六月病・七月病について知っておきたい4つのポイント
症状の出方、五月病との違い、背景、対策を先にまとめます。
① 4月の変化から時間がたち、6月・7月に不調が目立つ

新しい環境で気を張っていた後、落ち込みや意欲の低下、吐き気、疲れやすさなどが出てきます。主に適応障害やうつ病の状態で、会社に行けないなど、生活への影響が大きくなることがあります。
② 五月病より徐々に進み、周囲が気づくことも多い

診療では、五月病と比べて少しずつ進行し、うつ病的な傾向が強い印象があります。本人がつらさを言葉にする前に、家族や同僚が、ふさぎ込む様子や表情の変化に気づく場合もあります。
③ 疲れの蓄積・祝日の少なさ・梅雨が重なる

4月からの疲れやストレスが、5月・6月と積み重なります。連休後は次の祝日まで約2か月あり、梅雨で外出による気分転換もしにくくなります。疲れを持ち越しやすい条件が重なる時期です。
④ 休養を先に確保し、続く不調は早めに相談する

まずは休めるときにしっかり休み、可能なら有給休暇も使って疲れをためない工夫をします。不調が出たら早めに1日休むなどして対策を取り、休んでも続く場合は医療機関へ相談します。
詳しい解説の目次
1.六月病・七月病とは――五月病との違い

連休明けより遅い時期に目立つ、こころと体の不調
六月病・七月病は、五月病に似た不調が、6月・7月と遅い時期に目立つ状態です。 4月の入学・入社・異動・昇進などによる変化の後、疲れやストレスが重なっていきます。
この言葉は、時期と経過を表す呼び名です。診察では、適応障害やうつ病など、背景にある不調を確認します。気分が晴れないだけでなく、出勤や登校が難しくなるなど、社会生活への影響が大きくなることがあります。
診療では、5月より6月・7月の不調が目立つ印象がある
ゴールデンウィーク明けの「五月病」はよく知られています。一方、実際の診療では、むしろ6月・7月に不調が目立つ「六月病・七月病」の方が多い印象があります。
4月に元気に過ごしていた人でも、その後に少しずつ調子を崩すことがあります。「連休明けを乗り切ったから大丈夫」と区切らず、その後の疲れや気分の変化にも目を向けます。
五月病との違いは、時期だけでなく進み方にもある
六月病・七月病では、五月病と比べて徐々に進行し、うつ病的な傾向が強いという臨床的な印象があります。その中で、周りの人が変化に気づく割合も比較的高くなります。
| 見るポイント | 五月病 | 六月病・七月病 |
|---|---|---|
| 不調が目立つ時期 | 主に5月の連休明け | 連休後から、6月・7月と遅い時期 |
| 経過の捉え方 | 新しい環境に入った後、連休明けに不調が表れる | 疲れやストレスが蓄積し、徐々に不調が進む傾向 |
| 背景の状態 | 主に適応障害・うつ病 | 主に適応障害・うつ病で、比較するとうつ病的な傾向が強い印象 |
| 気づき方 | 本人のつらさや、周囲が感じる変化 | 徐々に進む中で、周囲が気づくことが比較的多い印象 |
この比較は、診療で見られる傾向を整理したものです。一人ひとりの状態は、症状と生活への影響を合わせて確認します。
2.4月は元気だったのに、7月には仕事に行けなくなった例

昇進後、少しずつ変わっていったAさん
Aさんは4月に昇進し、初めはやる気に満ちていました。ところが、5月の連休明けから徐々に意欲の低下が目立つようになります。
6月になると、ふさぎ込む様子が見られました。そして7月には、朝に吐き気などの症状が強く出て、会社に行けなくなりました。
| 時期 | Aさんの様子 |
|---|---|
| 4月 | 昇進し、やる気に満ちていた |
| 5月の連休明け | 徐々に意欲が低下した |
| 6月 | ふさぎ込む様子が目立ってきた |
| 7月 | 朝の吐き気が強く、会社に行けなくなった |
最後の欠勤だけでなく、その前の変化を見る
Aさんの例では、仕事に行けなくなったのは7月ですが、不調はその前から始まっていました。4月の大きな変化の直後は気を張り、5月に不調が出始め、6月を通して悪化が続くという流れです。
「最近は仕事への意欲がない」「家ではあまり話さなくなった」といった変化の段階で、疲れや体調を確かめることが大切です。出勤できるかどうかだけで、状態を判断しないようにします。
3.六月病・七月病の症状――こころ・体・行動の変化

症状は基本的に五月病と同様で、適応障害・うつ病に準じます。 こころのつらさだけでなく、体の症状や、周囲から分かる様子の変化にも目を向けます。
① こころの症状――落ち込み・意欲の低下・楽しめなさ
気分が落ち込む、仕事や勉強への意欲が出ない、好きだったことへの興味が薄れるといった変化があります。「7月に入ってもやる気が戻らない」「休日も何かを楽しむ気持ちになれない」という形で気づく人もいます。
例えば、以前は週末の予定を楽しみにしていたのに、何をするか考えることまでおっくうになる場合があります。興味や楽しみの変化は、疲れとともに振り返りたい点です。
② 体の症状――吐き気・めまい・疲れやすさ
吐き気やめまい、疲れやすさなどが出ることがあります。朝から体が重い、通勤の支度を始めると吐き気がする、少し動くだけで疲れるなど、体の不調が先に目立つ場合もあります。
あわせて、睡眠や食事の変化も確かめます。眠りが浅くなった、食欲が落ちたといったことがあれば、受診時に一緒に伝えてください。
③ 行動や外見の変化――イライラ・うつろな目・欠勤
小さなことにイライラしやすくなる、目がうつろになるなど、外から分かる変化が出ます。ふさぎ込む時間が増え、周囲が「いつもと違う」と感じることもあります。
仕事では返答に時間がかかる、遅刻や欠勤が増えるなどの変化も、相談の手がかりになります。学校でも、授業への参加や通学が以前より負担になっていないかを振り返ります。
| 確認する面 | 元記事の主な症状・変化 | 日常での見え方の例 |
|---|---|---|
| こころ | 落ち込み、意欲低下、興味の減退 | 仕事に気持ちが向かない、趣味を楽しめない |
| 体 | 吐き気、めまい、疲れやすさ | 朝の支度が進まない、休んでも疲れが残る |
| 行動・外見 | イライラ、目がうつろになる、出勤が難しくなる | 会話が減る、ふさぎ込む、欠勤する |
4.6月・7月に不調が目立つ三つの理由

6月・7月に不調が目立つのは、基本的には疲れやストレスが最もたまる時期だからです。 そこへ、次の三つの条件が重なります。
① 4月からの疲れやストレスがたまってくる
4月に環境が大きく変わると、しばらくは気を張って過ごします。新しい役割を覚え、人間関係をつくり、周囲に合わせる毎日が続きます。
5月の連休で一度休んだ後も、日々の負担が続けば、5月から6月、7月と疲れが積み重なります。連休の時点で疲れやストレスが残っていると、その後に不調が増幅するリスクも高くなります。
② ゴールデンウィーク後は、約2か月にわたって祝日がない
5月の連休が終わると、例年、次の祝日は7月中旬ごろの海の日です。その間は約2か月にわたって祝日のない期間が続き、疲れをためる一因になります。
週末だけでは回復が追いつかないまま、次の週を迎えることもあります。「次の連休まで頑張る」と先延ばしにするより、今の疲れに合わせて休める日を考えます。
③ 梅雨で、外出による気分転換がしにくくなる
散歩や外出、屋外での趣味が気分転換になっている人は、雨が続くと、その機会を持ちにくくなります。疲れやストレスがたまる時期に、いつもの発散方法も使いづらくなるわけです。
外出が気分転換になっている人ほど、雨の日に使える別の方法を考えておくと役立ちます。家の中で休める方法や、負担の少ない楽しみを用意しておきます。
5.六月病・七月病を予防するためにできること

① 休めるときに、しっかり休む
予防で最も大切なのは、休めるときにしっかり休み、疲れとストレスをためないことです。 夜の予定や仕事を詰め込みすぎていないか、週末に休む時間が残っているかを見直します。
例えば、急がない用事を次の週へ回す、家事を家族と分ける、休憩中に仕事の続きを抱え込まないよう相談する、といった調整です。休みを取っていても連絡や考え事から離れられないときは、何が休養を妨げているかも確認します。
② 雨の日にもできる気分転換を用意する
外に出られない日でも、負担の少ない気分転換ができるようにしておきます。音楽を聴く、好きな作品を短い時間楽しむ、無理のない範囲で家の中の趣味に触れるなど、自分に合うものを選びます。
疲れが強い日は、まず休養を優先します。気分転換も「必ずやる予定」にするより、その日の余裕に合わせて取り入れます。
③ 可能なら、有給休暇などで休む日をつくる
祝日がない期間の対策として、有給休暇を取ることも一つの方法です。取得できる日や仕事の分担を相談し、疲れをため込む前に休養の機会をつくります。
丸一日の休みを取りにくい場合も、担当業務や予定の調整を相談することはできます。「何を減らせれば休めるか」を、具体的に考えてみてください。
ゴールデンウィークの休み方も、6月・7月につながる
5月の連休後に疲れやストレスが残ると、その後に増幅し、不調につながるリスクが高くなります。連休中はまずしっかり休養し、余裕があれば気分転換も並行します。
過食や大量飲酒など、健康や生活リズムを崩す方法は逆効果です。遊びの予定を詰め込むより、連休が終わるときに疲れを持ち越さない過ごし方を考えます。
6.不調が出たときの対処法と、受診の目安

早めに1日休むなど、負担を減らす対応を取る
不調が出たら、悪化が進む前に対策を取ることが大切です。 早めに1日休む、急ぎでない予定を減らす、身近な人に負担を相談するなど、休養に向けて動きます。
仕事への連絡は、体調とその日の対応を短く伝える形でも構いません。例えば、「体調が悪く、本日は休養したいです。続いているため、受診も考えています」と、職場の連絡方法に沿って伝えます。
すでに仕事へ行けない状態があるときは、その日の出勤を押し通すより、休養と相談を優先します。詳しい当日の対応は、別の症状ページで説明しています。
周囲に受診を勧められたときは、早めに状態を確認する
診療では、家族や同僚に勧められて相談する時点で、すでに不調が進んでいる場合が多くあります。できれば、その前の段階で休養や負担の調整を始めたいところです。
周囲から「前より元気がない」「最近、表情が違う」と言われたら、いつ頃からどのような変化があったのかを聴いてみてください。自分では言葉にしにくかった変化を、診察で伝える手がかりになります。
休んでも不調が続く場合は、心療内科・精神科へ
休養を取っても落ち込みや吐き気が続く、出勤・登校が難しい、以前できていた生活が保てないときは、早い段階で受診を検討します。強いつらさや生活への支障がある場合は、休養の効果を待ち続けずに相談してください。
診察では、適応障害やうつ病などを検討し、状態に合う治療を考えます。体の症状が中心のときは、内科などで身体面を確認し、その結果と経過を共有する方法もあります。
六月病・七月病という呼び名だけで治療を決めるのではなく、症状の強さ、続き方、仕事や学校の負担を見ていきます。休養できる環境を整え、必要な治療につなげます。
診察には、4月からの経過を短くまとめて持参する
「6月からだるい」という説明に加え、4月に何が変わり、その後どう過ごしていたかを伝えると、状態を整理しやすくなります。きれいな文章にせず、短いメモで構いません。
| 伝えること | メモの例 |
|---|---|
| 環境の変化 | 4月に昇進した、部署が変わった、進学した |
| 始まった時期 | 5月の連休明けから意欲が落ち、6月に悪化した |
| 今ある症状 | 朝に吐き気がする、疲れが抜けない、趣味に興味が湧かない |
| 睡眠・食事 | 寝つきが悪くなった、食事量が減った |
| 休養後の変化 | 1日休んだ後も、同じ不調が続いた |
| 生活への影響 | 仕事に行けない、授業を休む、家事が進まない |
| 周囲からの指摘 | 表情が暗い、目がうつろ、口数が減ったと言われた |
7.家族・職場・学校で気づいたときの接し方

「いつもとの違い」を挙げて、話を聴く
徐々に進む不調では、本人より周囲が変化に気づくことがあります。イライラ、うつろな目、ふさぎ込む様子などを、単なる態度の問題として扱わず、体調を尋ねてみます。
例えば、「最近、帰宅するとずっと横になっているようで心配している。疲れは取れている?」と、見た様子と心配している気持ちを伝えます。「5月は元気だったでしょう」と過去の様子だけで判断せず、今、何がつらいのかを聴いてください。
休めるように、具体的な負担を減らす
家族であれば、家事や買い物を分担し、休める時間をつくることが助けになります。職場では、担当業務や締め切り、休暇の取り方を相談します。
学校では、本人の希望を確認しながら、保健室や学生相談室などの窓口を利用する方法もあります。「頑張って通い続けるか、全部やめるか」の二択にせず、今の負担を減らす方法を考えます。
本人が望む場合は、受診の準備を手伝う
予約を調べる、経過をメモにする、受診に付き添うなど、負担になっている部分を手伝います。本人が話したくないときは、無理に詳しく説明させず、相談できることを伝えておきます。
支える側も一人で抱え込まず、会社の産業保健スタッフや相談窓口などを活用してください。周囲が気づいた変化と、本人が感じているつらさを合わせて支えていきます。
8.六月病・七月病についてよくあるご質問

六月病・七月病は、いつまで続きますか?
不調が続く期間は、背景にある病気や負担、症状の進み方によって変わります。「7月が終われば治る」と暦で区切るより、休んで改善しているか、生活が戻っているかを確かめます。
不調が続く場合は、次の連休や季節の変化を待たずに受診してください。回復の見通しは、診察で状態を確認しながら相談します。
5月は元気だったのに、6月・7月から不調になることもありますか?
あります。新しい環境で気を張っている間は元気に過ごし、その後に疲れや意欲の低下が目立つことがあります。元気だった時期だけでなく、最近の様子を基準に振り返ります。
また、振り返ってみると、5月から少しずつ変化が始まっていた場合もあります。睡眠、朝の体調、休日の過ごし方などを順に見てみてください。
新入社員だけでなく、異動・昇進した人や学生にも関係しますか?
このページのAさんも、新入社員ではなく昇進後の例です。確認したいのは、4月前後に環境や役割がどう変わり、どのような負担が続いているかです。
社会人では異動や昇進、学生では進学やクラスの変更などが、生活を振り返るきっかけになります。年齢や立場だけで区切らず、今の困りごとを相談してください。
梅雨が明ければ、気分も戻りますか?
外出しやすくなれば、気分転換の選択肢は増えます。一方、蓄積した疲れや、背景にある適応障害・うつ病への対応も必要です。
晴れた日まで我慢するより、雨の日にも休める環境を整えます。気分転換をしても不調が続くときは、医療機関で状態を確認します。
有給休暇を取りにくい場合は、どうすればよいですか?
どの仕事や予定が休養を妨げているのかを整理し、職場へ具体的に伝えます。例えば、「担当が増えてから疲れが抜けず、朝の吐き気も続いています。業務量と休み方を相談したいです」という伝え方があります。
生活への支障が出ている場合は、休暇の調整と並行して受診も考えてください。自分一人で結論を出さず、職場と医療機関に、困っている状況を共有します。
9.まとめ・関連する病気や症状を詳しく知る

六月病・七月病は、五月病に似た不調が、6月・7月と遅い時期に目立つ状態です。適応障害やうつ病が主な背景にあり、診療では、徐々に進行してから受診に至ることも多くあります。
疲れやストレスがたまる時期に、祝日のない期間と梅雨が重なります。5月の連休も含め、休めるときにしっかり休み、雨でもできる気分転換や、可能な休暇を取り入れます。
不調が出たら、早めに1日休むなどして対策を取り、続く場合は早めに受診してください。家族や同僚が気づいた変化も、状態を知る大切な手がかりです。
病気全体の症状や治療を知りたい方へ
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六月病・七月病
このページのもとになった、精神科医による解説動画です。6月・7月に不調が目立つ背景と、予防・対策について説明しています。
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