六月病・七月病

連休後、6月・7月のうつ

六月病・七月病は、4月の環境変化を背景に、連休後6月・7月にうつ状態が目立つ状態です。

 

適応障害やうつ病が主です。祝日がなく梅雨で気分転換困難など悪循環重なるため要注意です。

 

動画:六月病・七月病

もくじ

 
  1. (1)はじめに:六月病・七月病
  2. (2)六月病・七月病の例
  3. (3)六月病・七月病とは?
  4. (4)なぜ六月病・七月病が多いか?
  5. (5)六月病・七月病の予防と対策
  6. (5)まとめ
  7.  

(1)はじめに:六月病・七月病

精神科・メンタル分野の言葉。今回は「六月病・七月病」について見ていきたいと思います。よろしくお願いします。

ゴールデンウィークを過ぎた後のうつ症状「五月病」は有名ですが、実際の臨床ではむしろ6月・7月に不調になる、いわゆる「六月病・七月病」がより多い印象があります。

今回はこの「六月病・七月病」について、その背景と対策を見ていきたいと思います。

(2)六月病・七月病の例

Aさんは4月に昇進して、初めはやる気に満ちていました。

しかし5月の連休明けから徐々に意欲の低下が目立ち、6月になって徐々にふさぎ込む様子が見えました。

そして7月になり、朝になって吐き気などが強く出て会社に行けなくなりました。

(3)六月病・七月病とは?

<六月病・七月病とは>

基本的には「五月病的な不調」、それが6月・7月、より遅い段階で起こるものです。

病態としては、「適応障害」もしくは「うつ病」の状態が想定されます。

会社に行けなくなるなど、社会的な実害が大きいところがあります。

<六月病・七月病の症状>

基本的には「五月病」と同様、適応障害・うつ病に準じるものになります。

①こころの症状

いわゆる「うつ症状」落ち込み・意欲低下・興味がなくなる(興味の減退)などがあります。

②体の症状

吐き気・めまい、疲れやすさなどが出ることがあります。

③行動の変化

いらいらしやすくなったり、目がうつろになるなど、外から見ての変化です。

<五月病との違い>

まずは五月病と比べると徐々に進行する傾向があります。

あとは「うつ病的な傾向が強い」こと。徐々進むことと連動する部分があります。

その中で「周りが気付くことの割合が比較的高い」臨床的印象があります。

(4)なぜ六月病・七月病が多いか?

基本的には「疲れやストレスが一番たまる時だから」です。

<七月病に至るまで>

まず4月に大きな変化があって、この直後しばらくは気を張っています。

しかし5月になるとやや不調傾向が出始めます。

その中で6月により不調が目立つようになり、悪化が続きます。

そして最終的に7月に「仕事に行けない」状態に至ります。

<6月、7月が要注意な理由>

この時期に、以下のような「不調の背景」が重なることが理由です。

①疲れやストレスがたまってくる時期

4月に変化があって5月一回休みの後、5月→6月→7月と、徐々にストレスがたまります。

②2カ月間祝日がない

5月連休後は次の祝日は7月の中旬までなく、その中で疲れがたまることがあります。

③梅雨の時期になる

特に外に出るタイプの気分転換が困難になり、ストレス蓄積のリスクがあります。

(5)六月病・七月病の予防と対策

一番大きいのは「休めるときにしっかり休むこと」です。

<六月病・七月病の予防>

まずは「疲れとストレスをためない」休めるときにしっかり休養ことです。

また、梅雨対策で「雨でもできる気分転換等の確保」が大事になってきます。

そして、祝日がない対策として、可能なら「有給休暇の獲得」も方法です。

<5月の連休の過ごし方も大事>

連休後に疲れやストレスが残ると、その後それが増幅し不調になるリスクが高いです。

なので、連休中にまずしっかり休養し、余裕があれば気分転換も並行することが大事です。

ただ、その中で過食・大量飲酒等の健康や生活リズムを崩す方法は逆効果のため控えます。

<六月病・七月病になってしまった場合>

対策を取っても不調になってしまった場合は、早めの対策が大事です。

先ほどの「周りに勧められて」の時はすでに進行している場合が多いです。

なので、その前に早めに対策をしたいところです。

不調時は早目に対処し、症状が続く場合は早い段階で受診を検討することが望まれます。

(6)まとめ

今回は、精神科・メンタル分野の言葉「六月病・七月病」について見てきました。

この「六月病・七月病」は五月病が後々にずれ込んだ状態です。徐々に進行した上で、受診に至ることが現実的には多いです。

日本では6月、7月は「祝日がなく」「梅雨が続く」など、悪条件が重なるため注意を要します。

予防のためには、5月の連休も含めて、日頃からストレス疲れを取っていくということが大事です。

そして、もし不調の場合、「早目に1日休む」などの対策をとり、不調が続くなら早めの受診が選択肢になります。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)