子育てうつ

子育てに疲弊しての適応障害

子育てうつは、子育てのストレス等での疲弊に伴って出る適応障害・うつ病です。

 

特に保護者間の関係、仕事との両立、子供の発達障害等からのストレスに注意が必要です。

 

対応困難な時は、子ども家庭支援センター等を通じてサポート制度を活用するのも選択肢です。

 

動画:子育てうつ

もくじ

 
  1. (1)はじめに:子育てうつ
  2. (2)子育てうつについて(概念・治療等)
  3. (3)子育てうつ:特に注意が必要な状態3つ
  4. (4)補足:子ども家庭支援センター
  5. (5)まとめ
  6.  

(1)はじめに:子育てうつ

様々なうつ病・適応障害。今回は「子育てうつ」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

メンタルクリニックの外来で、産後うつと並んで「子育てうつ」の相談を受けることは少なくありません。

こちらは産後うつとは少し違って、いわゆる適応障害的な、ストレスへの反応というところが強くありまして、産後うつのような急な変化は少ない。

一方で、ストレスが続くと症状が長引いてしまうことが少なからずあります。

これについて、今回、子育てうつについて扱っていきたいと思います。

(2)子育てうつについて(概念・治療等)

<子育てうつについて>

これは子育てに関連して生じてきます各種のうつの症状になってきます。

基本的には、ストレスに反応しての適応障害というところが一般的になります。

一方で、ストレスがどうしても長期化してしまうことが多いので、症状も長期化してしまうことが少なからずあるということになります。

<産後うつとの違い>

産後うつと違いホルモンの影響はあまり少なくて、基本的には適応障害・ストレス反応ということになってきます。

治療に関しては、適応障害に準じた方法をとるというのが産後うつとの違いになります。

つまり、ストレスの状況・ストレスの状態が非常に病状に強く影響するというのも一つ違いかと思います。

<子育てうつの治療>

基本的には適応障害に準じて治療していきます。

あくまで薬は補助的でありまして、環境調整などでストレスを減らすということは非常に大事になってくるということであります。

その中で、子育て支援センターなど関係者のサポートが非常に大事になってくるということになります。

(3)子育てうつ:特に注意が必要な状態3つ

特に注意が必要な状態を3つ挙げますと、一つは保護者間の人間関係、2つ目が仕事との両立、3つ目が子供さんの発達障害、ということになってくるかと思います。

①保護者間の人間関係

保育園や幼稚園、あと、習い事などでの保護者間の人間関係ということのご相談を受けることが少なくありません。

ここであるのは、本来は、人間関係は、話し交流することで、何かプラスになるから交流するのが大原則のはずですが、実際には違う事もあると聞きます。

基本的な対策は、人間関係の原則に立ち返り、もしマイナスが強いなら「合わない関係」のため、距離を取る事が重要と思われます。

現実的には難しい場合があると思われますが、前提としてそういうマイナスの人間関係が必要な場所・環境はどうか、御一考いただけると幸いです。

ただし、そこも含めてお子さんにとって必要性もあるため、環境を変えるか否かは総合的に検討することになります。

②仕事との両立

仕事ではストレスがあります。そして、子育てにもストレスがあります。これを両方やるということですので、どうしてもストレスが重なってしまうということが大前提としてあります。

特に仕事で残業は難しいことで、職場との間のストレスがあるかもしれない。また、保育園との時間との兼ね合いの問題も出てきます。

さらに、子供さんが病気になった時、いわゆる病児保育というのがありますが、なかなか取れないという話もあり、その対策の問題があります。

こういったところでのストレスが特に要注意になってきます。

対策としては、まずストレスがたまるということを前提にして、時間を見つけて少しでもストレスを取っていく、ストレス対策をするというのが大前提です。

その上で難しい場合に、職場の業務の調整をしたり、家でやることをなるべく最小限に絞っていく対策が検討されます。

③子供の発達障害

お子さんに発達障害があった時、その対応でストレスが非常にたまってしまうという話、相談は多く受けるところがあります。

まずは日ごろの育てにくさ、日ごろの子育てでのストレスがどうしてもたまってしまいやすいということがあります。

2つ目としては、医療機関・療育機関に通うことでのいろいろ負担・ストレスもあります。

3つ目としては、その後・今後に関しての不安や葛藤というところがあるということがあるかと思います。

対策としては、まずはそういう医療・通う場所や方針というのをしっかり固めて軸をしっかり決めるというのが1つ目です。

その上で気持ち・心理面の整理をしていくということが2つ目。

それでも育てにくいということはあるので、いろいろサポート制度などを活用していくということがあるんだと思います。

(4)補足:子ども家庭支援センター

ここでサポート制度、特にこども家庭支援センターの話があります。

子育ての負担がどうしても増えてしまって対応が難しいという場合は、いろいろなサポート制度がある一方、煩雑で利用が困難との話も聞くところです。

対策としては、各市町村にある「子ども家庭支援センター」に相談をすると、全体を知った上でのサポート制度利用のアドバイスをもらえる事があります。

なのでサポートが必要と思った場合、この子ども家庭支援センターに相談していただくといいんじゃないかと思います。

(5)まとめ

今回は「子育てうつ」についてまとめていきました。

子育てうつは子育てに関連したストレスの反応、適応障害というところがあります。ただ、ストレス状況が続いて長期化してしまうということがあります。

その中で、特に保護者間の人間関係、仕事との両立、お子さんの発達障害、というのは注意が必要になってきます。

サポートが必要なときは、まずこども家庭支援センターに相談をしていただくと話が進みやすいんじゃないかというふうに思います。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)