ストレス発散法
うつ病・適応障害改善に大事
うつ病・適応障害ではストレス対策が大事ですが、その基本は自分なりの「ストレス発散法」の確立です。
発散には長時間だったり特別な方法をする必要はなく、シンプルでも「自分に合った」方法を見つけるのが大事です。
発散法は「見つける→試す→合うものを選ぶ→生活に組み入れる」この4段階で、複数持っておくのが大事です。
もくじ
(1)はじめに:ストレス発散法
うつ病・適応障害セルフケア。今回は「ストレス発散法」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
うつ病・適応障害では、ストレスの対策は重要という話があります。
その中でも、ストレスをあまり溜めない、うまく発散するということが第1ということは言われています。
では、これをどういうふうにやっていけばいいかというところ。今回はそこを少し詳しく見ていきたいというふうに思います。
(2)ストレス発散法にまつわる3つの質問と回答
<質問1:発散する時間がない>
ここにおいて一つご質問を受けることがありまして「忙しくてストレスを発散する時間が足りません」というご質問を受けることがあります。
これは本当でしょうか?
ストレスの発散、気分転換で、時に一つ固定観念がある時があります。これは「時間をかける必要がある」というもの。
例えば、大がかりに旅行に行くとか、アウトドアに行くとかテーマパークに行くとか、こういったものの場合は確かに時間がかかるので、なかなか行く機会がない。特に忙しいと行く機会がないというのはそのとおりだと思います。
そして、これらの方法は確かに強く発散できる方法ですので、いい意味はたくさんあるんですけれども、一方で絶対そういう方法じゃないと発散できないかというと、そういうことではないということです。
短時間でできる方法というのも当然あり得ますし、家でできる方法、一人でできる方法。これもあり得るということです。
例えば、ある種ゲームも発散になりましょうし、漫画もそうでしょうし、家で軽くストレッチするというのも切り替えや発散の方法とは言えるかとは思います。
この2つの「長時間かかる方法」と「短時間の方法」。これは両方大事で、場面・状況によって使い分けますので、両方身につけておくといいんじゃないかと思います。
<質問2:発散を試したらかえって疲れてしまった>
2つ目のご質問としては「発散を試したら、かえって非常に疲れてしまいました」というご質問を受けることがあります。
ここに関しては「その方法との相性はどうですか」ということがあります。
ストレスの発散法いろいろあるんですが、相性は人それぞれです。同じ方法でも、この人には合っていても、あの人には合っていないということはこれはしばしばあることです。
ではどうするかというと、自分に合っている方法を見つけていきたいので、まず自分でやってみる。そしてどうだったかを振り返っていくということです。
その効果はどうだったか、コスト、疲れとかも含めたコストはどうなったかという2つの面から結果を見てみて、合うかどうかを検討していきます。
<質問3:何か特別な方法は必要ですか?>
そして、3つ目の質問としては、「何か特別な方法が必要ですか」という質問を受けることがあります。
これは全然特別な方法の必要はないです。日常的なことでも全然大丈夫です。
むしろ仕事が忙しい方の場合、なかなか時間をかけたり、エネルギーをかけることは難しいため、制約がある中でも行える「日常的で、かつ合っている方法」が複数見つかると非常に心強いです。
(3)ストレス発散法を増やす、具体的な3段階
では具体的にストレスの発散法を見つけて、生活に組み入れていきたいと思うんですけれども、3段階で見ていきます。
1段階目は見つけていく。2段階目は合うものを選んでいく。3段階目は生活に組み合わせていく、ということになります。
①見つけていく
これはもうある種どんな方法でもいいです。日常的な方法でもいいですし、最近ですともうネットでいろいろな情報があります。その中で、現実的な方法であれば、ぜひ取り入れていただけたらという風に思います。
多めに見つけていきたい。そしていろいろな種類を見つけていきたいということです。
色々な種類というのはかかる時間短いもの・長いものということですし、体を使うもの、もしくは頭を使うもの、そういった違い。あとは一人でやるもの・複数でやるもの、家でやるもの・外でやるものということも含まれるかと思います。
②合うものを選ぶ
色々見つけた次の段階では、「見つけたものが自分に合うかを試して」いきます。
やってみて振り返るというのが基本です。で、そこの基準としては2つありまして、効果がどうだったか、コストがどうだったか。
コストというのは別に費用だけじゃなくてかかった時間もそうですし、それによる疲れや労力ということも含まれるかと思います。
その2つでバランスを見て合っているかどうかを見ていって合うものを、今後も必要に応じて使っていきましょうということになります。
ここまでであった「見つけていって→やってみて→振り返る」、この繰り返しでご自身にあった発散法をだんだん増やしていってもらえたらと思います。
③生活に組み合わせる
これまでで見つけてきた「合う発散方法」を、実生活の中でうまく組み入れていきます。実生活だと状況があるので、それに合わせていきます。
大きく言うと3つに分かれます。平日・休日・長期休暇になります。
<平日の場合>
平日の場合、非常に時間が限られていて枠組みが決まっていますので、その中に入れられるような、本当に短時間のものとか、寝る少し前にするとか、そういうシンプルでかつあんまり労力かからない切り替えの方法というのをうまく複数入れるといいと思います。
<休日の場合>
休日になると、その平日よりは少し時間があるので、少し時間をかけての方法というのも作用しうる。
ただ、疲れもあったりしますので、疲れを取るのを優先しながら、あまり疲れる方法・疲れすぎる方法はしないということにもなるかもしれません。
<長期休暇の場合>
最後の長期休暇に関しては逆に時間がある程度ありますので、場合によってはもう時間はかかるけれども、効果の大きい方法というのも検討できるかと思います。ただ、これは人によっての相性もあるかと思います。
<複数方法があるといい>
これら3つに分けましたけど、それぞれ複数の方法があるといいと思います。なぜならば複数あると対処が非常にし易くなるからです。
1個しかないと、もしそれがうまくいかなかったら次の方法はなく、結果ストレスが溜まってしまいます。
しかし、何個かあればAが駄目でもB、Bが駄目ならCと、どんどん駄目だったら次、次という風にやっていって合うものを見つけていけますので、だいぶうまくマッチングする率が上がってくる。その結果、ストレスを発散できる率が大きく改善するということになるかと思います。
なので、複数方法があることをお勧めいたします。
(4)まとめ
今回はストレス発散法ということで見ていきました。
うつの治療でストレス対策が大事。その中でもストレス発散法は非常に大事です。
これは必ずしも長期間かかる方法だったり、特別な方法である必要は必ずしもありません。むしろ日常の中で自分に合った方法が見つかると非常に心強いです。
具体的な組み入れ方としては、「色々見つけていって→試して→合うものを選び→生活に組み入れていく」この4段階でやっていきます。
そして、状況ごとに合う方法を複数見つけていけると、対処できる幅が大きく広がることが期待できます。
著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)