悪口を言われる

背景で対策が変わる

「実際言われた」「過敏になる(被害念慮)」、「言われていない(被害妄想)」3つが可能性です。

 

「衝動」に走らず、ため込み「うつ」にならず、中間の対策が大事です。

 

動画:悪口を言われる

もくじ

 
  1. (1)はじめに:悪口を言われる
  2. (2)「悪口を言われた」3つの可能性?
  3. (3)本当に悪口を言われている時
  4. (4)敏感になっている(被害念慮)
  5. (5)言われていない(被害妄想)
  6. (6)まとめ
  7.  

(1)はじめに:悪口を言われる

心療内科、精神科の症状。今回は「悪口を言われる」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

「悪口を言われた」と感じたとき、これは「実際に言われている時」もあれば「敏感になりすぎている時」もあり、そして「精神的な症状の時」もあります。

そして、それぞれの場合に注意が必要なこともいくつかあります。

今回は「悪口を言われる」について見ていきたいと思います。

(2)「悪口を言われた」3つの可能性

悪口を言われた時に、3つの可能性があります。

まずは「本当に言われているという可能性」。

2つ目が「敏感に取りすぎるという可能性」、いわゆる「被害念慮」。

3つ目が「言われていない」という時、いわゆる「被害妄想」。

背景と対策はそれぞれ違ってきます。

(3)本当に悪口を言われている時

これは疾患の有無関係なしに言われることがあります。

<どこで言われるか>

面と向かって言われたりするということは当然あります。

あとは「うわさをされる」という形もあります。

最近はSNS上で匿名でいろいろ言われることもあります。

<悪口を言う側の背景>

例えば「嫉妬心」を持って言う人もいると思われます。

あとは言う側が「ストレスがあって、その発散」として言うこともあります。

そして、「組織や社会の雰囲気」として言っていい雰囲気になると、悪口は増えます。

<精神疾患はときに背景になる、その例>

例えば自閉症スペクトラムがあって言動が少し独特だと、それをからかわれて悪口を言われる場合があります。

ADHDでの衝動的な「失言」を相手が根に持って悪口で返される場合もあります。

「不安障害」で相手から「この相手には言っても大丈夫」と思われ、言われる場合もあります。

ただ、これらはあくまで要素の一つに過ぎないというところがあります。

むしろ、対処の方法が一番注意と思われます。

<好ましくない対処の例>

①衝動的な暴力等

「言った相手が悪い」のは確かですが、それを暴力で返してしまえば、暴力した方が悪くなる場合があります。

②ため込んで落ち込む

ため込んだ強いストレスから不眠・うつ病等のリスクが生じます。

<現実的な対策>

①一歩引き冷静になる

これはトラブルを避けるとともに、長期的にどうすべきかを探す第1歩になります。

②可能なら話し合う

ストレスをためるとメンタル不調の原因になるため可能であれば話して、そこをクリアにしていきます。

ただ、これは時に困難やリスクの高さがあるため、それを見極めた上でする必要があります。。

③現実的な対策を模索する

冷静に、しかしある種断固とした覚悟を持った上で、具体的な対策を徐々に模索していきます。

(4)敏感になっている(被害念慮)

ここでは、「事実の誤認と強い反応に注意」です。

<被害念慮とは>

被害念慮は、多くは刺激に敏感になった結果、色々ある物事が自分への攻撃と感じられる状態です。

被害妄想との違いは「訂正可能」、一歩引いて冷静になればそこを訂正できることです。

<被害念慮に伴うリスク>

①事実の誤認

事実を強く、極端に捉えてしまうことで誤解する場合があります。

②強すぎる反応

強い心理的影響を受けるため、それに対し強く反応しトラブルに至るリスクがあります。

<被害念慮が生じる精神疾患>

これは敏感になる可能性のあるもの一般が当てはまります

。代表的にまず「統合失調症」や「妄想性障害」があります。

そのほかにも「うつ病」で敏感になってしまう場合、「躁うつ病」があって、躁状態で被害念慮が出やすくなる場合もあります。

また「不安障害」で常に敏感な状態が続いている場合、「パーソナリティ障害」で過敏さ・反応の強さが続く場合もあります。

そして、精神疾患がなくても生じることがあります。

具体的にはストレスがあったり、不調があるときに過敏になることがあります。

<精神疾患がなくても被害念慮が出やすい時>

まずは重度のストレスが続いている時。

または「睡眠不足」が続いている時。

もう一つが過労や、体調不良がある時です。

<被害念慮の現実的な対策>

①一歩引いて冷静になる

ある種の極端な感情などに飲まれないことで、誤認や衝動的なトラブルを防ぎます。

②体調面の対策

もし体調不良が背景の一過性のものなら、その対策で改善を見込みます。

③原因疾患の治療

例えばうつ病など原因があればその治療をすることで、この敏感さも改善が見込める場合があります。

(5)言われていない(被害妄想)

ここでは、「トラブルなどの前に対応を」です。

<被害妄想とは>

被害妄想は、本来とは違う中で、「攻撃されている」と思う確信になります。

「追跡されている」「監視されている」「悪口を言われている」など、いくつかの形をとることがあります。

そして、特徴は第三者からの訂正が困難、もしくは不可能なことです。

<被害妄想の出方>

①妄想着想

根拠がなく、突然ふっと思いついてそれが確信になってしまうという場合です。

②妄想知覚

何か刺激があった時、それを強く独特な形で捉えて、それが被害妄想のようになる場合があります。

③幻聴由来

例えば、悪口の幻聴が続く場合、それに巻き込まれ「悪口を言われている」被害妄想につながる場合があります。

<主な背景の疾患>

①統合失調症

代表的な被害妄想の原因です。

妄想が単独で生じる場合もありますし、幻聴から妄想につながるという場合もあります。

②急性一過性精神病

強いストレスなどを背景に一過的に統合失調症のような急な混乱が起こり、その中で被害妄想が出ることがあります。

③妄想性障害

これはむしろ持続する(被害妄想も含む)妄想が特徴的な精神疾患です。

<他の背景であり得るもの>

まずは「重度のうつ病や躁うつ病」でこのようんあ被害妄想も出ることが時としてあります。

後は「一部のてんかん」意識障害を伴わない側頭葉てんかんなどで出現することがあります。

3つ目は、甲状腺の不調など「身体の原因」で、この被害妄想なども出ることがあります。

<被害妄想の対策>

対策は「一歩引いて受診と治療を」です。

受診や治療につなげることが大事です。

<受診・治療につながらない時のリスク>

①他者への実害

妄想からの「行動化」に伴っての他者とのトラブル、実害に一番注意が必要です。

②自分への実害

被害妄想や混乱の攻撃性が自分に向かうときに実害が生じる危険があります。

③能力への影響

統合失調症など、いわゆる「未治療期間」が長くなるほど、認知機能障害や幻聴などの「後遺症」が強くなります。

(6)まとめ

今回は、心療内科・精神科の症状「悪口を言われる」について見てきました。

「悪口を言われる」と感じた時、「本当に言われている」「敏感過ぎる(いわゆる被害念慮)」、「実は言われていない(被害妄想)」この3つの可能性があります。

対応では「衝動行為」と「うつ」がこの「悪口を言われたと感じた時」の大きなリスクになります。

まずは一歩引いて冷静に。しかしため過ぎず、相談をしながら現実的なその場に応じた対応を模索します。

「被害念慮」であれば、まずは体調を戻しメンタル不調がもしあれば治療します。

もし「被害妄想」であれば、何よりも早めの受診・治療が推奨されます。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)