ストレスマネジメント

うつ病・適応障害対策の基本

うつ病・適応障害の対策の基本は「ストレスマネジメント」ストレスをためず発散し、あふれる事を防ぎます。

 

「ストレスをためない」ためには、認知再構成や自己主張(アサーション)、環境調整を検討します。

 

「ストレス排出を増やす」には、ストレス発散法の改善や睡眠の改善、リラックス法を検討します。

 

動画:ストレスマネジメント

もくじ

 
  1. (1)はじめに:ストレスマネジメント
  2. (2)基本的なストレスモデル(浴槽)と3つの対策
  3. (3)対策①ストレス流入を減らす
  4. (4)対策②ストレス排出を増やす
  5. (5)対策③容量(耐性)を広げる
  6. (6)まとめ
  7.  

(1)はじめに:ストレスマネジメント

うつ病・適応障害セルフケア。今回は「ストレスマネジメント」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

うつ病・適応障害の治療もしくは予防において、ストレスの対策ということは非常に大事になってきます。いわゆる「ストレスマネジメント」と言われるところになります。

方法としてはいろいろあるんですけれども、流れるもの、根底にあるものは非常に共通するものがあると思います。

今回は、そこをちょっと詳しく見ていきたいと思います。「ストレスマネジメント」について、今回は詳しく見ていきたいと思います。

(2)基本的なストレスモデル(浴槽)と3つの対策

まず、全体的な話を見ていきますと、お風呂の例えをよくすることがあります。

浴槽があってお湯があります。浴槽がご自身ということで、お水がストレスという風に見ていただければいいと思います。

ストレスがお湯のように入ってくると。一方で入ったお湯(ストレス)を排水・流すということがあると。で、一杯になり溢れると色々不調が出る。

こういったモデルで考えてみていただけたらと思います。

じゃあ、どうするかというと、対策って意外とシンプルなんですね。入ってきたストレスをしっかり出して、容器を超えないようにすることです。

1つ目の対策としてはまず入ってくるものを減らすということ。なるべく入ってこないようにします。

2つ目は出すところを増やすということ。発散を増やすとも言い換えられるかと思います。

そして、3つ目が耐性を強める、容器自体を広げる。

こういった流れで、いろいろな方法がありますよということになりますけど、大きく言うとこの3つです。

とにかく「入るストレスを減らして」、「発散するのを増やして」、それでも溜まることがあるから「耐性を付けていく」という、この3つに集約されていきます。

(3)対策①ストレス流入を減らす

では、具体的な方法ということをこれから見ていきたいと思います。

まずは、ストレスが入りにくくする、入る量を減らすというところへの対策3つです。1つ目は認知再構成、2つ目が環境調整、3つ目が対人的なアサーションということになってきます。

<認知再構成>

まず認知再構成、これは認知行動療法とも言い換えられますが、考え方の癖があれば、それを見直すということになります。

色々なストレスがあった時、捉え方をより「ストレスを感じにくい捉え方」に持っていくというところ。

人によって色々ある考えるくせを見ていって、ストレス溜まりやすいくせがあれば、そこを調整することを繰り返し練習していきます。

<環境調整>

2つ目は環境調整、ご自身と環境がどうしても合っていない状態があると、環境からストレスを繰り返し受けてしまう。

それでストレスが増えるということになりますので、あまりそれが強い場合は環境を変えることでストレスを減らすということが必要になります。

これはもう転職とか大がかりに変える方法もあれば、家で相談をするとか微調整をしていくという方法も、これはどちらもあろうかと思います。

<アサーション>

3つ目がアサーションですけれども、これは適切な自己主張とも言い換えられまして、人と人との場面で、配慮はするけれども主張するということになります。

どうしても人間関係でストレスをためてしまう、言わずに溜めてしまうという癖があると、ストレスはどんどん溜まってしまいます。

なので、配慮はしながらも主張するということを繰り返し、練習して対人関係で溜まるストレスを減らしていきましょうということになります。

(4)対策②ストレス排出を増やす

続きまして、発散・出すのを増やすということですけど、ここでは3つ挙げます。1つ目がストレスの発散法2つ目が睡眠の改善、3つ目がリラックス法になります。

<ストレス発散法>

ストレス発散法から見ていきますと、原則としては、まず合う方法を色々見つけてほしいと、そして方法は多い方がいい。かつ色々な種類・色んな場面でできる方法があるといいということになります。

探し方としては、色んなところから日常的なことでも良いので探してみる。その上でやってみて振り返って、効果とコストの面でどうだったかをやっていくということになります。

多い方がいいというのがあります、というのは1個しかないと、それがうまくいかないともう発散できなくなってしまいます。

何個かあれば、AがだめでもB、BがだめでもCという風に色々やって合うものを見つけて、やることはできますので、だいぶうまくいく率が上がってきます。

そして、色々な場面と言ったのは、例えば働いている方で、平日・休日・長期休暇、場面によってできる範囲が違ってきますので、それぞれの場面に合った短時間の方法、中ぐらいの方法、長時間でがっちりやる方法があるといいということになります。

<睡眠の改善>

次は睡眠の改善ですけども、これはシンプルだけども、非常に重要なものであります。

シンプルな取り組みとしては、まず生活リズム、昼寝をしないだったり生活リズムを整えるということ。

夕方からリラックスを図って寝る環境もリラックスできるようにするということ。

そして夜考えすぎないような工夫をしていくということが挙げられるかと思います。

<リラックス法>

続きまして、リラックスの方法ですけれども、ある種緊張と交感神経が結びついて、緊張とエネルギー消費、ストレスが溜まる(こと)は結びつきます。リラックスはストレスの回復と結びつきます。

なので、例えば仕事で忙しい時も短時間でいいので、うまくリラックスできる方法があると、大分対応がしやすくなるということであります。

(5)対策③容量(耐性)を広げる

3つ目の要素、耐性を強くする・容量を広げるということがありますけれども、方法としては一つは体力を蓄えるという方法。次にいわゆるマインドフルネス、3つ目が不満への脱感作、4つ目がコミットメントということになります。

<体調・体力の対策>

まずは体調を整えるということですけれども、これは非常に当たり前だけど、大事なことになります。

例えば、適度な運動をするということ、あとかぶりますけれども、生活リズムを整えるなどして、常にコンディションを良い状態を保っていくのがストレスに耐えられるコツの一番土台になってきます。

<マインドフルネス>

2つ目がマインドフルネス、自分の状態を知って、それに合わせて柔軟に対応していくということになります。これも大事なことになります。

<不安への脱感作>

3つ目が脱感作になります。不安や緊張があると、これはどんどんストレスになってしまいますし、耐性が弱くなってしまいます。

なのでそういうものに対して徐々に徐々に慣らしていく、不安や緊張を与える場面を少しでも減らして耐性をつけていくということになります。

<コミットメント>

4つ目のコミットメントというのは、自分軸をしっかり持っていく。軸があれば、そのためだったらストレスがあっても耐えられるということがあります。

なので、自分の軸を決めて、仕事をしている方だと、それと仕事の折り合いをうまくつけていくということがあるかと思います。

(6)まとめ

今回は、ストレスマネジメントについて全般的にまとめてきました。

うつの改善予防には、ストレスの対策・ストレスマネジメントは非常に重要になってきます。

方法は色々あるんですけれども、まとめると「溜まるストレスを減らす」「発散を増やす」「耐性をつける」。この3つが要点になってまとまってきます。

色々なアプローチがありますけれども、その中でご自身に合ったもの、もしくは状況に合ったものから、徐々に始めていただけたらというふうに思います。

著者:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)