養による回復、浴槽の大きさは体調や体力などの余裕です。
入る水が多すぎる、出ていく水が少ない、ためられる容量が小さいと、疲れがあふれやすくなります。この三つに対応して、「たまる疲れを減らす」「疲労の回復を改善する」「疲れにくい状態をつくる」と考えます。
7.疲れやすさについてよくあるご質問

何もしていないのに疲れることはありますか?
あります。体をあまり動かしていなくても、不安や考えごとが続いている、睡眠で十分に休めていない、病気によるだるさがあるなど、疲れる理由はさまざまです。
仕事や運動の量だけでなく、気を張っている時間や眠りの状態を振り返ります。原因がはっきりせず疲れが続く場合は、診察で相談してください。
うつ病の治療で気分はよくなったのに、疲れやすさが残ります
気分、睡眠、体力、集中力の回復は、同じ速さで進むとは限りません。気分が少し楽になっても、通勤や家事を続けると強く疲れる場合があります。
「元気になったから以前と同じ量をこなそう」と急ぐより、活動の後にどのくらい疲れるかを主治医に伝え、負担を調整します。残っている不眠や、薬による眠気、体の病気なども必要に応じて確認します。
栄養ドリンクやサプリメントで改善できますか?
栄養の不足があれば、それに合う補充が役立つ場合があります。一方、疲れの背景が不眠や病気、過剰な負担であれば、その原因への対処が必要です。
カフェインで一時的に眠気が減っても、疲れの原因が改善したことにはなりません。夜の睡眠を妨げる場合もあります。鉄剤やサプリメントを考えるときは、検査の必要性や薬との組み合わせを医師・薬剤師に相談してください。
8.まとめ・関連する病気や対処法を詳しく知る

疲れやすいときは、まず体の原因に注意します。貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病の3つは、採血で素早く分かるものです。
メンタルでは、うつ病、不安障害、不眠症で疲れやすさが出ます。特に不眠症は、うつ病などの悪化要因にもなるため、疲れと眠りの両方に対処します。寝ても疲れが取れない場合には、睡眠中の呼吸や、活動した後の症状の変化も確認します。
対策は、原因への治療と日々の疲労対策です。疲れをためすぎず、回復できる時間を確保し、体調に合う生活へ調整します。休んでも改善しないときや、仕事・家事などに支障が出ているときは、医療機関で相談してください。
こころの不調や眠りを詳しく知りたい方へ
落ち込みや楽しめなさが重なる場合は、うつ病の総合ページをご覧ください。人前での緊張や発作的な不安、眠れなさなどは、関連する疾患ページで説明しています。
うつ病の症状・診断・治療について詳しく見る
社会不安障害の症状・治療について詳しく見る
パニック障害の症状・治療について詳しく見る
不眠症の症状・治療について詳しく見る
適応障害の症状・治療・環境調整について詳しく見る
休養や仕事との両立に困っている方へ
治療や休養の進め方、仕事に行けないときの対応は、次のページで説明しています。
動画で詳しく見る
疲れやすい
このページのもとになった、精神科医による解説動画です。体とこころに関わる原因、疲労を浴槽に例えた考え方、日々の疲れを減らす対策について説明しています。
運営医療機関
こころ診療所吉祥寺駅前
医療法人社団Heart Station/心療内科・精神科








