いつもと様子が違う

うつ病の外から見える症状の事も

「いつもと様子が違う」場合、偶然などの事もある一方、「うつ病」の症状の場合もあります。

 

うつ病では、自覚症状をしばしば感じにくい一方、外から「いつもと違う」変化が出る事があります。

 

結果、「いつもと様子が違う」状態に気づくことが、うつ病の受診と治療につながることがあります。

 

動画:いつもと様子が違う

もくじ

 
  1. (1)はじめに:症状「いつもと様子が違う」
  2. (2)「相手が」いつもと様子が違う時
  3. (3)「いつもと様子が違う」と言われた時
  4. (4)まとめ
  5.  

(1)はじめに:症状「いつもと様子が違う」

心療内科・精神科の症状。今回は「いつもと様子が違う」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

時として自分はあまり変わりがないはずなのに、他の人から「いつもと様子が違う」と言われることがあります。

これはある種「たまたま」のことも当然あるわけですが、実は何か不調のサインということもあり得るので、ある種注意が必要なものになります。

今回は「いつもと様子が違う」について見ていきます。

(2)「相手が」いつもと様子が違う時

まずは、「相手がいつもと様子が違う時」というところを見ていきます。

ご家族や友人など「相手の様子がいつもと違う」ということがあります。

この時はどういう可能性があるか見ていくと大きく言うと4つです。

まずは「たまたま」偶発的な話、2つ目が「何かストレスがある」という話。3つ目「適応障害」、4つ目が「うつ病」です。

①たまたま(偶発)

相手のいつもと違う面を見た時に違うと感じることは、別に精神疾患関係なくありえます。

また状況が変わると、当然、そこでの相手の「表出」も変わりえます。

そして意外とあるのが、見ている自分自身が疲労・ストレス強い時に「見え方が変わってくる」場合です。

②相手にストレスがある

これはストレスがあればその反応は、メンタル不調がなくても出る場合があります。

例えば、多忙や重圧がある時、もしくは何か特定のストレスがある時が想定されます。

③適応障害

これは「ストレス反応」にしては反応が強すぎたり、もしくは影響が強く出すぎる場合です。典型的には、仕事・特に出社時の変化があります。

その他、特定のことに対しての変化・反応が出る場合もあります。

④うつ病

この場合は、よく脳のセロトニンの不足と言いますが、脳の状態が変化し、結果集中力などが落ち、外からの見え方もそれにより変わる場合があります。

そうすると、特定のストレス関係なく、普段の言動や反応の仕方などが変わってきます。

この場合は、早めの受診が必要な場面が少なくないので注意が必要です。

(3)「いつもと様子が違う」と言われた時

「いつもと様子が違う」と言われた時、まず大事な質問は「違いの自覚があるか」。

自覚がある場合、これは適応障害や(正常範囲の)ストレス反応の場合が多いです。

ある種ズレが少ないのは安心ですが、ストレス反応は外から見ても目立ちやすい事には注意が必要です。

逆に自覚がないという場合の可能性は(メンタル面では)大きく2つです。

まずは、いわゆる「たまたま」偶発的な話、もう一つがうつ病になります。

①たまたま(偶発)

相手が不調や疲労があった時に見え方が変化している可能性があります。

また、相手の方が「敏感で」小さな変化でもそれを拾ってしまう場合もあります。

そして、いつもと違う面を相手に(意識・無意識かかわらず)見せた場合に違うという反応が出る事はあります。

②うつ病

上述のように、偶発的な可能性もありますが、注意が必要なのがうつ病の可能性です。

<背景:うつ病での行動の変化>

うつ病では、落ち込みなどの自覚症状のほか、行動の変化が出ることがあります。

一方で、自分ではうつ症状を時に自覚しにくい場合もあります。

その場合は特に外からの変化がうつ病の発見や受診につながるヒントになりえます。

<周りから見ての変化の例>

例えば表情がいつもよりも暗くなっていたり、声が小さくなっていたりする。

逆に前だったらイライラしないようなことでイライラしやすくなる。

あとはミスが増えたり、何か集中していない様子が続く事があります。

<自分で症状を自覚しにくい背景>

まずうつ病だと症状がゆっくりの場合があり、なかなか変化は見えにくい場合があります。

あとは症状があると分かってもそれを「抑圧」し、感じにくくなる場合。

または集中力・判断力が低下すると「セルフモニタリング」、自分で自分の状態を見るという力が落ち、症状を感じにくくなることがあります。

<特に注意が必要な場面>

まず1つ目は複数の人に言われた場合、一人だと相手の感じ方の問題もありえますが、複数・特に多くの人に言われる場合はその信ぴょう性が上がります。

続いては「言われることが続く場合」。一過性で一回だけなら信憑性が低くても、1週間・2週間言われ続ける場合は不調の可能性が上がります。

3つ目としては「振り返ると自覚症状がある」場合。自分でそれに気付いていなかったけれども、指摘後よく振り返ってみると、何か「気分が浮かない」とか「楽しめない」等の不調があった場合は注意が必要です。

<もし、うつ病が疑われたら>

うつ病に関しては、早めの受診がやはり大事です。

それまでの間はなるべく「頭を休ませる」そして受診の結果「休職」、休みに専念することもありえます。

そして結果、脳の不調のため薬が必要な場面が多いです。ここは、担当の先生と相談をしてみてください。

(4)まとめ

今回は心療内科・精神科の症状「いつもと様子が違う」についてみてきました。

「いつもと様子が違う」場合、時には偶然の事もありますが、時として「うつ病での変化」のこともあり、注意が必要になります。

うつ病では、時に「症状が自覚しにくい」かつ「外から見ての変化が出やすい」ために、「様子の違い」が発見や診断・診察のヒントになる場合があります。

特に複数の人から言われたり、言われることが続いた場合は要注意ですので、早めの受診が選択肢になり得るかと思います。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)