職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ
ミス増加・欠勤等
うつ病・適応障害になると職場でもミス・欠勤など様々な変化が出ます。
これらの変化は時に早期発見・早期対策のヒントにもなります。
もくじ
- (1)はじめに
- (2)うつ病・適応障害は職場で変化が出る
- (3)職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ
- ①ミスが増える
- ②欠勤・遅刻の発生
- ③否定的言動
- ④雰囲気が暗くなる
- ⑤対人トラブル
- (4)もしサインがあったら
- (5)まとめ
(1)はじめに
うつ病・適応障害セルフチェック。今回は「職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
うつ病・適応障害になった時、職場で「いつもと違う様子」が見えることは少なくありません。
そして、早めに気付けば早めの対策で改善したり、休職を防げる場合もあります。
では、職場では、どんなうつ病・適応障害のサインが出てくるでしょうか?
今回は「職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ」について見ていきたいと思います。
(2)うつ病・適応障害は職場で変化が出る
「いつもと違う」が、早期発見のヒントになります。
<うつ病とは>
うつ病は、落ち込みなどうつ症状が続く脳の不調です。
脳のセロトニンの不足などが背景とされます。
うつ病では「行動」も変化し、職場でも変化が出る事が多いです。
<適応障害とは>
適応障害は「ストレス反応」としての各種のうつ症状になります。
脳の不調はないとされ、ストレスから離れると改善します。
そして、職場のストレスが背景の場合は、「職場での行動に変化が出る」ことが多いです。
<うつ病・適応障害の共通点>
まずは双方とも症状は「各種のうつ症状」で共通しています。
あとは「ストレスで変化する」ところ。
そして「職場で症状や変化が出やすい」ところがあります。
<職場での「変化」の方向性>
大きくは、以下の2つになります・
まずは「本来あるものがなくなる」という変化。
もう一つが「本来ないものが出てくる」という変化です。
①「本来あるものがなくなる」変化
これは症状によって「本来あるものがなくなる」「できていることができなくなる」変化です。
意欲や集中力の低下などが背景です。
これらは一見目立ちにくいんですが、続くと影響が強いものです。
<あるものがなくなる例>
まずは「活力・エネルギーがなくなる」というところ。
あとは「集中力がなくなる」というところ。
そして「対人交流がなくなる」というところ。
これらに伴って外から見える変化が様々に出てきます。
②「本来ないものが出てくる」変化
「うつ症状」によってこれまでないようなトラブル等が出てくるというところ。
余力がなくなり、これまでできたカバーが困難になって出てきます。
これは比較的目立ちやすい症状になります。
<ないものが出てくる例>
まずは「ミスが目立ってくる」というところ。
また「欠勤や遅刻」が目立ってくるというところ。
あと「対人トラブル」が目立ってくるなどがあります。
(3)職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ
さまざまに出る「いつもとの違い」があります。
①ミスが増える
普段はしないミスが出現します。
<ミスが増える例>
まず「細かいミスが増える」。
また「約束を忘れて」しまうことが出ます。
そして「重大なミスをして影響が出る」場合もあり得ます。
<ミスが増える背景>
「集中力が低下」してミスが出る事があります
「判断力が低下」して結果ミスになる場合もあります。
また「余力がない」ことミスが出やすくなります。
<類似した変化>
まずは「仕事が遅くなる」。同じことが時間がかかるようになります。
また「仕事の質が下がる」プレゼンの資料などの質が下がってしまうなどが出てきます。
あとは「判断の先送り」判断が困難になり、結果先送りにすることが目立つことがあります。
②欠勤・遅刻の発生
「休まない人が休むようになる」状態です。
<注意を要する例>
まず「当日欠勤」当日休むという話が増えてきます。
あとは「無断欠勤」断りなく欠勤が出る場合が要注意です。
そして「無断遅刻の反復」。一回だけならありえても繰り返す場合は注意が必要です。
<欠勤や遅刻の背景>
まずは「朝の抑うつ気分」起床後の落ち込みなどが背景のことがあります。
また、「通勤途中の電車での不調」が影響する場合があります。
そして、その前の「不眠」から、遅刻・欠勤が発生する場合があります。
<類似した変化>
「会議などの直前のキャンセル」が増える場合があります。
また、資料など「期限に遅れる」ことが出ることがあります。
そして、「仕事の未完了」完了しないでたまる仕事が増えることがあります。
③否定的言動
後ろ向きな発言が増えてきます。
<否定的な発言の例>
まずは「自己否定」、「自分はダメだ」というような自己否定が出てきます。
あとは「他者の否定」、自分以外に相手も否定してしまう場合があります。
そして「罪悪感」、「自分が迷惑をかけている」という話が出ることがあります。
<否定的言動の背景>
まずは「落ち込み」、抑うつ気分が背景です。
また「罪悪感」、「人に迷惑をかけている」という思いから出てくることがあります。
そして「否定的な思考」、うつに伴う「思考の偏り」が背景にある場合があります。
<類似した変化>
まずは「質問に答えられない」ことが出ることがあります。
そして「急に涙が出る」という変化が出ることがあります。
そして「人を避ける」ことが出ることがあります。
④雰囲気が暗くなる
「ふさぎ込んだ雰囲気が目立つ」というところ。
<雰囲気が暗くなる例>
まずは「暗い表情」表情が暗く、浮かない状態になることです。
2つ目が「小さく低い声になる」というところ。
3つ目が「動きが乏しくなってしまう」ことがあります。
<雰囲気が暗くなる背景>
まずは「落ち込み、抑うつ気分」が背景になります。
そして、「活力・エネルギーが減退」してしまうことが背景になることがあります。
そして、「精神運動制止」動きなどが出にくくなることが背景の場合があります。
<類似した変化>
まずは「身なりの変化」、髪型、服装等のセルフケア不足が出る事があります。
あとは「気遣いができなくなる」ことが目立つ場合があります。
そして「話が途切れて減る」ことが出ることがあります。
⑤対人トラブル
「イライラなどが目立つことでのトラブル」が時に目立ちます。
<対人トラブルの例>
まずは「周りに当たり散らしてしまう」変化。
人により急に「情動不安定」が出ることがあります。
そして「他者への配慮ない態度」で出ることがあります。
<対人トラブルの背景>
まずは「否定的思考」自分や周りを否定してしまう考えが背景になる事があります。
また「情動不安定」気持ちが不安定になることが背景にあります。
関連して「易刺激性」刺激に敏感になることが背景の場合があります。
<類似した変化>
いわゆる「愚痴を続けてしまう」方がいます。
また、「他者に対して無関心」になる方がいます。
人により「こだわりや頑固さ」が目立つようになる方がいます。
(4)もしサインがあったら
「早目に相談をして必要な対応をする」ことになります。
具体的な対策は「本人と相談をする」「業務の調整を模索する」「受診等を検討する」の3つです。
①本人と相談
「何かつらさがないか」これを相談することになります。
もしあれば、どの辺がつらいかということを聞いていくことになります。
もし、それがないと否定する場合に関しては、無理強いをせず見守ります。
②業務調整の模索
まずは「業務の量を調整する」オーバーワークであれば、量を調整していくことになります。
あとは「質的な面」業務の質や種類、チームの編成などを見直すことがあります。
そして「残業制限の検討」、ただし残業制限も万能ではないところがあります。
③受診等の検討
もし「健康管理センター」が会社にあれば、そこへの相談を検討したり促したりすることがあります。
また「産業医面談」産業医さんがいる職場であれば、産業医面談を検討する場合があります。
そして、不調が続く場合には、「受診を検討」する場合があります。
(5)まとめ
今回は、うつ病・適応障害セルフチェック「職場でわかるうつ病・適応障害のサイン5つ」を見てきました。
うつ病・適応障害は職場でも変化が出ることは多く、早期対策のヒントになります。代表例は以下の5つです。
- ●ミスが増える
- ●欠勤や遅刻が増える
- ●否定的言動が増える
- ●雰囲気が暗くなってくる
- ●対人トラブル
サインがあった場合は、本人と相談のうえ業務調整を検討し、それでも困難なら専門部署などへの相談や受診などを進めます。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)